衆院法務委 少年法改正案 少年の立ち直りがさらに困難になることを指摘
衆院法務委で質問しました。
少年法改正案により、看護師や電気工事士などの立ち直りのための仕事につながる多くの資格が得られなくなる、実名報道が解禁される、虞犯規定の適用がなくなる、など少年の立ち直りがさらに困難になることを指摘。
視察した少年院での実践や生の声を紹介し、少年法を改悪すべきでないと強く求めました。
引き続き審議を求めていきます!
- 会議録 -
○義家委員長 次に、藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
今大臣から、少年院での職業訓練のお話がありましたので、ちょっと順番を変えて、資格制限の話からお聞きしたいと思います。
先日の参考人質疑で、片山参考人がこうおっしゃいました。
日本看護師協会に電話をして、前科を持った人が看護師の資格を、看護師に就けるのかというのを看護師協会に問い合わせたというんですね。そしたら、受験資格はあるかもしれないけれども、免許は与えられないだろうというお話でした、こう紹介されました。
法務省にお聞きしますが、前科前歴がつくと、看護師免許というのは受けられないんでしょうか。(発言する者あり)
○義家委員長 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○義家委員長 速記を起こしてください。 川原刑事局長。
○川原政府参考人 恐れ入ります。
看護師を所管する法律、法務省所管ではございませんので、済みません、お答えをちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○藤野委員 いや、自分が法案を出しているわけですよ。
私も少年院に幾つか行かせていただきまして、後でも紹介しますけれども、例えば、電気工事士の資格になるために、いろいろなプログラムをやるとか、パソコン講習をやるとか、手に職をつけるために、自立に向けていろいろなことをやられておりました。
例えば、調理師とかいろいろな資格があるんですけれども、法務省としては、本法案によってどのような資格制限が、どのような資格が受けられなくなるのか、全体像を把握されているんでしょうか。
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
それぞれの資格の欠格事由というのは、それぞれの資格の内容に応じまして、それぞれの資格を所管する省庁におきまして、その該当する法律で定めているものでございまして、私どもとして、それを全体的、網羅的に把握しているものではございません。
○藤野委員 これは私、事前に何度も聞いたんですが、把握していないと言うんですよ。これだけ少年の立ち直りにとって決定的とも言っていい仕事が制限されるわけですね、本法案によって、十八歳、十九歳。しかし、その影響を把握していないわけです。
今、政府は、連絡会議もつくって、再犯防止というのをまさに政府全体の課題として進められている。再犯防止推進白書というのも毎年出されておりまして、私も拝見しておりますが、この中でも、やはり就労の可能性というのは広く保障する、それは再犯防止にとって極めて重要だというふうに繰り返されているわけですね。上川大臣自身、令和二年版の再犯防止白書の冒頭で、やはり非常にこれは大事だということをおっしゃっていらっしゃいます。
大臣、この資格制限禁止を外すというのは、こうした政府全体の方針に逆行するんじゃないですか。
○上川国務大臣 御質問をいただきました資格制限の件でございますが、今回の法律案におきましては、十八歳以上の少年のとき犯した罪により刑に処せられた場合につきましては、少年法第六十条の資格制限の特則を適用しないこととしているところでございます。
これは、十八歳及び十九歳の者につきまして、業務の性質や実情等を問わず、資格制限規定の適用を一律に緩和をする少年法第六十条を適用することは、責任ある主体としての立場等に照らし、適当ではないと考えられることによるものでございます。
もっとも、とりわけ若年者の再犯防止、社会復帰を図る上では、就労の促進は何よりも重要であるというふうに認識しておりまして、二十九年十二月閣議決定されました再犯防止推進計画におきましても、犯罪をした者等の就労促進の観点から需要が見込まれる業種に関し、前科による資格制限の在り方につきまして検討を行い、必要に応じた措置を実施することとされております。
