法務委員会 役員報酬の問題について質問
- 会議録 -
○ 松島委員長 次に、藤野保史さん。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
きょうは、役員報酬の問題についてお聞きしたいと思います。
先ほど松田委員も質問されていましたが、まず、法務省に確認いたします。
本法案を議論した法制審の中間試案の段階では、役員報酬の個別開示も検討とされていたと思いますが、最終的には落ちてしまった。
なぜ役員報酬の個別開示は盛り込まれなかったんでしょうか。
○ 小出政府参考人 お答えいたします。
法制審においても議論がございましたけれども、まず、役員の個別報酬は個人のプライバシーにかかわる事項であること、それから、我が国の取締役の報酬、これは欧米等と比べれば低いということで、個別開示をするまでの必要性は大きくないということ、それから、個別開示をしなくても、上場会社等におきましては、取締役会におきまして取締役等の個人別の報酬等に関する決定方針を定め、その他、報酬の定め方、報酬の決定に関するさまざまな事項を開示対象としておりますので、全体としての取締役の報酬決定手続は透明化が図られるということで、個別の報酬の開示までは必要ないというふうに判断したところでございます。
○ 藤野委員 先ほどもおっしゃいましたけれども、プライバシーというのは理由にならないと思うんです。おととい神田参考人もおっしゃっていましたが、今既に金融商品取引法のもとで、年総額一億円以上なんですけれども、報酬は個別開示されているんですね。ですから、プライバシーというのはもう理由にならない。より広くするかという議論はしたらいいと思いますけれども。
二つ目に、外国と比べて低いと言いましたけれども、これもやはり比べる先が間違っていると思うんです。やはり従業員と比べるべきであって、従業員と役員との格差というのはこれはもう年々拡大しているわけでありますから、これはやはり開示すべきだというふうに思います。
そして、三つ目に、決定方針を決めるから透明性が担保されるんだとおっしゃるんですけれども、その点でちょっと法務省にお聞きしたいんですが、調査室がおまとめになった資料で、役員報酬の算定方針があると答えた企業についての割合があると思うんですが、三つの類型について、それぞれ、二〇一八年、何%というふうに答えているでしょうか。
○ 小出政府参考人 申しわけありません。ちょっと手元に資料がございませんので、また調べて報告させていただきます。
○ 藤野委員 資料も出しています。だから、これを聞くよといって通告しているんですから。
○ 松島委員長 答えられますか。(藤野委員「ちょっと、時間をとめてください」と呼ぶ)
速記をとめてください。
〔速記中止〕
○ 松島委員長 速記を起こしてください。
小出局長。
○ 小出政府参考人 取締役報酬の開示状況でございますけれども……
○ 藤野委員 開示状況じゃなくて、算定方針について答えてください。
○ 小出政府参考人 算定方針、ちょっとお待ちください。(発言する者あり)
○ 松島委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○ 松島委員長 速記を起こしてください。
局長。
○ 小出政府参考人 失礼いたしました。
取締役の報酬算定方針ありというものについて、会社類型別でお答えいたします。
まず、監査役会設置会社におきましては、報酬算定方針ありとするものが二〇一八年において八二・五%、それから、監査等委員会設置会社におきましては、報酬算定方針ありとするものが八四・八%、指名委員会等設置会社におきましては、報酬算定方針ありが一〇〇%ということになっております。
○ 藤野委員 ですから、取締役会で決定方針を決めるとか、方針を決めるとおっしゃるんですけれども、既にこれだけ決まっているわけです。
決まっているんだけれども、この配付資料の一の左を見ていただきますと、監査役会設置会社では、全員個別開示、二〇一八年、〇・〇%、監査等委員会設置会社は、二〇一八年、〇・一%、指名委員会等設置会社は、全員開示、一・四%です。
ですから、これは方針を決めたといっても実際にやられていないわけで、これでは透明化が進む実質的担保にはならないわけです。
ヨーロッパでは、アメリカ、イギリス、ドイツなどでは、原則として、取締役の個別開示がもう義務づけられております。ですから、グローバルスタンダードとおっしゃるのであれば、これはやはり役員報酬の個別開示、進めていくべきだというふうに思うんですね。
大臣、これは実は法務省も無関係ではありませんで、まず、その前提として法務省に確認したいんですが、法務省のOBで社外取締役や社外監査役に就任しているのはそれぞれ何人いらっしゃるでしょうか。
