衆院予算委 豪雨災害、コロナによる医療機関の減収補てん、米軍コロナ・クラスター問題について質問
予算委で質問。
テーマは豪雨災害、コロナによる医療機関の減収補てん、米軍のコロナ・クラスター問題。
熊本県人吉市、球磨村でお聞きした切実な要望、そして、新潟県の複数の公的病院で聞いた減収の実態をもとに質問しました。
医療の問題では、政府は「医療提供体制はひっ迫していない」と言いますが、医療機関の3割がボーナスカットなど実態は深刻。
さらに、ベッドなどモノがあればいいのではなくて、それに関わる人が精神的にも肉体的にもギリギリの状態に追い込まれていることを認識せよと追及しました。
西村大臣の他人事のような答弁にはあきれました。
やはり総理はじめ関係大臣出席の予算委での集中審議が必要です!
- 会議録 -
○ 棚橋委員長 次に、藤野保史君。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
今、九州及び全国各地で梅雨前線による豪雨被害が広がっております。
私は、十二日に、被害が大きかった熊本県人吉市、球磨村でその実態を見てまいりました。現状極めて深刻で、こういう大変な状況のときに、なぜ安倍総理も武田防災担当大臣もこの委員会に出席していないのか、この点については強く抗議をしたいと思います。
しかしながら、急を要する問題がありますので質問をいたします。
第一に、政府が分散型避難を呼びかけている、そのもとで、自宅や親戚宅に避難されている方がたくさんいらっしゃいます。しかし、そこに物資や医療の支援が届いていないという状況が現状であります。
パネルを見ていただければと思います。十二日の人吉市、ごらんいただいたらわかりますように、二階までもう水につかっていたということがたくさんあるわけです。親戚宅に身を寄せていると。ある男性は、自分は一週間車中泊だけれども家族は親戚だと。自宅の二階にいるという方は、一階にあった冷蔵庫も洗濯機もやられた、風呂にも入れない、車も使えなくなったので遠くのスーパーに歩いて買物に行かなきゃいけないというんですね。病院で肺の検査をする予定だったけれどもキャンセルになったと。山間地で孤立が続いている、そういう集落も複数あります。
防災担当副大臣、平副大臣にお聞きしたいんですが、内閣府は七月の十日に、こうした親戚宅などに身を寄せている被災者に対するプッシュ型の支援を求める通達を自治体に出されていると思います。しかし、現状のままでは、このせっかくの通達がかけ声倒れになりかねない。これをどう改善していかれるんでしょうか。
○ 平副大臣 委員御指摘のとおり、うちの武田大臣と御党の志位局長、連絡を密にされて、今月の十日に、災害救助法の適用を受けた県に対して、在宅避難者への物資、情報等を適切に提供していただくように通知を発出したところでございます。
委員、その後、現地に入られたということだというふうに思いますが、被災地においては、例えば、やはり圧倒的人手不足の中でありますが、熊本県の球磨村においては、自衛隊により、支援ニーズのあると確認された在宅避難者に対しては、医薬品を含め支援物資を配付をしておりますし、人吉市においては、要支援者名簿を活用して避難者の状況を把握し、必要な支援物資を届けていると聞いています。ただ、まだ足りないところがあるという御指摘であります。
目詰まりしているのが、まず物資なのか人手なのか情報なのかということですが、物資はプッシュ型で在宅避難者の分まで供給するようにしています。多分、人手のボランティアのところと、あと情報ですよね、どこに誰がいるか全部把握し切れていないということだと思います。
基本的に、元気な方は避難所まで来ていただいて御連絡をいただいたり、物資を持って帰っていただいたりということだと思いますが、要支援者の方はそうはいかないと思いますので、こちらは、本来、リスト化をして行動計画をつくることになっていますが、避難所の分散化にそれがついてきていない可能性もありますので、今後、自治体とよく連携をとりながら、今の状況を解消してまいりたいと思っております。
○ 藤野委員 ぜひ、きめ細かな対応を求めたいと思います。
第二に、今回は、コロナ禍に続く豪雨災害という、いわば二重の打撃になっております。それに対応した特別の支援が必要だというふうに思うんです。
パネルの二枚目を見ていただきたいんですが、これは十二日の球磨村の写真であります。この写真のように、もう本当に多くの家が土台だけを残して流されてしまっている。鉄橋も、まさに上の部分は全部、複数流されているというところもあります。言葉を失う甚大な被害というのが実態です。
球磨川下りのラフティングを十七年間経営してきた御夫婦のお話では、コロナでラフティングの客がもう全然なくなった、しかし、ようやく七月から予約が入り出したんだけれども、そこに今回の災害が襲ってきたというお話でした。