この改正を機に、前科による資格制限の在り方につきましては、関係府省と連携をし、政府としてしかるべき検討の場を設けた上で、若年者の社会復帰に際してのニーズ調査あるいは有識者を交えた検討など、必要な取組を責任を持って進めてまいりたいというふうに思います。
○藤野委員 いや、だから、それはまだできていない下で、今回、資格制限をするということなんです。
次に、推知報道解禁についてお聞きしますが、最高裁にお聞きします。
現行法の下でも、例えば公開の法廷で、公開なんだけれども、推知報道禁止の趣旨を踏まえて、実名を呼ばないとか、傍聴席から遮蔽措置を取るとか、そういう配慮を行っている例があるとお聞きしますが、事実でしょうか。
○吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
現行法下での少年の刑事手続に関してお問合せというふうに認識してございます。
この少年の刑事手続で、現行法下におきましては、少年のプライバシー保護等の観点から、各裁判体の訴訟指揮によりまして、二十歳以上の者の刑事手続とは異なる配慮が行われておりまして、その一例としましては、法廷での人定質問の際に、少年に起訴状を示すなどしまして、起訴状の氏名のとおりで間違いないかを確認する方法によって、少年の氏名が公開法廷で明らかにならないようにするということがあると承知しております。
○藤野委員 ですから、現行法の下でも、やはり、公開なんだけれども、配慮をして、実名が分からないように、紙で示して、そうですと言えば、そこで確認されたということが行われているわけですね。
ですから、今回、本法案によって、いわゆる重大事件に限らない、様々な短期一年以上の事件が含まれ得るわけですね。このような事件についても推知報道が行われれば、知る権利とおっしゃいましたけれども、弊害の方がはるかに大きくなると私は思います。
そういう意味で、この点についても、本法案は、これは適用しないとするだけで何の、じゃ、どうするんだ、じゃ、その場合、こうやって担保しますとか、それは利益衡量しますとか、そういうのがないんですね。適用しないというだけなんです。ですから、この点も極めて問題だというふうに思っております。
その上で、虞犯についてもお聞きしたいと思うんです。
法務省にお聞きしますが、まず、少年院に入った少年少女のうち、虐待を受けた経験があるという申告の割合はどれぐらいでしょうか。
○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
少年院入院者自身の申告等により把握しました令和元年における被虐待経験を有する少年院新入院者は、男子で千五百九十四人のうち五百三十八人、割合としては三三・八%、女子では百三十三人のうち七十三人、割合としては五四・九%となっております。
○藤野委員 男子で三割、女子で五割ということは、これはあくまで申告、本人から申告があったものだけなんですね。様々な調査では、例えば、虐待を受けた女性が七割とか、暴力を受けた経験が八八%、九割近いとかあるわけです。
今、コロナ禍の下でDVや性暴力の被害というのは増加しております。貧困や生活難も広がっております。こうした要因が少年犯罪の背景にあることはもう共通の認識だと思います。
法務省にお聞きしますけれども、このコロナ禍でこうした要因が増加している、これが今後、少年犯罪とか虞犯に影響していく、そういう見通しはお持ちでしょうか。
○川原政府参考人 お答え申し上げます。
今、矯正局長から答弁がございましたように、少年院入院者の中に自らが虐待された経験のある者がいるということは承知しております。
ただ、お尋ねは今後の少年犯罪の動向に関する事柄でございますので、現時点において確たることを申し上げることは困難であるということを御理解賜りたいと存じます。
○藤野委員 私、若年女性への支援活動を行っている一般社団法人Colaboの現場も視察させていただいたんですけれども、代表の仁藤夢乃さんによりますと、二〇一九年度は、これはコロナ前ですけれども、大体六百人ぐらいの相談を受けていたそうです。それが、コロナ禍の二〇二〇年度は千二百人を超えたとおっしゃっておりました。緊急事態宣言下での利用者のほとんどは、知的障害や重い精神疾患を抱えていて、性産業で搾取されながら路上生活やネットカフェ生活を強いられている少女たちだったとお聞きをしました。
