原子力問題特別委員会質疑
衆院原子力問題特別委員会で質問。
はじめに、今朝の「毎日新聞」で報じられた、関電の3原発の火山灰対策について、更田原子力規制委員長が国会で虚偽答弁をした問題です。
この火山灰対策の問題は、私も昨年来、国会で取り上げてきました。
関電の原発マネー還流問題や日本原電によるデータ書き換えなど事業者側の許しがたい不祥事だけでなく、それらの事業者を規制すべき委員長が、「原発が審査基準に適合しているのか」という重大問題に関して、国会にウソの説明をしていた。
極めて深刻な問題です。
まさにウソで塗り固めないと動かせないのが原発だということを規制委員長自身が示したと言えるでしょう。
原発はもうやめるべき!
後半は、関電原発マネー還流問題で質問。
今回の第三者委員会「報告書」では全く触れられていませんが、森山氏以前の立地当時の頃から、高浜原発をめぐり、国や政治家が深く関わっていたことを具体的な資料(初出)で暴露しました。
とりわけ、原発が「国策」であることが歪んだ工事の大義名分とされていた点が重要です。
「国策」である原発の推進政策がどう影響したか? 国の責任を調べないと本当にメスを入れたことにならないではないか?と私は質問しましたが、経産副大臣は答弁せず。
引き続き追及します!
(この質問については、説明動画も作成中。資料の説明もしてます。こちらもぜひご覧ください!)
- 会議録 -
○ 江渡委員長 次に、藤野保史君。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
私も冒頭、今、斉木委員や日吉委員からお話もありました今回の規制委員会の問題についてお聞きをします。
更田委員長は、きょう、所信といいますか、冒頭お述べになった中の最後に、「我が国の原子力規制に対する信頼の回復は、いまだ道半ばにあります。」こうおっしゃいました。今回の問題がこの道半ばにある国民の信頼に対してどういう影響を与えるかということであります。
私自身、この委員会でもこの関電の三原発の火山灰の問題を質問させていただきましたし、我が党でいえば、笠井議員なども質問されております。これは適合か不適合かにかかわる重大問題だから、やはり繰り返し取り上げてきたわけであります。
ことし一月九日には、今問題になっている文書についても、私たちは文書で資料提供も求めておりますが、実際には出てこなかったわけであります。それが、今回、毎日新聞の音声データ等の報道で大きく覆ったということになります。
これまで更田委員長は、例えば三月十日の参議院内閣委員会では、この文書について、見た記憶がないと国会に説明されておりましたし、記者会見でも、この資料をもとに説明していないんだ、議論した事実はないんだということも繰り返しおっしゃっている。やはり、こうした姿勢がこの道半ばにある信頼に対してどういう影響を与えると更田委員長は思っていらっしゃるのかなんですね。
先ほど来、川内原発とか、今回の三原発でも、規制委員会がみずから見つけに行って、規制を強化されたという趣旨も述べられておりましたけれども、私は、ある意味、そうやって現場で頑張っているといいますか、現場で本当に汗をかいている職員の皆さんのそういう信頼回復に向けた努力についても、今回の事態がそれを大きく損なう、信頼を損なうものだ、そういう認識は委員長におありでしょうか。
○ 更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
疑念を持たれたこと自体は、先ほど来申し上げておりますけれども、大変遺憾だと思っております。これは、改めるべきところは改めてまいりたいというふうに思います。
また、原子力規制に対する信頼が道半ばというのは、これはずっと掲げていくことだろうというふうに思っています。自己満足に陥ることなくというのは、これは基本的なものですので、これで信頼が回復したなどというふうに申し上げる考えはありません。
それから、さまざまなバックフィットについても、これは、例えばバックフィットを問題とする過程について、これを、記録なり公開性を高めるというのは一つの課題であろうというふうには思っております。例えば警報なし津波等は、これは私自身のアイデアでもってバックフィットへつなげていったものでありますし、大山生竹テフラについても、先生おっしゃるように、規制委員会がみずから見つけていった新知見に基づいてバックフィットをかけたものであります。
○ 藤野委員 今回は回復どころか信頼を損ねているというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。
先ほど来お話ありますけれども、今回問題になったのは、二つの案のうちどっちをとったか。一つの案をとれば基準が不適合になる、そういう道に開いていくような案です。もう一つは適合になっていく、そういう案なんですね。こういうまさにぎりぎりのところで適合を選択し、不適合を選択しなかった。