○ 西山政府参考人 現在、当方で記録を持っているのが平成二十六年度からになります。平成二十六年度から平成三十年度までで、法務省出身者の再就職で、社外取締役につきましては合計十四名、社外監査役については合計十五名であると把握をいたしております。
なお、この把握は、国家公務員法第百六条の二十四第二項の届出に基づき把握しているものでございます。
○ 藤野委員 私たちは、何も、官僚OBの方がその知識や経験を生かして民間企業で活躍されるというのは当然あり得ると思っております。しかし、実際はそうなっていない例というのもこの間出てきております。
東芝の不正会計問題では、社外取締役に元大使クラスの方が二名参加されておりましたし、何より、関電は社外監査役に大阪高検です。法務省関係の大阪高検の検事長だった方が再就職されていて、あの元助役からの金品受領を知っていたにもかかわらず、それを取締役会に一年以上報告しなかった。こういうことになって、今、第三者委員会の調査対象になっている。
ですから、こういう事例も起きているもとで、やはりしっかりとチェックをしていかないといけないと思っております。
配付資料の二を見ていただきますと、これは朝日新聞と東京商工リサーチが調査をされて、非常に興味深い調査だと思います。
東証一部上場の約千九百八十企業が対象、これは二〇一八年四月時点ですけれども、社外取締役の報酬を、これは個別開示されていないものですから、役員数で割ったところ、平均で年間六百六十三万円だったというんですね。
下の方を見ていただきますと、下から二段目のところは、官僚や日本銀行OB、官僚OBの平均報酬は約七百五十万円で、全体平均より百万円ほど高いということなんですね。
もう一つ指摘したいのは、真ん中あたり、二段目に書いているんですけれども、日経平均株価に採用されている二百二十五社のうち、報酬が判明した二百十八社の平均は約千二百万円に達しているというんです。平均が六百六十三万円なんですけれども、いい企業の場合は千二百万円に達している。
一番下に、二番目に書いていますけれども、複数の企業をかけ持ちしている人も多い、四社以上兼務する社外取締役がいるところが約三百社あった、こういう調査なんですね。
ちょっと実例でも見てみたいと思いまして、配付資料の三をお配りしているんですけれども、これは、衆議院の予備的調査、国家公務員の再就職状況に関する予備的調査というものから抜き出したもので、本体はこれなんですね。極めて分厚いもので、どなたでもごらんになれる衆議院の調査であります。これを見ると、兼務の状況がもう極めて、個人名も出ておりますから、リアルに出てまいります。
配付資料でお配りしたのは、ある検事総長ですけれども、この方は、退職されてから半年後ぐらいにはもうワタキューセイモアという会社の特別顧問になったり、日清医療食品株式会社の特別顧問になったり、そして一年後には日本郵政株式会社の社外取締役に就任する。そして、それから一日後には住友商事株式会社の社外監査役になり、そこから三日後にはNKSJホールディングス、これは損保ジャパンとかいろいろ合併した会社ですけれども、それの社外監査役にもなる。翌年にはマヨネーズとかをつくっているキユーピーの社外監査役にもなるということで、恐らくですけれども、開示されておりませんのでわからないんですが、恐らく、やはりこれだけの優良企業ですから、報酬が、これだけ兼務していますと数千万に達するんじゃないかと思われます。
大臣、率直にお聞きしたいんですが、国民感覚からしてこれは高過ぎるのではないかというふうには思われませんか。
○ 森国務大臣 民間企業における取締役の報酬の金額の多寡については、コメントする立場にはございません。
○ 藤野委員 民間企業と言いますが、私が聞いたのは法務省OBの話なんです。
私は、別にOBが民間に天下りしちゃいけないとは言っていないんですけれども、しかし、これだけ兼務をされて、渡り鳥とか言われるいろいろな批判を受けて、いろいろな決まりもつくったのに、結局、今はこうなっているという、ここはやはり大臣が何かコメントされないとおかしいんじゃないですか。大臣、もう一回お願いします。
○ 森国務大臣 社外取締役に法務省の出身がなることについては、それまでの経験やその専門的知見により、社外役員に選任をされることもあると思います。
基本的に、各会社において、その経営課題等を踏まえて検討されるべき事柄であると考えております。
○ 藤野委員 ちょっと余りにも人ごとだったので、重ねて聞いたんですけれども。
やはりこの問題は、私はなぜ聞くかといいますと、配付資料の四を見ていただきたいんですね。これは週刊東洋経済の二〇一八年六月二十三日号なんですが、今既に九八%の企業で社外取締役が設置されていると。しかし、そこに書いていますように、「「一人でも社外がいればいい」という時代は終わり、「三分の一以上必要」という時代に突入しつつある。」こういう特集なんですね。
