衆院法務委で北海道警によるヤジ排除問題を質問
今日の衆院法務委で北海道警によるヤジ排除問題を質問しました。
安倍総理を応援する声やプラカードは何の制止も排除もされなかったが、安倍総理を批判するヤジやプラカードを持つ人は警察により強制的に排除されました。
その数少なくとも9人!
- 会議録 -
○ 松島委員長 それでは、藤野保史さん。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
早速質疑に入りたいと思います。
大臣は、先日六日の所信質疑の中でこう述べられました。法務省は法をつかさどる役所であり、正義の実現のために力を尽くすべきであると。
きょうも答弁されていらっしゃいましたけれども、改めて、この法務省に期待される役割について答弁いただければと思います。
○ 森国務大臣 法務省は、まさに国民生活の安全、安心を守るための法的基盤の整備という使命を負っております。申すまでもなく、その使命は国民の皆様からの信頼なくして成り立たないと考えております。そして、社会や時代の変化に対応してこれにふさわしい法制度が整備され、これが適切に運用、執行されることによってこそ、法務行政が国民の皆様の信頼をいただけるのだと思っています。
その上で、このような適切な法制度の整備や運用を通じて、例えば、一旦人権が傷つけられたり、虐待や犯罪の被害に遭ったり、法的な解決を要する事態に陥ったような場合には、これにより傷ついている皆様や困難を抱えている皆様に対して必要な保護、支援を行うこと、それがいわば正義の実現であり、国民から法務省に期待されている役割の一つであると考えております。
○ 藤野委員 大臣は、同じ質疑の中で、法務省というのは、今回、多文化共生社会の実現に向けて総合調整機能を担うことになると。
この多文化共生社会、つまり外国人についても、今大臣が述べられた正義の実現、これは当然求められると思うんですが、それでよろしいでしょうか。
○ 森国務大臣 お尋ねについては、外国人であっても、犯罪や虐待等により傷ついている皆様や困難を抱えている皆様に対して必要な保護や支援が行われるべきであるということは同じでございます。
○ 藤野委員 きょう初鹿委員も取り上げていらっしゃいましたけれども、外国人、とりわけ収容問題というのは、まさにこの正義がない状態なんですね。ですから、大臣にこの分野でも正義をぜひ実現していただきたいというふうに思います。
私は、河井前大臣の所信質疑の際に、この問題に絞って質問させていただいたんです。それは、前大臣の所信の中に見逃せない文言があったからであります。
配付資料の一をお配りさせていただいているんですが、河井大臣は上の方のところでそうおっしゃっていまして、「退去強制令書が発付されたにもかかわらず、さまざまな理由で送還を忌避している者がおり、その存在は、迅速な送還に対する大きな障害となっているばかりか、収容の長期化の大きな要因となっています。送還を忌避している長期収容者の問題は、我が国の出入国在留管理制度の根幹を脅かし、ひいては、我が国の社会秩序や治安に影響を与えることにもなりかねない深刻な問題です。」こういう発言がありまして、我が国の社会秩序や治安に影響を与えることを理由に仮放免を認めない、収容を継続すると。
これは、先ほどもありましたけれども、戦前の治安維持法三十九条などで規定されていた予防拘禁、これを肯定するような発言だと思うんですね。これはやはり許されないというふうに思います。
この論理というのはやはり大変危険なものでありまして、前科を持つ人とか仮釈放歴を持つ人というのは日本人にもいるわけですから、それが社会にとって危険だから収容していいんだ、収容を継続していいんだということになりますと、これは日本人にもはね返ってくる論理になってくる。何より、入管法という制度が認めている短期の収容というこの本来の趣旨にも著しく反しているということで、私は前大臣のときに質問をさせていただきました。
この論理に関する部分、いわゆる秩序や治安というこの論理に関する部分が森新大臣の所信ではすっぽり抜けておりまして、私は、率直に言いまして、人権をつかさどる法務大臣の所信から予防拘禁を肯定するかのような文言がなくなったこと、これ自体は、個人的には前向きに評価したいと思うんです。
ただ、言葉も大事ですが、やはり具体的にどう実践されていくのか、これが問われていると思うんです。
