衆法務委員会 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案採決
- 会議録 -
○ 松島委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は、去る三月三十一日に終局いたしております。
これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。藤野保史さん。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
私は、日本共産党を代表して、裁判所職員定員法改正案に反対の討論を行います。
三権分立を規定した日本国憲法のもとで、司法権を担う裁判所には、独立してその定員や人件費等を定める権限が与えられています。にもかかわらず、本法案は、政府の定員削減要求に最高裁が協力し、裁判所全体で定員十七人減という過去最大の減員を行おうとするものです。こうしたやり方は、裁判所の使命である国民の裁判を受ける権利を保障することに逆行するものです。
最高裁によって地方から大規模庁への定員シフトが続けられてきた結果、地方では人員不足による繁忙な裁判所が増加しています。いわゆる二人庁は、二〇一二年の十七庁から倍以上の三十五庁に拡大しており、裁判所としての機能が危ぶまれています。にもかかわらず、本法案は、書記官について概算要求段階の十三名から五名抑制しており、現状を改善するものとなっていません。
また、家裁調査官の増員もありません。家事審判事件、家事調停事件の新規受件数は一九八九年以降増加し、少年事件の複雑困難化、虐待事案等、家裁調査官の専門性が求められる事件が増加しているにもかかわらず、家裁調査官は、二〇〇九年の五名増員を最後に、本法案でも現状維持であり、現場の切実な要求に応えていません。
さらに、速記官、技能労務職員の減少にも歯どめがかかっていません。一九九七年当時八百五十二人いた速記官は、二〇一九年十二月一日には百七十七人まで減っており、公正で迅速な裁判を実施する上で支障が生じています。技能労務職員は、裁判所のきめ細やかな運営を担ってきた人たちです。例えば、運転手の不補充で官用車が廃車になると、僻地への調査、出張の多い調査官の活動に制約がもたらされ、少年護送におけるプライバシー保護にも悪影響を与えています。
本法案は、全国どこでも利用しやすく、国民の期待に応える裁判所としての多様な機能を弱めるものです。
最後に、新型コロナウイルス感染拡大は、裁判所にも影響を与えています。実態をしっかりと把握し、対策を迅速に具体化することを強く求めて、討論を終わります。
会議録PDF
20200403_homuiinkai_Fujino_kaigiroku
作成者 : fujinoyasufumi