そして、人吉市のあるホテルの経営者の方はこうおっしゃっていたんですね。球磨川下り、宿泊業、飲食業、社交業、つまり、直接間接で町全体が被害を受けた、だから町全体が復興しないといけないんだ、ただ、既にコロナのときに目いっぱい借金をして、もう借りきらぬ、借りれない、そういう人が多いというんですね。店を閉めてしまう人が多くなるのではと心配されていました。
これも副大臣にお聞きしたいんですが、やはり、二重の被害でもう心が折れてしまう、こういう方がたくさんいらっしゃいます。それを、心が折れないために、迅速な、総合的な支援が必要だと思います。特に、もう借りれないという方が多いわけですから、直接的な支援、直接的な補助も含めて、現場が必要とする全てのことをやるという立場で全力を尽くしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○ 平副大臣 今御指摘の部分でありますが、激甚災害ということで、借入れではないというお話ですが、保証枠が拡大をされます。そういうのも御活用いただきたいと思いますし、また、各省庁横断で被災者生活・生業再建支援チームも設置したところでございますので、きめの細かい対応をしてまいりたいと思います。
質問の問取りの際に、グループ補助金の速やかな適用という……(藤野委員「それはいいです、それはもう」と呼ぶ)いいですか、それは。それは所管外ですので、経産省に聞いていただければと思います。
いずれにしても、支援チームを通じて、いろいろな現地の声を聞いて、適切に対応してまいりたいと考えております。
○ 藤野委員 まさに、融資だけでなく、直接的な支援、これはさまざまあります、この間の台風被害でもつくっていただいた、こういったことを全てやっていただく。
よく政府は、できることを全てやると、総理もおっしゃったんですが、できるできない、現行制度の枠内でできるできないではなくて、やはり、現場が町全体の復興とおっしゃっているわけですから、町全体を復興していくために必要なこと、できることではなく必要なことを全てやるんだという立場で取り組むことを強く求めたいと思います。
そして、総理は十三日、私が入った翌日に被災地を視察されて、そのときに四千億円の対策費というものを打ち出されました。
ただ、これは詳細もちょっとまだよくわかりませんし、それで足りるのかもわかりません。さらなる審議が必要だと思います。
これは委員長にお諮りしたいんですが、総理と防災大臣の出席を求めて、集中審議をぜひ行っていただきたいと思います。
○ 棚橋委員長 後刻、理事会において協議をさせていただきます。
○ 藤野委員 コロナの問題についてお聞きしたいと思います。
きょうの審議でも、やはりコロナ対策における医療機関の重要性というのが本当に明らかになったと思います。ただ、先ほども、政府、大臣も、医療体制は全体としては逼迫していないと答弁されましたが、私は、こういう認識は本当にとんでもないと思うんですね。コロナ対策を担っている医療現場では、今深刻な事態が広がっております。
日本医療労働組合連合会の調査で、加盟医療機関の三割、三四・五%で、夏のボーナスが減額されるということが明らかになりました。東京女子医大病院では、ボーナスが支給されないということを受けて、四百人を超える看護師が退職の意向を示した、これも大きなニュースになりました。
大臣にお聞きしますが、やはり医療従事者の方々は、文字どおり、命がけで治療や感染予防に当たっていただいております。その医療従事者の賃金がカットされることなど、あってはならないと思うんですね。今の状態が放置されれば、この東京女子医大のように退職者が続出して、肝心のコロナ対策、このコロナ対策も崩壊しかねないのではないか。西村大臣にはそういう危機意識はおありでしょうか。
○ 棚橋委員長 厚生労働副大臣橋本岳君。(藤野委員「大臣に」と呼ぶ)担当ですので。
○ 橋本副大臣 医療提供体制のことでございますので、厚生労働省より答弁を申し上げます。
今御指摘をいただいたような報道があるということは私ども承知をしております。また、医労連さんの調査につきましても承知をしているところでございます。
賞与等々支給をするか、待遇をどうするのかということは、一義的には、各医療機関の経営判断、労使の話合い等によるものと考えておりますが、私どもといたしましても、地域の医療提供体制は複数の医療機関が連携をして面で対応するものであって、その一部が欠ければ成り立たない、そして医療機関全体として必要な医療従事者の方々にきちんと安心をして働いていただく、そうした中で診療を継続することができるよう支援をしてまいりたいと考えておりますし、そのため、二次補正予算につきまして、さまざまな対策を講じているところでございます。