前大臣は、こうした論理のもとに、私的ないわゆる懇談会、これがございます、法務省に。大臣の私的懇談会である出入国管理政策懇談会、このもとに収容・送還に関する専門部会を設置されて、もう既に議論を進められております。来年三月には最終報告を行うというふうに伺っております。
確かに、私も、入管法というものの整備は、改正は必要だと思うんです。これは本当に、いわゆる一九五一年にこの前身となる政令が制定されて以降、全く大きく変わっていないわけですね、とりわけ、この収容に関する部分というのは。ですから、私は、時代に合わせて、世界の人権の水準に合わせて、世界の収容のさまざまな制度に合わせて、これは改正が必要だと思います。
しかし、今設置されている専門部会は、そういう方向ではなくて、先日の質疑でも、例えば仮放免の要件を厳格化するだとか、そういう方向で今議論が進められている。ですから、私は、この今の専門部会の検討というのはやはり問題があると思うんですね。
ですから、大臣にお伺いしたいんですが、やはり、前大臣の私的懇談会のもとに今の専門部会は設置されております。その大臣がかわられたわけです。ですから、この際、この当該部会は一旦立ちどまって、メンバーとかテーマとか方向性、こういうものを再検討すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 森国務大臣 委員の御指摘に対して、先ほど私の冒頭の答弁でも申し上げましたとおり、社会や時代の変化に応じて制度を見直していくということもしてまいりたいと思いますが、お尋ねの収容・送還に関する専門部会は、送還忌避者の増加や収容の長期化等について御議論いただくために、本年十月二十一日に、法務大臣の私的懇談会である第七次出入国管理政策懇談会のもとに設置され、その第一回の議論が十月二十一日当日に行われたところでございます。
送還忌避者の増加や収容の長期化を防止する方策やその間の収容のあり方についての検討は、私としても、出入国管理行政にとっての重要な課題であると認識をしております。既に検討が始まっているこの専門部会において、引き続き、さまざまな課題がございますので、委員の御指摘の部分も踏まえて、多様な角度から自由闊達な議論がなされることを期待しているところでございます。
○ 藤野委員 確かに大臣は、所信や答弁等で前の大臣と違う御発言をされております。しかし、この専門部会での検討が続けば、前の大臣が敷いた路線、これが具体化されていってしまうわけです。つまり、予防拘禁に当たるような、現状でさえ当たるようなものが更に悪化していくということになるわけでありまして、これは私は許されないというふうに思うんです。
この点については、専門部会での検討状況を見ながら、引き続き今後ともただしていきたいというふうに思います。
きょうは、次に、選挙期間中の街宣におけるやじの排除問題、やじをした人を排除した問題についてお聞きしたいと思います。
前提として、大臣に伺いたいんですが、やはり、市民がその政治的意見を表明するということは、表現の自由、憲法二十一条として保障されるものであって、とりわけ、選挙期間中の政治的意見の表明とかあるいはその自由な意見の交換というのは、民主政治及び自由選挙の根幹をなすものだというふうに思うわけであります。
大臣は、二〇一三年の六月十八日の参議院内閣委員会で、政治的な活動への参加について答弁されていると思うんですが、どのような答弁で、その認識は今も変わらないかどうか、お聞かせください。
○ 森国務大臣 二〇一三年の六月十八日、参議院の内閣委員会において、江口委員から、障害者の方々の政治参加を推進する取組ということについて、大臣はどのような考えをお持ちですかという趣旨の御質問をいただき、私の方で、障害者の皆様の政治参加についてるる述べた後、「このように、政治的、公的な活動への参加は民主政治の根幹でありますので、政治的、公的活動に障害者の皆様が参加できるような環境整備が重要であるというふうに認識をしております。」というふうに御答弁申し上げました。
○ 藤野委員 この認識は変わらないということでよろしいですか。
○ 森国務大臣 はい。今も変わりはございません。
○ 藤野委員 私、予算委員もやらせていただいているんですが、先日六日の予算委員会では、安倍総理のやじが大問題になりました。昨日の本会議でもたくさんのやじが飛んでおりました。やじもやはり政治的な意思表示でありますし、政治参加の一形態だというふうに思うわけです。
ところが、この間、全国各地で、安倍総理とか現職大臣が街頭演説中、それに対してやじを飛ばした等の行為をしたら、その個人が警察によって強制的に排除される例が相次いでおります。
