予算委分科会で気候変動問題について質問
今日の予算委分科会で、気候変動問題について質問しました。
22日に訪れた長野県白馬村の高校生の声を大臣に伝え、気候変動対策の強化を求めました。
気候変動対策のカギを握るのが石炭火力の削減です。
削減を強く求めましたが、大臣は使いたいと固執。
今回は、追及とともに希望を語ることを重視しました。
アメリカでもヨーロッパでも、気候変動対策を取れば雇用が増え、再エネ分野での雇用を増やせば気候変動対策が進むことが示されています。
ILOも気候変動対策を進めれば、対策を取らない場合より1800万人雇用が増えると分析しています。
気候変動対策と雇用・経済は、Win Winの関係なのです。
石炭に固執する理由は何もありません!今こそ転換を!!
- 会議録 -
○ 神山主査代理 次に、藤野保史君。
○ 藤野分科員 日本共産党の藤野保史です。
私は、地球規模の気候変動問題について質問させていただきます。
日本でも、台風、豪雨災害の大規模化や猛暑による米生産への打撃、海水温上昇による不漁など、深刻な影響が出ております。今や気候変動ではなく、気候危機というレベルだと思います。
昨年の十二月四日に、長野県の白馬村が、全国の自治体で三番目となる気候非常事態宣言を行いました。私、今月の二十二日に、この白馬村に伺いまして、関係者の皆さんからお話を伺ってまいりました。
まず、白馬高校の二年生である手塚慧介さん、金子菜緒さんとお話しさせていただきまして、このお二人と宮坂雛乃さんという方、三人が中心となって、例えば、昨年九月二十日に、村内でグローバル気候マーチを企画したり、これに人口九千人ぐらいの白馬村で百二十人が参加したという取組になりましたし、十一月三十日には、気候難民のためのチャリティーバザーを開催した。白馬村として気候非常事態宣言を出してほしいという署名を下川正剛村長に何度も届けたということであります。ことし二月には、白馬のゲレンデでスキーをしながら気候マーチを行ったとお聞きをしました。
私は、お話を聞いて非常に感銘を受けたんですが、例えば、金子さんは、生活と持続可能性、SDGsを結びつけている人が少ない、結びつけられる人が少ない、でも、そういう話をいろいろ説明すると、高校生の同級生たちもだんだん変わってくるんだということをおっしゃってくれました。
手塚さんは、自分がおじいちゃんになるまで白馬のこの環境を残したいと。政府に何か言いたいことはありますかと聞いたら、もっと楽しさを大事にしてほしい、つらいことだとみんなやらない、みんながかかわれるように工夫してほしいというふうに私は言われたんですね。
大臣にお聞きしたいんですが、結びつけられる人は少ないけれども、でも、やはり話をすれば変わるんだとか、みんながかかわれるように楽しさを大事にしてほしいという、いろんなヒントはあると思うんですが、こうした高校生の声を聞いて、どのようにお感じになりますか。
○ 梶山国務大臣 気候変動問題は、現在排出された温室効果ガスが将来の世界の気温の上昇につながるということで、人類全体で考えていかなければならないと思います。
その対策としてさまざまなことが挙げられるわけですけれども、生活にも関連をさせるということで、つくり出したエネルギーがそこでまた使われているということもありますから、どう省エネをしていくかということなどは、今高校生の方がおっしゃったような、楽しさも含めてどう皆さんが意識を持って行動していくかということだと思いますし、かたい話ばかりではなくて、そういう考え方で物事に臨むことも重要なことであると感じました。
○ 藤野分科員 今省エネとおっしゃいましたけれども、この白馬高校では、今断熱の取組をされているそうなんです。
何でそういうのを始めたのかと聞いたら、いや、もう単純に言って、教室が気持ちよくないからですと。夏は暑くて冬は寒い。何とかしたいというので考えていくと断熱だというので、今いろいろな制度も調べてやっていらっしゃるということで、やはり、気持ちよく過ごすためにとか楽しくなっていくということは多くの方にとって共通の願いでありますから、こうした取組をぜひ進めていただきたい。
白馬村の高校生たちが気候変動に関心を持ったのは、白馬SDGsラボという勉強会に参加したのがきっかけだったということなんですね。
また、プロテクト・アワー・ウインターという団体が世界的に活動されていまして、これはプロのスキーヤーとかスノーボーダーとか、そういう方が冬を守れということでやっているわけですね。そういう方も白馬で皆さんとつながって運動されている。