実際、アメリカやイギリスでは、上場企業の取締役の半数以上が社外取締役であることが求められております。三分の一以上という時代、そして過半数が先進的な例になりつつある。
他方、日本は、次のページをめくっていただきますと、円グラフが右の方に出ていますけれども、三分の一以上の企業というのはまだ一六%にとどまっておりまして、八四%が三分の一未満。これによりますと、全ての企業で三分の一以上にするには、その左の棒グラフですが、七千人近く不足している、そういうことなんですね。
ですから、グローバルスタンダードと政府がおっしゃっている水準に持っていこうとしたら、あと七千人近く社外取締役が必要になってくる。政府がコーポレートガバナンスの改革の旗を振れば振るほど、こういう需要が生まれてくるわけであります。
これが、大臣、官僚の方がそのみずからの知恵と経験を生かして新しい職場でそれを発揮していく、そういう方向につながっていく、そういうことなら大事だと思うんです。しかし、そうならずに、何か幾つも、兼務自体が悪いとは言いませんけれども、実際は形骸化して、コンプライアンス村といいますか、新たな天下り先が数千規模でできてしまうということになったらそれは困るわけで、この境目に今あるというふうに思うんですね。
だからこそ、私は、官僚OBの方も含めて、役員報酬の個別化というのは、これは必要じゃないかと思うんですけれども、大臣、改めていかがでしょうか。
○ 森国務大臣 先ほどの事務方の答弁のとおり、改正法案においては、取締役の個人別の報酬等の内容について開示を義務づけることはしておりません。
これは、我が国における取締役の報酬等の額は、先ほどの答弁と同じでございますが、欧米と比べれば低い水準にある、また、プライバシーとのことでございまして、また、法務省の出身者が社外役員として就任した場合においても同様に当てはまるものと考えております。
○ 藤野委員 別に天下りがだめとかというわけではなくて、少子高齢化になってくる、人手不足だとおっしゃっているもとで、ちゃんとしっかりと透明性を持って働けるような仕組みをつくる上で、役員の報酬の個別開示が必要じゃないかということでありますから、そのプライバシーとか、全くかみ合わない答弁はやめていただいて、しっかり検討していただきたいというふうに思います。
次に、私は、全体として今回の会社法を一体どういうふうに考えるべきかということも御質問をさせていただきたいと思うんですね。
安倍政権は、この間、企業が世界で一番活動しやすい国というものを目指してきたと思うんです。この会社法改正案もその一環だというふうに思います。
配付資料の五を見ていただきたいと思うんですが、これは調査室の資料にも紹介されておりました、この法案にかかわる政府の大きな方針、二〇一四年の六月二十四日に閣議決定された日本再興戦略二〇一四であります。
ここの冒頭で、「コーポレートガバナンスの強化」というのがありまして、こういう文言があります。「日本企業の「稼ぐ力」、すなわち中長期的な収益性・生産性を高め、その果実を広く国民(家計)に均てんさせるには何が必要か。まずは、コーポレートガバナンスの強化により、経営者のマインドを変革し、グローバル水準のROEの達成等を一つの目安に、グローバル競争に打ち勝つ攻めの経営判断を後押しする仕組みを強化していくことが重要である。」こういう考え方といいますか、論立てといいますか、こういう発想でいわゆるコーポレートガバナンスの強化が位置づけられているということであります。
余談なんですけれども、ここにある、広く国民に均てんさせるというんですけれども、この均てんというのは、辞書によりますと、等しく利益に潤うことということらしいんですね。均てんのテンというのは霑で、難しいんですけれども、これも辞書で引くと、湿るとかぬれるとか、そして恩恵を及ぼすという意味もあるんですね。
経済の世界では、トリクルダウン論と均てん理論はほぼ同じ意味だというふうに言われております。
安倍総理は、アベノミクスはトリクルダウンだと言われるのは嫌われるんですね。違うと否定されるんですけれども、御自身は、二〇一二年、ちょっと国会議事録を調べてみましたら、政権復活以降、この均てんという言葉、最近も含めて五十回使われております。均てんしていくということは安倍総理自身がもう何度も使われているんですね、予算委員会も含め、本会議も含め。
ですから、こういう均てん理論というのが根本にあった上で、コーポレートガバナンスのまず第一として経営者のマインドを変えるんだ、だからコーポレートガバナンスだというわけですが、ただ、そこで挙げられているマインドを変える指標が私は問題だと思うんです。