私は、今回の経緯を見ていると、国会事故調の報告書を思い出すんです。国会の事故調の報告書には、既存炉の、既存で動いている炉の運転に影響のある、そういう新知見を認識しても避けたという記述が、津波についても地震についても繰り返し繰り返し出てくるんです。まさに既存炉の運転に影響を与える、今バックフィットというお話がありましたけれども、幾らそういうことを強調されても、まさにそういうクリティカルな、ぎりぎりの局面でそういう選択が今回行われたのではないかということが音声データで浮き彫りになっているわけでありまして、本当にこれは大変な問題だと思います。
もう一つ思い出したのは、田中前委員長がこの間、雑誌とか新聞のインタビューで、例えば、核燃料サイクルは回るんだというような、そういうことはうそだったと率直におっしゃって、原発はそういううそに基づいて推進されてきたんだという旨の発言を繰り返されております。
関電の問題もあります。今からもさせていただきますが、今、宮川委員からもありました日本原電等々の改ざんの問題もあります。そういうことに加えて、あろうことか、規制委員会までもがこういうことをやったのではないかと。国民の信頼に対する影響というのは甚大なものがあると。
逆に言えば、こうしないと原発というのは動かせないんだと。事業者も改ざんする、規制側もそういう選択をしていく、こうしないと原発というのは動いていかないんだということを、はしなくも、事業者も、そして規制側もみずから示したのが今回の事案ではないかと思っております。私は、こういう原発はもうやめるべきだということを改めて強く主張したいと思います。
その上で、関電の問題について質問させていただきます。
三月十四日に第三者委員会の報告書が出されました。これはまさに、国策で進められた原発の関連工事をめぐって、電気料金を原資とする多額の原発マネーが還流して、森山氏と関電幹部の異常な関係が温存し、拡大されてきたという実態、その一部を浮き彫りにしたものであります。
ただ、この問題の闇は、私はまだまだ解明されていないというふうに思うんですね。報告書自身も、例えば十九ページには、わざわざ本報告書の前提、限界という章を設けて、過去における本件問題の背景事情、これらを知る上で限界があった、限界、制約等が存したというふうに明記をされております。
我が党は全国各地に支部がありまして、高浜町にもあるんです。そして、高浜原発一号機、二号機、当初、立地当時から、まさに原発関連の工事をめぐる水増しとか空工事というのは地元で大問題になっているんですね。この問題を地元の支部の皆さんが分析してきた記録もあります。
また、現在、高浜町議会には、七〇年代、八〇年代から活動されている渡辺孝さんという我が党の議員もいらっしゃるんですね。今回私は、こうした方々から当時の様子をお聞きして、現地も調査してまいりました。その一部について質問させていただきます。
配付資料の一をごらんいただければと思うんですが、これは高浜原発と大飯原発の真ん中ぐらいにある青戸入江というところの地図及びそれを拡大したものであります。
この青戸入江で、実は、高浜原発一号機当初から、建設と時期を同じくして、入り江の水面の埋立工事というのが盛んに行われたんですね。これでいいますと、赤とか青とか黄色の陸側の部分までずっと海だったんですけれども、これがずっと埋め立てられて今のようになっているということであります。これは公有水面なんです。
公有水面とは何かということを配付資料の二で、これは国交省のガイドラインなんですけれども、紹介させていただいております。
公有水面というのは、国の所有に属する公共用財産であり、国民共有の財産であるということなんですね。埋立てとか用地変更とか時々あるんですけれども、用地変更というのは、そういう国民共有の財産の帰趨にかかわる重要問題だから、しっかりチェックしなきゃいけないよというのが後半に書かれておりまして、そこに、黄色で塗っていますのは、「転売される等により利権化に繋がりかねないことから慎重な判断が必要である。」というふうに国交省のガイドラインに書かれている。
では、この青戸入江はどうだったのかということなんであります。
配付資料の三を見ていただきますと、これは、私どもが登記簿を調べて、配付資料の一でいう安土2、3、4、そして水明という土地についての所有者の移転についてお示しをしたものであります。
これによりますと、例えば一番上の安土2という地盤でいえば、埋立てを出願したのは若狭開発株式会社、埋立てが竣工したのは一九六九年二月、そのときは所有者が福放、これは福井放送なんですけれども、両者はいずれも代表者が同じ加藤尚氏であります。その後、余り時期を経ずに、その年あるいは翌年に関西電力に売却されております。
安土3という土地も安土4という土地も、ちょっと時間の関係で省略しますが、ほぼ同じ構造で関電の所有物になっているということであります。