ここに民間企業の取組も始まっておりまして、白馬村周辺の三つのスキー場の運営に携わっている会社、白馬観光開発会社というところの横澤勝也さんという技術本部長から私はお話を聞いたんですが、スキー場というのはやはり大変大量の電気を使うんだ、リフトとかゴンドラとか、だからこそ同社では省エネに取り組んできたと。社員の有志でSDGs推進委員会というのを社内につくって、いろいろな取組、例えば照明のLED化とか、乗り合い客、一台に一人とかじゃなくて、何人も車に乗ってきた場合はゲレンデに近い専用駐車場を提供するとか、いろいろ工夫をされているんですね。あるゲレンデでは、三日間だけなんですけれども、その三日間、再エネによる電力に切りかえるなどの、そういう試みも行ったそうであります。
大臣、お聞きしたいんですけれども、例えば、同社が管理するリフトが二十七本あるんですが、これ一本の電力を再生可能エネルギーに恒久的に切りかえると、年間百万円負担増になるとおっしゃいました。やはり負担になるんですね、今の時点で言えば。ただ、CO2削減のためにやりたいというふうに同社はおっしゃっていたし、将来は木質バイオマスにも取り組みたい、山の間伐でたくさんあるんだというお話もされておりました。ただ、今の時点ではいろいろ課題もある。
ですから、こういう民間の取組を、国交省とか観光庁とかはいろいろやられているんですが、経産省としても後押ししていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○ 梶山国務大臣 経済産業省も同様に考えておりまして、例えば、再生可能エネルギーの比率なども常に気をつけながら私も見ておりますし、応援できるものはしっかりと経済産業省の形で応援をできればいいなと思っております。
○ 藤野分科員 例えば、一点だけ具体例でちょっと見たいんですけれども、現場で話になったのは、今、観光庁の事業で、二〇二〇年度予算案に、国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業というのがありまして、これは予算二十億円なんです。インバウンド需要を取り込もうということで、国際競争力の高い事業主体を対象として行われる。
ただ、観光庁の事業は対象がすごく限定されていまして、国際競争力が高いという。白馬はそれに当てはまるのか、まだちょっと決まっていないらしいんですが。
やはり問題は、予算規模が二十億円と、非常に少ないとおっしゃっておられた。先ほどの会社の方は、自分のところのゴンドラを、もう大分年月がたって設備更新を考えているんだけれども、それだけで二十億円かかるというんですね。ですから、国全体で二十億というのは、これはちょっと間尺に合わない。
ですから、経産大臣にお聞きしたいのは、観光庁は国際競争力と言うわけですが、やはり大臣は地域経済にも責任を持っていらっしゃると思うんです。地域にはいろいろな小さなスキー場もありまして、結構、バブルの時代の設備投資が耐用年数を迎えているところがたくさんあるんです。ですから、経産省として、地域経済の観点からこうしたものも支援していく、こういうのが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 梶山国務大臣 地方の経済、地域の経済という点では、経済産業省も応援できる可能性があると思いますし、あとは、地方創生や観光予算ということもこういったものにかかわってくる。さらにまた、これで省エネやSDGsや、そういったことをうたうことによって、いろいろな予算が出る可能性があるのではないかと、今、急にお聞きして、そう感じました。
○ 藤野分科員 ぜひ政府を挙げて、地域経済、今おっしゃったような、まさに観光庁、地域創生、少子化、全部かかわってくると思いますので、ぜひ具体化のイニシアチブを大臣にもとっていただきたいと思います。
そして、自治体の長といいますか、横山秋一副村長からもお話を聞きまして、白馬村の気候非常事態宣言には「白馬の良質な「パウダースノー」を守ります。」という一文があって、これはほかの自治体の宣言にはない、やはりパウダースノーという言葉は非常にリアルだなと思ったんですね。
副村長に、その宣言をした意義についてお聞きをしましたら、こうおっしゃっていたんです。気候変動対策を進めるには村民一人一人の意識が大事だ、一人の百歩よりも百人の一歩ですよとおっしゃったんですね、一人の百歩よりも百人の一歩と。私、本当にそのとおりだなと思いまして、やはり自治体なり政府が、政治が宣言を出していく意味というのは、そういう意識を変えていく、百人に動いてもらうということだと思うんです。
白馬村だけではなくて、今、全国の自治体で、二〇五〇年実質ゼロ宣言が広がっております。