ROEというのが挙がっておりまして、これはリターン・オン・エクイティー、いわゆる自己資本利益率であります。しかし、これは私はもう時代おくれだというふうに思うんですね。
ちょっと時間の関係で、配付資料を見ていただきたいと思うんですが、配付資料の六に、日経新聞を紹介させていただいております。
ことしの八月に、アメリカの経済団体、これは日本の経団連に当たりますけれども、ビジネス・ラウンドテーブルというところが、株主第一主義を見直すという宣言を発表いたしました。
私もちょっと驚いたんです。一九九七年以降、毎年必ずこのビジネス・ラウンドテーブルは、株主第一主義を掲げた宣言を二十年以上掲げてきたところなんですね。そこが今回初めてこれを見直しました。株主だけではなくて、顧客、従業員、サプライヤー、地域社会、株主という五つ、この五つの利害関係者全てに利益をもたらすことを企業の目的に据えました。これはどうしてかという理由については、時代に合わせて長期的視点に立った方針に転換したというふうに述べているんですね。
つまり、今法案が根本にあるといいますか、ROEですよね、株主、株価、こういうものを経営者のマインドとして優先させるんだ、こういう発想から、ROE、これを優先してやれとずっと二十年以上旗を振ってきたアメリカの財界がここにもう転換をして、そうじゃないんだ、五つのステークホルダー全部に利益をもたらす、それが経営なんだというふうに転換しているというのは、私は非常に重要だというふうに思っております。
この点で幾つかちょっと確認したいんですけれども、経産省に聞きたいんですが、二〇一七年三月に公表された調査で、日本企業と欧州企業で、いわゆるSDGsについての認知度あるいは定着度というのはどういうふうになっているでしょうか。
○ 中原政府参考人 お答え申し上げます。
御質問の数字につきましては、二〇一七年三月に企業活力研究所が公表しました、社会課題、SDGs等の解決に向けた取組と国際機関、政府、産業界の連携のあり方に関する調査研究報告書におけるアンケート調査で示されたものであるというふうに認識をしております。
SDGs等の認知度につきましては、日本企業では、経営陣に定着していると回答した企業が二五・五%であるのに対しまして、欧州企業では六五・四%となっております。また、SDGsを新たなビジネスオポチュニティーと捉えている割合につきましては、日本企業では三七・一%であるのに対しまして、欧州企業では六三・五%となってございます。
○ 藤野委員 SDGsというのは、持続可能な開発目標という国連の目標でありまして、二〇一五年に定められました。これは、十七の目標と百六十九のターゲットから構成されておりまして、誰一人として取り残さない、リーブ・ノー・ワン・ビハインドというものを理念としておりまして、既に企業活動にも今大きな影響を与えております。
二〇一七年のG20では、首脳宣言にこうした考え方が盛り込まれまして、それ以降ずっと続いておりますし、既にフランスなどでは、法律で、こういうSDGsを企業に法的義務を課すものまで生まれているということであります。逆にそれが何か制約になっているということではなくて、新しいビジネスチャンスになっている。アマゾンとか、今、GAFAと言われる企業は、こうした分野に今非常に力を入れて新たな商品開発を進めているという状況になっているわけであります。
しかし、今答弁いただいたように、日本の経営者の場合はこの認知度が欧州の経営陣の半分以下でありますし、同じ調査では、中間管理職の認知度は、欧州もそんなに高くなくて一五%なんですけれども、日本はもっと少なくて三%なんですね。
ですから、企業のビジネスの最前線である中間管理職とかそういう人には全くそれがビジネスチャンスとして捉えられていないという現状でありまして、私は、その経営者のマインドを変えるというのであれば、今やもうROEとかではなくて、こういうSDGsなどをむしろ経営者やあるいは働く人のマインドにしっかりと据えてもらうというのが必要じゃないかと思うんです。
特に、経営陣でいえば社外取締役、この方々は、取締役と同じ発想ではなくて、やはりより中長期的な視点でその会社にコミットしていくということが求められると思うんです。
ところが、実態はどうか。
法務省にお聞きしたいんですが、法務省、ストックオプションの付与対象者の中で社外取締役等に対する割合は、近年どういうふうになっていますでしょうか。
○ 小出政府参考人 お答えいたします。
法務当局におきまして、ストックオプションの付与対象者のうち社外取締役が占める割合については把握しておりませんが、東京証券取引所が公開しております東証上場会社コーポレート・ガバナンス白書二〇一九によりますと、二〇一八年においてストックオプション制度を導入している会社のうち、社外取締役にストックオプションを付与している会社の割合は、監査役会設置会社において二三・七%、監査等委員会設置会社において二七・三%、指名委員会等設置会社において三八・七%であると報告されております。