例えば、ことしの七月十五日、参議院選挙のさなか、北海道札幌市で安倍総理が街頭演説をされているときに、例えば、安倍やめろとかあるいは増税反対というやじを飛ばした人が排除されたり、あるいは、年金問題についてのプラカードを持っていただけの人が制服とか私服の警察官によって強制的に排除された。
警察庁にお聞きします。これはどういう事案だったんでしょうか。
○ 河野政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの件は、七月十五日、札幌市で街頭演説が行われた際、北海道警察が現場において、トラブル防止の観点からの措置を講じたものと報告を受けております。
他方、本件に関する告発状が検察庁に提出されていることであり、その処理の状況を踏まえつつ、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しており、これ以上のお答えは差し控えますが、いずれにしましても、このような形で警察の職務執行の中立性に疑念が抱かれたことは残念であり、今後とも、不偏不党かつ公正中正を旨として職務を執行していくよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○ 藤野委員 配付資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは、やじで排除された人は少なくとも九人だというふうに現場での集会等で報告をされております。九人というのは、私、物すごい数だというふうに思うんですね。
これは、警察庁、九人排除した、間違いないですか。
○ 河野政府参考人 本件に関する告発状が検察庁に提出されているとのことであり、その処理の状況を踏まえつつ、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しており、お答えは差し控えさせていただきます。
○ 藤野委員 私も、街宣などでの警備の必要性は認めております。警備しちゃだめだとか、そういうことは言っていないんですね。ただ、それが過剰だったのではないかということを問題にしているわけであります。
実際、例えば、プラカードを膝に置いていたら、警官が寄ってきてその人を安倍総理の目が届かないところに連れていったとか、肉声で叫んだ市民を三秒後ぐらいにばっと十人ぐらいで取り囲んで一気に持っていったということだとか、本当に異様なことなんですね。
北海道弁護士会連合会は理事長声明を出しておりますし、東京弁護士会も意見書を出して、いずれも表現の自由を侵害する重大問題であるというふうに指摘をしております。
今、不偏不党とおっしゃったんですが、これは警察法二条二項だと思うんですね。警察法二条二項には、その責務の遂行に当たっては、不偏不党かつ公平中立を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の人権及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならないと規定されております。
警察法そのものは何度も改正されておりますけれども、この二条二項というのは、一九五四年に成立して以降、変わっておりません。
一九五四年に、当時、国会でこの法律の趣旨を説明したのが、当時の法務大臣の犬養健大臣であります。
配付資料の三を見ていただければと思うんですけれども、そのとき大臣はどう説明しているかといいますと、こう言っているんですね。この長官の権限がともすれば過大に陥らぬよう、その所掌する職務はこれを法律に明記して制限を加えたのみならず、長官の責務はあくまで不偏不党、かつ公平中立を旨とすべきことを規定して、仮にも政治警察の弊害の生ぜざるよう、厳格なる保障の措置を講じたのであります、こう答弁されております。
警察庁にお聞きしたいんですが、この政治警察の弊害というのは何なんでしょう。
○ 太刀川政府参考人 お尋ねの過去の答弁については、昭和二十八年二月に提出をされ、結果的に廃案になった法案の趣旨説明において述べられたものと承知しております。
当時の犬養大臣の発言を補足する資料が残っておりませんので、政治警察の弊害という言葉につきまして、その意味をこの場で正確に御説明することは困難でございます。
○ 藤野委員 別にこの答弁だけじゃなくて、似たような答弁があるんですけれども、聞いても答えないのはなぜなのかなと。