私、青戸入江というのは何回も行ったんですが、これは、関電の社員寮とか、あるいは関電の原発訓練センターとか体育館とか、もうまさにこの地域は関電の専用の土地のような状況になっております。
配付資料の四を見ていただきますと、これは、今回、第三者委員会の報告書で、百四十九ページ、百五十ページを抜粋させていただいております。
「関電不動産開発による吉田開発への発注に関する問題点」というところで、関電不動産開発が、遅くとも二〇〇〇年ごろから、おおむね一年に一度、森山氏に対し、口頭又は書面により次年度に吉田開発に発注する予定の工事に関する情報の提供を行っていた、こういう指摘があります。この吉田開発に発注する予定の工事というのは、この関電不動産開発に限って言えば、ほぼ社宅や社員寮なんですね。
配付資料の四の右側に、平成二十九年度の計画工事というのが例として挙げられていますけれども、これは平成二十九年だけなんですが、私どもが吉田開発の工事経歴書を調べたところ、この吉田開発と関電不動産開発の関係の工事の全てがこの地域にある関電関連の社宅や寮でありました。
報告書によると、この社宅の工事に対して森山氏から、ことしは幾らくらいいけそうやというふうに聞かれて、いや、三千数百万円ですと答えたら、森山氏がもうちょっと何とかならぬかと強く要求して、それによって三千数百万円だったのが六千二百万円にふえたという生々しい記述もこの中に、報告書ではされております。
そもそも、なぜここが関電の社宅になったのかというところに私はきょう焦点を当てたいと思っておりまして、配付資料の五を見ていただきますと、これは、一九七〇年の九月二十八日に、若狭開発株式会社の加藤尚、先ほど言いました福放の、福井放送の代表取締役でもある加藤尚氏が、福井県知事の、当時の中川平太夫知事に提出した公有水面埋立免許申請書であります。
これによりますと、黄色で示しているところですが、「一部公益事業たる関西電力株式会社高浜原子力発電所建設の為めの従業員宿舎並に外人宿舎敷地としての強い要請に基き、公共用地として犠牲的に分譲せしにより代替地として御免許の程此の点充分御賢察賜わり度」、こういう趣旨なんです。
配付資料一に戻っていただきますと、例えば赤で囲っている安土3、2ですけれども、安土3、ここが、犠牲的にと書かれている、若狭開発が関電に犠牲的に分譲した土地だと。
ちなみに、外国人宿舎というのは、これは、高浜原発一、二号機の建設に協力していたウェスチングハウスの外国人技術者のことであります。
そして、この赤の2の横にあるのが安土なんですね、青いの。この安土4というのが、このときに加藤尚氏が代替地として、つまり、赤を犠牲的に関電に渡したんだから、青を今度また新たに埋立てさせてくれという要求をしているということなんですね。結局、この青も関電の所有地になっていきます。
この若狭開発株式会社の加藤尚氏というのは大変興味深い方でありまして、「二十世紀ふくい群像」という本によりますと、でっち奉公から大富豪になったという方なんですね。織物をもとに一代で財をなした、東京の一等地にも土地を持ち、終戦直後、全国長者番付の日本一位、福井の方なんですけれども、長者番付の一位になったという方、それぐらい大もうけされた方なんですね。
同時に、この「二十世紀ふくい群像」などには、福井の妖怪とか怪物、政商であったというような、そういう記述もあったり、実に虚実が渦巻いた人物だったという記載がされております。
配付資料の六を見ていただきますと、その一端なんですが、これは、加藤尚伝刊行会という委員会がつくった「評伝加藤尚 一念不動」という。米寿を祝う会というのをやったそうなんですが、開会の辞は福井銀行頭取、発起人代表が福井県知事、そして衆議院議員代表福田一さん、参議院議員代表熊谷太三郎さん、祝電披露は、内閣総理大臣中曽根康弘、郵政大臣、大蔵大臣竹下登さんと並んで外務大臣安倍晋太郎さんまで出てくる、自民党の最高顧問福田赳夫さんとか、日本民間放送連盟会長、読売新聞社社長、朝日新聞社社長など、まさに日本の政財界のトップが勢ぞろいしている。
配付資料の七を見ていただきますと、これは同じ伝記からなんですが、加藤氏と原発のかかわりを描いた部分なんですね。彼は、この原発によって本当に発展していくんだということでこの開発に乗り出したということが赤裸々に書かれております。
経産副大臣にお聞きしたいんですが、要するに、公共の財産、国民共有の財産である公有水面の埋立地が次々と関電のものになっていったそのプロセスに、中央財界とも、政財界とも深いつながりのあった福井財界のトップが直接深く関与していたわけですね。これは森山氏が登場する以前なんです。