環境省にお聞きしますが、この宣言をした自治体の数など、広がっていると思うんですが、その広がりと、それと同時に、その広がりが持つ意味について、環境省、どういうふうにお考えでしょうか。
○ 上田(康)政府参考人 お答えいたします。
二〇二〇年二月二十四日の時点において、十五都府県、二十八市、一特別区、十八町、七村の六十九自治体が、二〇五〇年までに二酸化炭素排出実質ゼロの表明を行い、人口規模では五千三百八十八万人となったところでございます。この中には、議員が今お話しされた長野県白馬村も含まれているところでございます。
こうした自治体が急速に広がっている理由としましては、一つは、昨年の台風第十五号や第十九号が日本列島を直撃し、激甚な被害をもたらしたことなどにより、気候変動に対する自治体の危機感の高まりがあると考えております。
加えて、このような自治体の動きについて、COP25を始めとするさまざまな機会を捉まえて、小泉環境大臣みずから情報発信を行ってきたことも要因だと考えております。
こうした自治体の取組というのが気候温暖化対策の極めて基本にあるかと考えておりますので、環境省としてもこれからしっかりと応援をしてまいりたいと考えております。
○ 藤野分科員 配付資料を見ていただければと思うんですが、これは二十一日段階でして、今の答弁ですと六十九自治体で、市が二十六ではなく二十八市で、七村ということでありますが、いずれにしろ、大きく広がっている。
グレタ・トゥンベリさんを始め世界の若者たちが、フライデー・フォー・フューチャーという運動を繰り広げておりますし、グテレス国連事務総長は、二〇五〇年CO2排出量実質ゼロを呼びかけて、世界で七十五カ国がこれに応えている。
大臣にお聞きしたいんですが、やはり日本政府としても、こういう、先ほど言った百人に動いてもらう、一人の百歩より百人の一歩という点からいっても、政府が二〇五〇年実質ゼロと明確に打ち出す、こういうことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 梶山国務大臣 私どもも、その環境に対する考え方というのは賛成なんですけれども、より実効性のある形で実現をしていくということ、そして、現実を見た上でどう一歩一歩進んでいくかということを考えた上で、削減率であるとかエネルギーミックスということを考えております。
○ 藤野分科員 いや、現実性というのは今から見ていきたいと思うんですが、もう世界は動いているわけですね。
よくイギリスと日本を並べて言われる総理の答弁なんかがあるんですが、イギリスはもう、まさにこの気候変動の取組で、とりわけ石炭火力については、二〇一二年から一六年の短期間で七四%も削減をしているわけですし、そういう意味では、もう現実にそうした取組が進んでいるということだと思うんですね。
科学的には、二〇五〇年と言いましたけれども、それの実質ゼロを実現するには、二〇三〇年の時点で四五%削減できていないと難しい。三〇年ですから、あと十年なんですね。まさにこれから十年の排出をいかに削減するかが将来を左右するということで、やはりこの緊迫感といいますか切迫感というのが、私は、今、安倍政権に極めて不足している。だから、現実をいった場合に、この十年間という現実にこそ向き合うべきだというふうに思うんですね。
その点で、今申し上げましたけれども、私は、最大の問題は石炭火力だと思います。
配付資料の二を見ていただきますと、日本では、稼働中の石炭火力が百二十四カ所もあるんですね、百二十四基もある。しかも、新たに建設中、これは赤い印ですけれども、計画中が二十二カ所もあるということで、本当にこれはもう大変な状況だと思います。
政府のエネルギー基本計画では、二〇三〇年の電源構成について、石炭火力の割合は二六%と認識しております。他方、電力事業者はどういう計画を持っているか。大臣御存じだと思うんですが、電力広域的運営推進機関、OCCTOというところは、二〇二八年の電源構成で、石炭火力発電が占める割合を何%としているでしょうか。これは事務方でも結構です。
○ 村瀬政府参考人 広域機関の試算でございますけれども、この試算は安定供給に必要となる供給力が足りているかということを確認するための試算でございまして、お示しいただいた数字は、原子力が仮に四%程度であったときの発電を、安いものの順に発電をした場合の試算でございます。
その上で数字を申し上げますと、この石炭、紫になってございますところは三六・八%、このようになってございます。