○ 藤野委員 私が聞いたのは推移なんですけれども、推移をちょっと答えてもらえますか。
○ 小出政府参考人 推移につきましては、大きな変更はないというふうに認識しております。
○ 藤野委員 先ほどの調査室の資料でちょっと確認してもらえますか。
○ 松島委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○ 松島委員長 では、起こしてください。
○ 小出政府参考人 監査役会設置会社でストックオプションの付与対象者のうち、社外取締役が占めるものの割合を推移を見ますと、二〇一四年が一八・四%、二〇一六年が二三%、二〇一八年が二三・七%というふうになっております。
また、監査等委員会設置会社におきましては、二〇一六年が二五・四%、二〇一八年が二七・三%。
また、指名委員会等設置会社におきましては、二〇一二年が五〇・〇%、二〇一四年が四〇・七%、二〇一六年が二九・四%、二〇一八年が三八・七%となっております。
○ 藤野委員 指名委員会等設置会社というのは、もともと最先端なあれですからちょっとあれなんですが、監査役会設置会社や監査等委員会設置会社では、この間、ちょっとずつですけれども、ふえてきているんですね。社外取締役なんだけれども、ストックオプションをもらっている。
こうなりますと、既に四人に一人ということになりますので、多いところでは四割がストックオプション付与対象の社外取締役ということになりまして、大臣にお聞きしたいんですが、これですと、やはりROEの視点とか株価の視点というのに社外取締役までがなってしまう。ですから、やはりこれはまずいんじゃないかと思うんですね。
この点そのものについて、大臣、どのようにお感じでしょうか。
○ 松島委員長 では、小出局長、簡単に。
○ 小出政府参考人 どのような報酬の種類を与えるか、各社の政策だと思いますが、先ほど申し上げた数字を見ましても、社外取締役がストックオプションを付与されている割合より社内取締役の方が高いということでございますので、その点ではやはり差があるものと考えております。
○ 藤野委員 そんなことで手を挙げないでほしいんですよ。私が聞いているのは、社外取締役でふえて、四人に一人になっているということなんですよ。
大臣にお聞きしたいんですが、日本経団連というのは、二〇〇四年二月にCSR推進に当たっての考え方を発表しているんですね。同時に、CSRの取組というのは、官主導ではなく民間の自主的取組で進められるべきだ、CSRの規格化や法制化に反対というのを打ち出したんですね、このとき。
片や欧州というのはどうかといいますと、そのCSRなどについて、EU指令や政策パッケージをまさに出して政策的に推進してきた、総合的に推進してきたということなんですね。最近のダボス会議でも、世界経済フォーラムでも、グローバル百と言われる持続可能な百社のうち、五十社以上がもう欧州なんですよ。
ですから、そういう意味でも、やはり何か民間でやっていれば済むんですみたいなことはもうだめだというのは、この十数年間の取組が示しているというふうに思うんです。やはり政治が政策としてしっかりとイニシアチブを進めていく、大臣、これが求められると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○ 森国務大臣 SDGsやCSRについて御指摘がございました。
世界的にSDGsが高い関心を集める中で、我が国の企業においてもSDGsの達成に向けた取組は拡大しつつあるものと承知しております。
持続可能な社会の実現のための目標にどのように取り組むかは各企業それぞれの判断によるべきと考えておりますが、持続可能な社会の実現は、企業が持続的に成長し、その企業価値を中長期的に向上させるための素地となるものでありますから、企業が積極的にSDGsの達成に向けた取組を行うことについては、積極的に評価をしてまいりたいと思います。
今後も、我が国の企業によるSDGsの達成に向けた取組の状況を引き続き注視をし、関係団体や関係省庁とも連携して、必要な検討をしてまいりたいと思います。
○ 藤野委員 もう終わりますけれども、やはりこの十数年、そういう民主導でやってきたんです。私も別にそれを否定しませんけれども、しかし、こういうやはりモーメントが変わっていくようなときは、しっかり政策が総合的に見通しを持ってやらなければ進まないし、それが、こういうまさにSDGsのような取組に求められている。
今回、会社法にはそういう視点が全くない、これではやはり企業の健全な発展につながらないということを指摘して、質問を終わります。
作成者 : fujinoyasufumi