ですから、今回の調査、これはこれで一つの調査だと思いますが、しかし、やはり事の真相を明らかにしようとすれば、森山氏以前、しかも、国とか政治家の関係を含めて調べないと、これはやはり本当の真相はわからないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○ 松本副大臣 今委員から御指摘のありました公有水面埋立法上の取扱いに関しましては、所管外であるからコメントは差し控えたいというふうに思っております。
一方、先ほど来御紹介をいただいておりますように、今回の第三者委員会の調査報告書におきましては、広範な役職員が金品を受領していたこと、また、事前の発注約束や特定の取引先の事前の情報提供を行うなど不透明な工事発注、契約があったこと、また、社内調査の非公表を不適切なガバナンスのもとで決定したことなど、公益事業者として信頼を失墜させる大きな問題というふうに考えているところでもありまして、これを受け、我々といたしましては、業務改善命令を発出をさせていただいているところでございます。
法律上の罰則により担保されている業務改善計画の実効性につきまして、我々経済産業省としてもしっかりと監督をしてまいりたいと思いますが、仮に、業務改善計画を適切に実行しないなど、更に対応すべき事態になれば、追加的な措置を講ずることもあり得ると考えております。
○ 藤野委員 同様の動きは、高浜原発三、四号機、今のは一、二号機なんですが、三、四号機のときも起こりました。というよりも、ここで森山氏の登場によってエスカレートするわけです。
配付資料の三でいえば、水明という埋立てで、これは高浜町から関電に所有権が移っております。高浜町は、当初、この埋立ての目的として、運動公園など住民の憩いのための広場を建設するために埋立てさせてくださいというふうに説明していたんですね。ところが、これを変更するんです。
配付資料の三を見ていただきますと、その変更許可申請書なんですが、これは、変更前は、運動場用地が一・六ヘクタールとかいろいろあるんですが、変更後は、これがまたなくなりまして、原子力保修訓練センターというふうになります。変更の理由のところを見ていただきますと、当初計画では憩いの広場造成を目的として計画しましたが、国策に協力するために原子力保修訓練センターに変更したい、こういう変更理由申請なんですね。
このことは地元の高浜町議会でも問題になって、我が党の渡辺孝議員などは質問し、それに対して森山氏が答弁しているんです。当時、浜田倫三町長なんですが、これは報告書にも出ているんですけれども、報告書の六十九ページの注五十七にも出ているんですが、森山氏は、高浜町議会においてたびたび浜田氏、浜田町長の指名に基づき答弁しておりとありまして、つまり、この案件は森山案件として町から関電への移転というのが行われていた。だから議会でも中心的に答弁しているんですね。
副大臣、これ、一、二号機のときは、ある意味、民間民間の話でありますが、三、四号のときのこの水明の土地は町からなんです。しかも、当初の説明は全く違うんです。当初の説明のときに、お金もどんどん町から町費として税金が使われているわけですね。それで町議会では森山さんが出てくると。つまり、町でお膳立てをして関電に売却した。しかも、その大義名分が、ここなんですが、大義名分が国策であるということなんです。国策であるということが今回の用途変更の決定打になっているわけですね。
ですから、私は、国策が与えた影響とは何だったのか、それが、原発工事、こうした埋立工事も含めて、どういう影響を与えたのかということも含めて、国の責任もしっかり調べなければ真相は明らかになってこないと思うんですが、この点について、大臣、いかがですか。
○ 江渡委員長 申合せの時間が経過しておりますので、松本副大臣、簡潔に御答弁お願いします。
○ 松本副大臣 重ねての答弁になって大変恐縮でありますけれども、公有水面埋立法の運用につきましては、所管外であることからコメントを控えたいと考えております。
また、先ほどもお話をしましたように、これらも含めまして、業務改善計画というもので指摘をさせていただいているところでありまして、まずはこの実効性について我々としても監督をしてまいりたいと思っております。
○ 藤野委員 もう終わりますが、最後に委員長にお願いしたいのは、先ほども上げました但木委員長を呼んでの当委員会での質疑を求めたいのと同時に、この報告書は非常に新しい事実もあります。同時に限界もあるわけで、これに関する資料をぜひ、いろいろな資料が紹介はされているんですが、この資料をぜひ当委員会にも提出を御検討いただきたいと思います。
○ 江渡委員長 理事会で協議させていただきたいと思います。
○ 藤野委員 終わります。
会議録PDF
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質疑資料 PDF
20200326_genshiryoku_Fujino_shiryo
しんぶん赤旗 2020年3月27日2面記事 PDF
タグ : 原発・自然エネルギー 作成者 : fujinoyasufumi