まずはしっかりと第二次補正予算の執行を速やかに行うということで、各種支援策を医療の現場にお届けすることで地域の医療を継続することができるよう、万全の体制をとることが重要だと考えております。
○ 藤野委員 その各経営判断に任せていたら、このままでは担い手がいなくなって、コロナ対策が崩壊しかねるという危機感が大臣にはないんですかという質問なんです。
これは東京だけの話ではありません。この新型コロナの対応や受診抑制で地方の病院経営も深刻な影響を受けております。
私、この間、新潟県の複数の公的病院でお話を聞いてまいりました。
パネルを見ていただきたいんですが、これは県内の、A、ある公的病院です。青いグラフが二〇一九年の、こちらが外来患者数、こちらが入院患者数、そして赤のグラフがことしの外来と入院の患者数になります。いずれも、四、五月になって急激に減少しているということがわかります。
この病院では、外来と入院、合わせて約三億五千四百万円の収入減が起きておるということであります。一つの病院で三億五千万円を超える減収というのは大変な負担であります。
この病院だけでなく、私は別の公的病院からもお話を聞きましたが、こういう傾向は同じなんです。そして、さらに、新潟県が県内の百二十五の病院を対象に行った調査でも同じような傾向が出ております。
このA病院の事務長さん、こうおっしゃっていました。大臣、聞いていただきたいんですけれども、地方の病院でも新型コロナによる受診抑制がある、外来、入院患者が減り、減収による経営への影響が非常に大きい、患者が減っても体制、人員は減らすわけにはいかない、人件費や機器のメンテナンスなど固定費は変わらないので減収はすぐ赤字に直結する、下支えが必要だと。
大臣、ちょっと今度は御答弁いただきたいんですけれども、要するにコロナを、それによって、コロナを受け入れていない、そして地方の病院でも本当に大きな影響が出ている。それぞれの病院は役割分担をしていて、特に地方ではコロナの病院だけを支えればいいというわけじゃないんです、連携してやっていますから。そういう意味で、いずれの医療機関にも起きている減収をしっかりと補填することで下支えをしていく、これが必要だという認識は大臣にはありますか。
○ 西村国務大臣 私のところにも、全国の医療機関の方々、私の地元も含めて、まさに新型コロナウイルス感染症への対応をしているところも、そうでないところも、その対応をしているか否かにかかわらず、大変厳しい状況になっているという声をいただいております。切実な声を伺っております。
既に、厚生労働省の方で、一次補正、二次補正、特に二次補正において、約三兆円の医療に対する支援の予算を計上し、それを着実に執行しているところだと思いますけれども、診療報酬の三倍増とかあるいは空床の確保、それから、さまざまな支援制度をとっているところであります。
私の立場からも、地域の医療提供体制がしっかりと継続していけるように、このことを厚労省とも連携しながら対応をしていきたいというふうに考えております。
もし必要があれば、厚労省から御答弁いただければと思います。
○ 藤野委員 私は、いろんな医療機関の方から大臣にぜひ伝えてほしいという声を聞いてきたので、ちょっと御紹介させていただきたいと思うんです。
医療の提供体制は逼迫していないというお話なんですけれども、しかし、それは病床とかベッドがあればいいという話じゃないというんですね。ある方は、夜勤をどう組むかとか、感染予防をしながら誰に担当してもらうかとか、そして他の病院とどう連携するかとか、表には見えないけれども、一つのベッドで患者を受け入れるには大変な負担があるということを知ってほしい、こういう声でした。
そして、人工呼吸器でも、一台当たり、二十四時間で考えると十人ぐらいの看護師が必要だと。しかも、ただの看護師ではなくて、人工呼吸器にかかるということは、いつ症状が悪化するかわからない、二十四時間目が離せない患者なんですね、ですから、専門的な知識とスキルで先が見通せるような、そういう訓練を受けた十人が必要なんだと。そして、その一人一人が胸が痛くなるほどの緊張感を持って仕事につかないといけないとおっしゃっていました。
ですから、医療従事者は使命感で頑張っているんですけれども、体と心が追いつかない状況に今追い込まれつつある。しかも、東京の状況を見ていると、いつ収束するかわからない。ある方は、一カ月なら夜勤も頑張れるけれども、いつまで続くかわからないもとで続けるというのは本当につらいと。
つまり、ベッドや呼吸器という物に余裕があるかどうかではなくて、それを動かす何十人もの人が今精神的にも肉体的にもぎりぎりの状態になっているんだ、これをぜひ大臣に認識していただいて、だからこそ、政府がやるべきことは、感謝とかだけではなくて、財政的にもしっかりと下支えをすることによってそうした方を応援していく、これをしっかりとやっていただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