いろいろな辞典に載っているわけです。例えば、三省堂の大辞林というのには、政治警察というのは何なのかといいますと、「既存の政治体制の維持のために、反体制的政治運動を取り締まる警察。」というふうに辞書に載っております。小学館の大辞泉ではこう書いてあります。「既存の政治体制の安全・安定のために、反体制勢力の取り締まりと治安維持を任務とする警察。ナチスのゲシュタポ、第二次大戦前の日本の特別高等警察などの類。」というふうに説明があるんですね。こういう理解で私はこの答弁も読んでおります。
つまり、そういう既存の政治体制維持とか反体制勢力の取締りを、そういう政治警察の弊害が起きないようにするためにこの警察法二条二項がある、そういう理解でよろしいですか。
○ 太刀川政府参考人 繰り返しますが、政治警察の弊害という文言につきましては、犬養大臣が御答弁された当時のこれを補足する資料が残っておりませんので、その意味を正確にお答えすることは困難でございます。
他方、委員御指摘のとおり、警察法第二条におきまして、不偏不党、公平中正という文言が用いられておりますので、それについて御説明をさせていただきますと、警察法では、二条第一項におきまして、警察の責務を定めておりまして、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ること」と定めております。
一方、第二項におきまして、警察の活動は、国民の権利、自由に与える影響が大きいということに鑑みまして、それが厳格に第一項の警察の責務の範囲に限られること、責務の遂行に当たって、不偏不党、公平中正であるべきこと、そして権限を濫用してはならないことを確認的に規定しているというふうに承知しております。
○ 藤野委員 やはり行政権力というのは執行力を伴うものであります。ただ、とりわけ警察というのは、まさに個人の人権に直接影響を与える、場合によっては侵害する、こういう作用ですから、だから、ほかの行政規定にはないこういう警察法二条二項のような規定がわざわざ設けられている。しかも、戦前の特高警察のような政治警察の弊害を起こさないための保障としてあるわけであります。しかし、この警察法二条二項の趣旨から見て今回どうだったかということなんですね。
今回の事件については、幾つかの動画がツイッター等でたくさんアップされております。私も見てみました。
ある若い女性は、消費税の増税反対と声を上げたら、すぐに取り囲まれた。その場を離れようとしても、ずっとついてくるんですね。その様子もずっと流れております。現場を離れて、その人はレンタルDVD屋さんに入ったんですけれども、そこにもついてくる。前に警官一人、両脇に一人ずつ、プラス周囲に二人ずつぐらい囲んでいた。レジの前にもついてきたというんですね。DVD屋を出たら、上司らしい女性警察官がいて、まだいたのと言われたそうです。こっちのせりふだという話なんですね。
ですから、女性が移動する際のやりとりもずっと動画ですから録音されているんですけれども、女性がもう嫌だと言うんですね、何度も。そうしたら、警察官の方は、お願い、お願い、お願い、お願い、お願い、お願い、お願いと七回ぐらい繰り返すんです、もうきょうは諦めてと。名前も聞かないし家も調べないし、何もしないからと。一体何を言っているんだという話なんですよ。
声を上げただけの人に対して、法的根拠もわからない、七回もお願いと言うことは、要するに、自分のやっていることが本当に道理のないことだとわかっているから、こういうふうに言うわけですよね。結局、一時間以上つきまとったということであります。
プラカードを持っていたという人も、年金百年安心プランはどうなったという問いかけですよ、問いかけ、はてな。それを掲げようとしたら、ぱっと取り囲まれて阻止された。その方は、真ん前に立つから前も見れない、息が顔にかかるぐらいの近さでしたと。本当に恐ろしいと思うんですね。
他方、安倍総理を応援します、こういうプラカードは、みんなばんばん掲げているわけです。なぜ、安倍総理を応援するプラカードはよくて、安倍総理を批判するやじとか政策を問うプラカードはだめなんですか。
○ 河野政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、本件は、北海道警察が現場において、トラブル防止の観点からの措置を講じたものと報告を受けております。
いずれにしましても、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しているところであります。