○ 藤野分科員 今答弁あったように、三六・八%と。ですから、政府でさえ、二六%でもパリ協定の実現には逆行していますから、二六%も私たちは論外だと思いますけれども、しかし、電力業界が二〇二八年で三六・八、三七%なわけですね。これはもう政府の目標すら大きく上回っているわけであります。
ですから、グテレス国連事務総長なんかは、日本はもう石炭中毒だというふうに言っているわけでして、そのとおりだし、今後更に、今の三十数%、三七%近くまで上げていこうというのが電力業界の計画であります。
大臣、私はこれを正さなければならないと思うんですが、いかがですか。
○ 梶山国務大臣 今の数値は、今、政府参考人が説明したように、安定供給に必要となる供給力が足りているかどうかを国が確認するものでありまして、三〇年の二六%というのは、高度化法や省エネ法において縛りをかけて必ず実現をする数字であります。
○ 藤野分科員 本当に、この計画、この石炭中毒を加速するような計画を正せないようでは、日本政府も石炭中毒と言われても仕方がないと私は思うんですね。
もう一点お聞きしたいんですが、ちょっとこれは、けさのニュースというか午前中のニュースですので、先ほども出たんですが、ちょっと通告できていないんですけれども、小泉環境大臣が、石炭火力の輸出について、今後四要件の厳格化を表明した、六月までに結論を得る、来年七月に出る、改定されるエネルギー基本計画に反映を目指すというふうに報道されておりますが、梶山大臣はこの点について御存じだったということでよろしいですか。
○ 梶山国務大臣 以前、小泉大臣から問題提起がありました。その上で議論をしていくということであります。
○ 藤野分科員 議論をしていくということは、これは何か環境省内に検討会ができるそうなんですけれども、環境省内にできてもあれなわけで、どういうふうに検討されるんですか。
○ 梶山国務大臣 結論ありきではなくて、今まで閣議決定でこの四要件というのも決まっておりますので、これから四要件をどのように運用していくかということであろうと思っております。
○ 藤野分科員 ちょっとちぐはぐな感じを私は持っておりまして。
といいますのは、小泉環境大臣は、以前は、ベトナムの案件について四要件を問題にされていたんです、まさに。これは見直すべきじゃないかという議論をしていたんですが、きょうの記者会見ですと、結局、ベトナムについては容認すると言っているんです。むしろ後退しているわけですよ。
ついこの間まで四要件に合わないんじゃないかと言っていたのに、その四要件を厳格化する議論をやると言っているのに、まさにそのベトナムの案件については容認すると。非常に整合性がとれていないと私は思うんです。
どれほど環境省内で議論しているのか、あるいは経産省と議論しているのかというのを知りたいんです。何か、すり合わせというか、打合せはあったんでしょうか。
○ 梶山国務大臣 小泉大臣のきょうの発言については、私も確認をしておりませんので、コメントは控えさせていただきます。
○ 藤野分科員 確認していないということでありました。
結局、その四要件を多少厳格化しても、要は輸出は続けるということは余り変わりがないわけで、それは、やはり安倍政権が石炭火力の輸出を成長戦略に位置づけているからであります。
しかし、大臣、これは、世界銀行も、もう投資しない、投資不適格だというふうに言っているわけですね、投資不適格案件。しかも、今から不適格であるだけじゃなく、今もう融資、投融資されているものが今後焦げつく、つまり座礁資産になるんじゃないかということもあるわけですね。ですから、これが成長戦略になるというのはもう世界では到底あり得ない話だと思うんですね。
大臣、お聞きしたいんですが、今人類が直面している気候危機を更に悪化させることが、安倍政権の成長戦略なんでしょうか。
○ 梶山国務大臣 私どもも、世界の二酸化炭素の実効的な排出削減に貢献するという視点は変わりありません。ただ、今、自前の資源を持たない我が国がどうしていくかということに関しましては、この石炭開発の効率化、又はリプレース、置きかえということも含めて、どういった方策で三〇年の二六%削減を実行するかということを今必死で考えているわけでありまして、それらを実行するために、実現させるために、こういった対応をしているということであります。
○ 藤野分科員 やはり、企業活動とか、今おっしゃったようなものも全部、経済の持続可能性が土台だと思うんですね。その持続可能性の土台である地球環境を壊せば、もう経済活動そのものもこれは成り立たないわけで、やはり持続可能性を壊すような成長戦略というのは私はもうやめるべきだというふうに思います。
その上で、逆に私は、脱石炭の道を進む方が、そちらの方が、経済的にも雇用という面でも、非常に大きな可能性があると思うんです。