その上で、次のテーマで、今の感染拡大において大きな穴になっている問題として、米軍関係者の問題があると思います。
沖縄県内の米軍基地で、十四日までに新型コロナ感染者が百人に達しました。我が党は、このコロナ対応は全て米軍任せで、日本人が受けているようなものを全く受けられない、日本側は関与も検証もできない、このことを国会で何度も指摘して警告してきましたが、政府は対応してきませんでした。その結果、こういうことになっている。
沖縄の玉城デニー知事は、これ以上の感染拡大を防止するために、政府に申し入れていると思います。
大臣、お聞きしたいんですが、クラスターが発生している普天間基地とキャンプ・ハンセンは閉鎖をする、そして米国本国等から沖縄への移動を中止する、このことなどを国に要望しております。感染拡大を防ぐためには、この沖縄県知事の要望を直ちに実施すべきじゃないですか。
○ 棚橋委員長 外務副大臣若宮健嗣君。
なお、若宮君にお願いいたします。申合せの時間が迫っておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。
○ 若宮副大臣 はい。
お答えさせていただきます。
今委員が御指摘になりました沖縄の在日米軍施設・区域内での多数の感染者確認、地元の皆様方には大変御心配をおかけしているところでございます。
政府といたしましては、米側からこのような説明を受けております。七月十一日以降に確認されました普天間飛行場及びキャンプ・ハンセンの感染者は、既に感染が確認された者が所属する部隊全員に積極的なPCR検査を実施した結果、判明したものでございます。
また、感染の増大を受けまして、在沖縄米軍では、健康保護体制が上から二番目のレベルCに引き上げられてございます。新規感染者の行動履歴の追跡を行うとともに、各施設・区域内においても、必要不可欠なものを除く外出制限が命ぜられているところでもございます。
こうした形で、在日米軍としても、沖縄での感染増大を非常に深刻に受けとめてございまして、県や地元の皆様方と緊密に連携をしながら、感染拡大防止のために適切な措置をとっていくとしているところでもございます。
○ 棚橋委員長 藤野保史君。
なお、恐縮です、簡潔に。
○ 藤野委員 今、レベルCとかいろいろおっしゃいましたが、それはあくまで日本に入国した後の話なんですね。
私の質問は、米国民というのは、アメリカの国民というのは、今、感染者が三百四十万人に達している世界最大の感染国であって、米国民は日本に入国できないんですね、基本的に。ところが、米軍関係者だけは基地を通じて入国できているのはなぜなのか。だからこそ、知事は移動中止ということもおっしゃっている。米軍関係者のコロナ感染は、もう既に二万六千人に達しているわけですね。
ですから、ちょっと大臣にこれはお聞きしたいんですが、コロナ対策といった場合に、この米軍というルートが感染防止対策において大きな穴になっている。そして、この穴を放置していたら国民の命が危険にさらされる、そういう認識はコロナ担当大臣としてお持ちなんでしょうか。
○ 棚橋委員長 国務大臣西村康稔君。
なお、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○ 西村国務大臣 先ほど御説明が外務副大臣からございましたけれども、外務省そして防衛省において、在日米軍とも連携し、まさに日本国内における新型コロナウイルス感染症が拡大しないように、適切に措置を講じて防止に取り組んでいただきたいというふうに考えているところであります。
○ 藤野委員 非常に人ごとの答弁なんですが、これは大きな穴なんです。これだけ短期間に百人に達する、これを防がなくて国民の命と健康をどうやって守るのか。大臣としてまさに全力で取り組まなきゃいけない問題なんですね。
地元紙の報道では、基地で働いている従業員の方の子供さんが学校に登校することを自粛を求める動きが広がっていると。四市町村で、少なくとも十三日、十四日で四十三人が欠席しているというんです。この欠席理由には、米軍からの要請もあったと言われております。
○ 棚橋委員長 藤野君、申しわけないんですが、維新さんの時間が来ておりますので。
○ 藤野委員 本当に許しがたいと思うんですね。
つまり、要するに、政府が国民の命や健康を本気で守るのか、その気があるのかということが問われていると思います。
豪雨災害や新型コロナ対策など、審議すべき課題は山積みです。予算委員会の集中審議を強く求めて、質問を終わります。
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しんぶん赤旗 2020年7月16日2面記事 PDF
作成者 : fujinoyasufumi