○ 藤野委員 今回のこの異常な排除行動の法的な根拠は何でしょうか。
○ 河野政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しているところであります。
○ 藤野委員 事実確認とおっしゃるんですけれども、七月十五日ですから、四カ月たっているんですよ。日本の警察の事実確認力というのはそういうものなんですか。そんなことはないですよね。
結局、法的根拠すら、大臣、言わないわけです。これだけのことをやっておいて、概要も言わないし、法的根拠も明らかにしない。それでもう四カ月たっている。
警察庁に聞きます。これは、北海道警が今事実確認中と言いましたけれども、四カ月たって、警察庁としては遅いと思っているんですか。けしからぬと思っているんですか。
○ 河野政府参考人 繰り返しになりますけれども、北海道警察からは、本件に関する告発状が検察庁に提出されているとのことであり、その処理状況を踏まえつつ、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しております。
○ 藤野委員 違います。私が聞いたのは、そういうことがあるにしろ、それならあなた方はいいと思っているのか、それとも四カ月は長過ぎると思っているのか、評価を聞いているんです。
○ 河野政府参考人 北海道警察からは、告発状が提出され、現在、検察庁による捜査が行われているという状況を踏まえつつ、引き続き事実確認を行っているという報告を受けております。
○ 藤野委員 私が聞いているのは皆さん方の評価です。プロセスは聞いていないんです。そういうことがあれば、四カ月間、法的根拠も示さずに、これだけの人権侵害を犯していいと警察庁は思っているのかということなんです。もう一回お答えください。
○ 松島委員長 藤野さんに対する質問に答えてください。
河野審議官。
○ 河野政府参考人 警察庁におきましては、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しており、その事実確認の結果の報告を待っているところであります。
○ 松島委員長 とめてください。
〔速記中止〕
○ 松島委員長 起こしてください。
では、河野審議官。
○ 河野政府参考人 お答え申し上げます。
引き続き北海道警察において事実確認を行っておるところでありまして、その結果を待っているところでありまして、評価につきましては、その内容を見てみないと確たることは申し上げられないと考えております。
○ 藤野委員 私は、内容についての評価じゃなくて、四カ月もかかっているということについて聞いているんです。
○ 河野政府参考人 期間につきましても、その内容について事実確認の報告を受けてみなければ、評価は難しいと考えております。
○ 藤野委員 結局、私は、これを事実上容認していると。警察庁が今回の事態について評価すらしない、評価すらしないわけですよ。これは、政治警察の弊害を防止するための警察法二条二項、不偏不党とおっしゃいましたけれども、この趣旨を警察庁自身が没却している。
配付資料の四を見ていただきたいんですけれども、ことしの六月二十六日付、警察庁警備局長から全国の県警トップ等に宛てた通達であります。
警察庁に確認しますけれども、こういう通達は、文言は多少違っても選挙のたびに出している、こういう理解でよろしいでしょうか。
○ 河野政府参考人 お答えいたします。
御指摘の通達は、本年六月二十六日付で第二十五回参議院通常選挙における警備諸対策について発出したものと思料いたしますが、警察においては、国政選挙等の前に選挙における警備諸対策に関する通達を発出しているところであり、御指摘の通達も通例に倣って発出したものであります。例えば、第四十八回衆議院総選挙、総選挙期間は平成二十九年十月二十二日でありますけれども、に際しても同様の内容で発出いたしております。
○ 藤野委員 そうなんですね。これは、要するに、選挙のたびに通例に倣って出されている。二〇一七年のものも、私もいただきました。大体似たような文言だなというふうに思うわけであります。
要するに、今回の北海道警もこれを根拠にああいう警備をした、そういう理解でよろしいですか。
○ 河野政府参考人 本件につきましては、本件に関する告発状が検察庁に提出されているところであり、その処理の状況を踏まえつつ、北海道警察において引き続き事実確認を行っているものと承知しており、お答えは差し控えさせていただきます。