性産業とかJKビジネスへの従事というのは、これは虞犯の典型の一つだというふうに言われております。虞犯につきまして、この間、答弁でも、行政や福祉の分野における各種支援について充実した取組が行われることが望まれるというような答弁はあるんですけれども、しかし、どれぐらい効果があるのか。
厚労省にお聞きしますが、十八歳、十九歳には児童福祉法の適用はない、これを確認させてください。
○大坪政府参考人 お答え申し上げます。
児童福祉法におきましては、児童とは、満十四歳に満たない者というふうに定義をしております。
ただ、児童福祉法全ての規定が満十八歳に満たない者を対象としているわけではございませんで、児童養護施設ですとか自立支援施設、自立援助ホーム、こういったものにつきましては年齢の引上げを行っているところでございます。
○藤野委員 ちょっと答えが違うんですけれども、要するに、十八歳、十九歳には、十四歳とかじゃなくてですね、十八歳、十九歳には適用がないんです。
また、対象者自身に支援に応じる意向がない場合は、今言った様々な施設はもとより、警察による継続補導の対象にもなりません。つまり、行政や福祉の分野の支援というのは確かにいろいろありますけれども、それは限界があるわけですね。Colaboの仁藤代表も、今の制度はいろいろあるけれども、若い女性が使える制度が少ないというふうにおっしゃっておりました。
二〇一九年、十八歳、十九歳の虞犯件数は三十二件で、全体の虞犯が百三十九件ですから二三%、つまり、虞犯の四人に一人は特定少年なんです。そのうち九割が保護観察とか少年院送致になっているわけですね。つまり、保護処分の対象になっている。
これは、先日、須藤参考人もおっしゃっていましたけれども、それだけ様々な手だてを加えなきゃいけない、深刻な問題を抱えている少年が多いということを指摘されておりました。児童福祉法の適用等がない下で、少年法の虞犯規定が最後のセーフティーネットになっているというふうに須藤参考人もおっしゃっておりました。 大臣、お聞きしますけれども、コロナ禍でこれから苦しむ虞犯少年、増えていくと思うんですね。そんなときに、この法案が虞犯少年たちの最後のセーフティーネットを外していく、これをどのようにお考えなんでしょうか。
○上川国務大臣 このコロナの状況がどのような影響を与えるかということについて、虐待、DVを始めとして、様々な精神的な問題も含めて、また閉じこもりの問題も含めて、また自殺の問題も含めて、うつの問題も含めて、本当に、健康の中で二次被害のようなものがかなり深刻に及ぶのではないかというのは、これは世界的にもそのような研究論文も出されておりますし、日本も、そういう危険性については十分にこれに対してターゲットとして取り組んでいかなければならないことだというふうに私自身は認識をしておるところでございます。
その上で、少年法の虞犯による保護処分ということにつきまして、これが対象から十八歳以上の少年を外すということによりまして、これらの者にとりましてはいわばセーフティーネットの役割が失われる、こうした御指摘があるということについては承知をしているところでございます。
もっとも、保護処分につきましては、対象者の権利、自由の制約という不利益を伴うものでございまして、そのため、民法上の成年とされ、また監護権の対象から外れる十八歳以上の少年に対しまして、罪を犯すおそれがあることを理由として虞犯による保護処分をすることにつきましては、法制度としての許容性と相当性の点で慎重であるべきと考えられるところでございます。
この点につきましては、法制審議会でも論点の大きな一つとして議論をされたところでございますが、最終的に虞犯による保護処分は設けないものとするという答申が、総会で全会一致で採択されたものと思います。
○藤野委員 この虞犯、適用しないというのは、先日指摘をした、やはり刑事処分的な発想といいますか、保護の発想ではなくて、これはもう行為責任、刑事責任だという、その論理的な一つの結果だというふうに思います。この点もやはり私は問題だと思うんですね。
配付資料をお配りさせていただいているのは、これは全司法労働組合が十八歳、十九歳の事件簿という形で様々なケースをまとめていただいているものです。これは大変参考になるんですが、ちょっと時間の関係で全部は紹介できないんですけれども。