配付資料の四を見ていただきますと、これは、エネルギーに強いアメリカの投資ファンド、ラザードというところの、毎回更新されるんですけれども、資料なんですね。
今や、この黄色く塗っているところが石炭であります。それよりも下の方に、ウインド、風、風力とか、ソーラー、太陽光があるわけで、最新のこれですと、石炭のコスト百九に対して、風力が四十一、太陽光が四十ですから、太陽光の発電コストでいえば三六%ぐらいだし、風力でも三七%と、もう圧倒的にコストが石炭火力よりも低くなっている。この傾向は更に進むと思います。
そうなってきますと、やはり、こうしたコストの面から見ても、石炭にしがみつく必要というのはもうないし、むしろ不合理になっているというふうに思います。
最終的にこのコストが転嫁されるのは、私、企業とか家計だと思うんですね。やはり、そういう石炭火力から転換していくことこそ、企業や家計にとって、大臣、私、有益だと思うんですけれども、いかがですか。
○ 梶山国務大臣 民間機関による試算というのはさまざまありますけれども、御指摘のラザードの試算については、算定プロセスや試算の根拠が明らかではないことから、その数値を評価することは差し控えたいと思っておりますが、再生可能エネルギーも、その地域の状況によって変わってくるということでありまして、平地が少ない日本の場合、また、風況、風の状況がどうなのかということも含めて、それらのコストにかかわってくるものだと思っております。
○ 藤野分科員 確かにそれは地域によって変わると思いますけれども、日本は日本のやはり地域の特性も生かして、むしろポテンシャルはドイツなどよりもあるという指摘もあるわけで、そこにこそ私は知恵と力を集中すべきだと考えております。
環境省、ちょっと時間の関係で簡潔にお願いしたいんです。
環境省は、二〇一八年三月のカーボンプライシングのあり方に関する検討会の取りまとめの中で、気候変動問題と経済、社会課題の同時解決に向けてという指摘をしていると思うんですね。この同時解決というのはどういうことで、諸外国においてこの同時解決についてどのような到達になっているか、ちょっと簡潔にお願いします。
○ 上田(康)政府参考人 お答えいたします。
環境省が設置したカーボンプライシングのあり方に関する検討会では、先ほど先生からありましたように、二〇一八年三月、取りまとめを行い、カーボンプライシングについては、多くの主体の創意工夫を促し、長期大幅削減に向けたイノベーションを喚起する、また、投資機会の創出等により、我が国の経済、社会的課題の同時解決に貢献することが必要である、こうした提言をいただいております。
経済、社会的課題の同時解決の意味でございますけれども、今現在では、環境問題だけの側面を見てはなかなか地域にとって取組というのが進まない、地域にあるさまざまな経済的問題、社会的問題と同時に解決するようなものが温暖化対策、気候変動対策にとって重要だろうということで、そうした考えのもと、例えば地域循環共生圏というアイデアのもと、地域に取組をお願いしている、そうしたところを進めているところでございます。
○ 藤野分科員 ちょっと違うんですね。
私が聞いたのは、ここにありますけれども、この報告書の文言で言いますと、こう書いてあるんです、十三ページ。「主要国は我が国に比べて、温室効果ガスの排出を削減しつつ経済成長を達成してきたということでもあり、我が国としても、両者の同時達成を目指して施策を進めていく必要がある。」、こういう指摘があったり、要するに、一人当たりGDPがかつては日本より低かったけれども、多くの国が、今やこの取組を通じて、気候変動対策に取り組むことを通じて、むしろ経済効率性が上がって、一人当たりGDPは全て日本より上がっている、もう日本は逆転されたということを環境省の報告書に書いてあるわけですね。私はそれを答えていただきたかったんですが、もう時間の関係で結構です。そういうふうに、例えば十三ページと六十五ページに書かれております。
私は、やはり脱石炭というのは、そういう意味では地域経済にとっても雇用にとっても大きな力になると思うんですね。
配付資料の五を見ていただきますと、これはNPOの資料ですけれども、アメリカでは、二〇一八年に、クリーンエネルギー、再エネのほか、省エネとかクリーンカーも含みますけれども、その仕事が化石燃料関連の仕事の約三倍になった、「3X」とはそういう意味であります。
ヨーロッパでも、欧州運輸労働連盟が二〇一一年に出した報告書によりますと、輸送分野で温室効果ガス排出量を八〇%削減する包括的なプランが導入されれば、ヨーロッパ全土で七百万人分の新規雇用が創出される、同時に、クリーンエネルギー分野で五百万人分の雇用を新たに創出すれば、発電によるCO2排出量を九〇%削減できるということなんですね。