例えば、今、虞犯でいえば、一番初めのケースは、性風俗産業に従事した十八歳少女、これは虞犯なんです。元々行き場がないということが一つの特徴なんですね。元々行き場がないから、虞犯になってしまった。これが虞犯として対象にならないとなると、取調べ後、大体釈放されますから、そうなると、また行き場に困ってしまう。本人に女性相談所とかシェルターに行く行動力があればいいんですけれども、それがない場合、再び犯罪に手を染める可能性が高い。
二つ目は、万引きで捕まった十九歳の少年の事件もありますけれども、今、少年非行の五、六割が窃盗とか遺失物横領。万引きというのは、示談すると、不起訴、執行猶予が多いですから、これもやはり、自分のやったことについて振り返る機会がなくなってしまえば、累犯というか、再犯、繰り返してしまう可能性があるわけです。 過失運転致傷のケースもあります。十八歳男子ですけれども、この過失運転致傷というのは、大体十八歳、十九歳あるいは大学生というのが多いそうであります。最近は、危険運転に対する処罰が厳罰化されましたけれども、そうでない場合は執行猶予とか略式起訴が多いんですね。この点でもやはり立ち直りの機会が失われてしまう。 要保護性というと甘いように聞こえるんですが、実際は全く違いまして、先日、須藤参考人も、要保護性には三つの要素がある、再犯可能性と矯正可能性とそして保護相当性、三つだとおっしゃいました。
ここで重要なのは再犯可能性だと思うんですね。いかに犯罪事案が軽微であっても、環境とか資質上の課題がある、再犯可能性があると認められれば、教育指導の処遇が課されるわけです。ですから、保護処分というのは甘やかしではなくて、刑罰以上に厳しい側面があるというふうに思います。
そして、少年非行総数、全体の数は減っているんですけれども、特殊詐欺とかあるいは性関係の非行とかあるいは薬物、これは増加しているんですね。これらの特殊詐欺とか性非行とか薬物非行というのは、再犯率が高いことが問題になっております。この白書でも指摘されております。
私、この間、長野県の安曇野市の有明高原寮、そして新潟県の長岡市の少年院、視察させていただきました。 例えば、有明高原寮というのは、日本の少年院の中で最も開放的処遇が進んでいるところなんですね。行ってみますと、フェンスも壁もなくて隣の民家が見えるという状況で、少年たちは、まず、鑑別所は覆われていますから、鑑別所との違いに驚くというんですね。信頼されていると感じるそうです。
地元住民の方も、私たちの視察のところに来ていただいて、お話を伺ったんですが、盆踊りとか運動会、どんど焼きとか、季節の行事を住民の皆さんと一緒にやるそうです。運動会には地域住民が百人以上参加すると、コロナ前ですけれども、お聞きをしました。掃除とかいろいろやると、住民から感謝されると。多くの少年は、ありがとうと言われたことがないので、感謝された経験自体が自信になるともお聞きしました。
院外の施設に実習にも行くそうなんですが、私も驚いたんですけれども、初日は職員が同行する、それ以降は少年だけで通勤するというか実習先に行くそうなんですね。老健施設で実習した少年は、特殊詐欺の受け子をしていたんですけれども、自分たちはこういう人たちをだましていたのかと、それが一つの内省のきっかけになったともお聞きしました。
新潟県の長岡市の少年院は、特殊詐欺についての特別の教育プログラム、これを開発されて、実践されて成果を上げられている。その様子も視察して、プログラムも見せていただいたんですけれども、先生からの一方通行じゃなくて、先生からの問いかけに一人の少年が答える、また別の角度で聞いたら別の少年が答えると。考えながら答える少年の姿が、私、大変印象的でありました。同じ特殊詐欺を行った少年たちとグループでやるんですね。ですから、それによって自分を客観視して、犯罪に至った原因などもお互い考えるというふうにもお聞きをしました。
ここでも、今は高校進学率が一〇〇%近いですから、高卒資格がないと職業に就けないというので、教科指導コースというのを長岡少年院は作っているんですね。地元の元先生とかが教えに来てくれるそうで、その元先生にもお話を聞いたんですが、やればできるという経験が自己肯定感につながり、前向きになれると。生徒たちも、理解できるまで説明してもらえた、分かる部分がぽつっと点だったけれども、どんどんつながって線になっていったと。おまえは駄目だ、駄目だとずっと言われてきたけれども、人より劣っているわけじゃないと思えたという声もお聞きをしました。
法務省にお聞きしますけれども、こうした少年院ごとの特色、それが、やはり非行の度合いとか少年の特性に合った処遇を可能にしてきたと思うんですね。各少年院が作ってきた、努力してきた独自のプログラムが、少年の立ち直りや再犯防止にとってかけがえのない役割を果たしていると思うんですが、それはいかがでしょうか。
○大橋政府参考人 お答え申し上げます。
少年院の教育につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、一定の共通する特性を有する在院者の類型ごとに、重点的な教育内容や標準的な期間を定めて、少年院ごとに教育を実施しているところでございます。
また、少年院では、地域の方々の支援あるいは関係機関と連携を取りながら、矯正教育を実施しているところでございます。一定の共通する特性を有する在院者を小集団として、必要な教育を地元の方々の支援あるいは関係機関との連携で体系的、組織的に行うことが改善更生に効果をもたらしているのではないかというふうに考えております。
○藤野委員 ちょっと時間の関係でこっちで言いますけれども、そうした少年院の、入っている少年たちの約半数が十八歳、十九歳であります、半数が。この少年、十八歳、十九歳が対象から外れるとなると、全国にある少年院にこれは大きな影響を与えると思うんですね。それぞれの少年院ごとの特色が失われてしまいかねない。もし統廃合されますと、経済的に困窮している保護者はなかなか、そこに行く機会が減ってしまうかもしれない。十八歳、十九歳というのは困難が多いですから、そこの処遇を通じて得られた知見が失われていくとなれば、十七歳以下の処遇にも影響していきます。つまり、少年院全体の機能が低下していきかねないんですね。
大臣、全国の少年院が、今まで地元の住民の皆さんとも協力しながら営々と努力を積み重ねているんですね。今回の法案はこうした現場にどういう影響を与えるのか、検証はされたんでしょうか。
○上川国務大臣 本法律案におきましては、特定少年に係るというか、十八歳、十九歳の年齢の方が原則逆送の対象となる事件の範囲は拡大することとしておりますが、現行法と同様でありまして、例外となるただし書を設けることとしているところでございます。
そのため、新たに原則逆送の対象となる事件につきましても、家庭裁判所ではこれまでどおり、個々の事案につきまして十分な調査を尽くした上で、そして個別の事情に応じて適切な処分の判断が行われるものと想定をしております。この点については現在もこれからも同じという状況でございまして、十八歳以上の少年の事件の中で新たに原則逆送の対象事件となる事件はごく一部にとどまるということであります。
いずれにしても、本法律案の施行、改正後におきまして、少年院の動向につきましては申し上げることはできませんけれども、今までの家庭裁判所におきましての調査を踏まえた上で、仕組みそのものは残る状況の中で今議論をしていただいているということでございます。
少年院におきましての矯正教育につきましても、法務教官との非常に密度の濃いやり取りの中で、信頼関係がなければ立ち直りもできませんので、そういったことも全部、ノウハウを蓄積したものを全部生かして、こうした集団指導や個別指導を組み合わせて丁寧に計画的に対応するということでありますので、その意味で、在院者が多いか少ないかということのみならず、今のフレームワークの中でしっかりと対応していくというこの仕組みを十八歳、十九歳の者についても対応させるという意味で、全件は家裁送致ということの大きなフレームワークを残したところでございます。
○藤野委員 実は、問題性が深刻な事案ほど、保護者もいろいろな問題を抱えております。
現行法の二十五条の二というのは、家裁に対して、少年だけでなく保護者に対しても働きかける権限を与えております。これは刑事手続と決定的に違う点なんですね。これは須藤参考人も強調されておりました。十八歳、十九歳の事件簿を読んでいただくと、やはり保護者の役割、親の役割というのは大事だなというのは、これはケースを読むと大変よく分かるんです。ところが、本法案は、十八歳、十九歳について保護者への働きかけもできなくなる可能性があるわけですね。これは極めて大きい。
ちょっと時間が来ましたからもう終わりますけれども、そういう点で、本法案は、様々な問題についてやめるというだけで、それに代わる何らの担保もない、これはもう大問題だということを指摘して私の質問を終わります。
作成者 : fujinoyasufumi