つまり、ウイン・ウインの関係だ。気候変動対策を進めるということは雇用をふやすし、気候変動対策での雇用をふやせば排出量が減っていくという、まさに両者ウイン・ウインの関係にあるというふうなのがもうさまざまな形で明らかになっていると思うんですね。先ほど言った環境省の取りまとめも、まさにそれを私は示しているというふうに思うんです。
大臣、そういう意味でも、現実的と冒頭おっしゃいましたけれども、私はこちらの方がもっと現実的だし、既に取組も進んでいるわけですから、そちらに知恵と力を集中していく、これが求められていると思うんですが、いかがでしょうか。
○ 梶山国務大臣 再エネの導入拡大というのは雇用創出効果があることは思っておりますし、極めて重要な要因分析であると思っております。
それらも含めて、いかに再生可能エネルギーを主力電源化するために何をしたらいいのか。例えば、ネットワークの強化であるとか分散型のネットワークの導入であるとか蓄電池の開発であるとか、そういうことも含めて、それらができるように努力をしてまいりたいと思っております。
○ 藤野分科員 それはそれで大いにやっていただければいいと思うんですが、私はやはり石炭から転換していくということを申し上げたいんですね。それ抜きにいろいろやっても全て帳消しになってしまうのが石炭、それぐらいのやはり強烈なCO2についての影響を石炭火力は持っているわけです。それを電力業界は三七%にしようという計画を現実に持っているわけです。
ですから、そういう意味で、石炭火力の方で政府がイニシアチブを発揮しなければ、これはあらゆる取組が水泡に帰すということなんですね。
もう一つ紹介したいのは、ILOの調査なんですけれども、厚労省にお聞きしますが、ILOは、国際エネルギー機関によるシナリオと現行シナリオとを比べて、要するに、気候変動に取り組んだ場合のシナリオと今のままいった場合のシナリオと比べて、どっちが雇用がどれだけふえるというふうに言っていますか。
○ 田中政府参考人 国際労働機関、ILOの報告書、「世界の雇用及び社会の見通し二〇一八年版 仕事でグリーン化」におきましては、国際エネルギー機関、IEAの持続可能なシナリオに沿ってエネルギー転換が進んだ場合の雇用への影響が分析されております。
そこでは、二〇三〇年までにIEAのシナリオに沿ってエネルギーの使用の効率化及び再生可能エネルギーへの転換が進んだ場合、世界経済全体で雇用が約千八百万純増することが期待される旨が記載されているものと承知しております。
○ 藤野分科員 今答弁ありましたけれども、配付資料の六にもその部分が紹介してあるんですが、要するに、気候変動対策に取り組んだ方が、千八百万人も雇用が、今のシナリオでいくよりもふえるんだということをILOも言っているわけであります。
大臣、やはり私は、前向きな意味で政府が役割を果たしていくということが今は求められていると思っていまして、そういう意味で、世界では既にそうした方向に進んでいるし、そうした方向に進めば雇用もふえるし経済にとってもプラスなんだということで、先ほどおっしゃられた、いろいろ取り組んでいらっしゃるということとあわせて、それはやはり石炭から転換していくということが私は鍵だと思うんですが、この点について、いかがでしょうか。
○ 梶山国務大臣 何が何でも石炭を維持していくということではありませんでして、しっかりとそういったものを考えながらエネルギーの多様化を図っていくということだと思います。
イギリスの削減というのも、石炭から、今度、ガスに転換したんですね、北海の。そして、これは自前の資源ということでやっているということもありますので、その国の状況というものも踏まえて現実を考える。
さらにまた、気候変動というのも重要な問題だと思っておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○ 藤野分科員 もう終わりますけれども、やはり、気候変動に最も悪影響を与える石炭火力から撤退するということとセットでなければさまざまな対策は効果を持たないということを指摘して、質問を終わります。
会議録PDF
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質疑資料 PDF
20200225_yosanbunkakai_Fujino_shiryo
しんぶん赤旗 2020年2月27日4面記事 PDF
タグ : 原発・自然エネルギー 作成者 : fujinoyasufumi