○ 藤野委員 いやいや、これは、要するに、警察庁警備局長が、「第二十五回参議院議員通常選挙における警備諸対策について」という通達でありまして、まさに、これは六月二十六日に出されているんですが、この後、七月十五日に、北海道で先ほど紹介したような事案が起きているわけであります。
この中には、文言を紹介しますと、例えば、「接近を阻止する」という文言もあるわけですね。別にやじを発した人は接近を目的にしていたんじゃない、接近しようとしていないんですけれども、例えばそういう文言があったり、あるいは、三というところですけれども、「違反情報の収集と違反行為の取締り」というのがありまして、違反行為の取締りに当たっては云々かんぬんとあるんですが、違反取締り本部の指揮のもと、悪質な違反に重点を置くことはもとより、軽微な違反行為については、警告等を積極的に行い、違反状態の早期是正と違反の続発防止を図るとか、こういうことがあるんですね。
こういうことに基づいてやったんじゃないかというふうに読めるわけで、結局、要するに、警察庁が出した指示でやはり選挙の警備というのは毎回毎回行われているわけであります、通例としてとおっしゃったけれども。それが今回の一つの大きな背景にあると言わざるを得ないというふうに思うんです。
私、こういう通達を出すこと自体を問題にしているんじゃないですよ。先ほど言ったように、警備は必要だというふうにも思います。ただ、これを根拠にして、過剰な、人権侵害に至るような警備が行われた、これがやはり今回の事案ではないかというふうに思うんですね。
もう一点お聞きしたいんですけれども、これは選挙のたびに出されているんです。選挙のたびに出されているんだけれども、なぜかこの間、こういう、総理とか大臣に対してやじをしたら排除されるというものが起きている。これはなぜなんだということなんですね。
これは警備局長名の通達なんですけれども、私は警備局長を参考人で呼んだんです。ところが、きょう来られなかった。
警察庁、なぜ警備局長は来なかったんでしょうか。
○ 河野政府参考人 お答えいたします。
委員会における政府参考人の出席は、国会でお決めいただくことであると承知しております。
○ 藤野委員 いや、私は呼んだんです、きのう。ところが、来られない、まあ、検討するということでしたけれども、結局来られていないわけですね、きょう。その理由をお聞きしているんですけれども。
○ 河野政府参考人 繰り返しになりますけれども、委員会における政府参考人の出席は、国会でお決めいただくことであると承知しております。
○ 藤野委員 理由も言えないというのは何なんだというふうに思うんですね。
今の警備局長は、ことし一月二十二日付で警察庁警備局長に就任されております。その前は、二〇一二年十二月に安倍総理が政権に復帰して以降、約六年間にわたって首相秘書官をずっと務めていた方であります。それが、ことし一月二十二日に警備局長になって、そして六月二十六日にはこの通達が出され、七月十五日には札幌でああいう事件が起きた。どういう関係があるのかわかりませんが、時系列でいうとそういうことなんですね。
札幌だけじゃないんです。八月二十四日には、埼玉県知事選の街宣中に大宮でやじ排除事件が起きて、これは柴山当時文部科学大臣の街宣中に、例えば英語試験、あの民間試験導入ですね、今大問題になっていますけれども、あれに反対のやじを飛ばした大学生が警官に囲まれて排除されたということも起きております。
大臣にお聞きしたいんですが、要するに、こういうことが繰り返されれば声を上げることができないわけですね。七月の札幌も八月の埼玉も、いずれも政権与党側を応援するプラカードは排除されていないんです。明確に、政権への批判、政策への批判は許さないという警察の行動なんです。
法をつかさどる法務大臣として、国民の人権保障の観点からも、そして何より警察法二条二項、不偏不党を求めるこの法律の趣旨からして、これは看過できないと思うんですが、いかがでしょうか。
○ 森国務大臣 冒頭の委員の質問にお答えしたとおり、政治的、公的な活動への参加は民主政治の根幹であります。その思いは変わりありません。
ただ、個別の事案に関するお尋ねについては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○ 藤野委員 もう終わりますけれども、要するに、政治警察の弊害を生じないために、わざわざ警察法二条二項が設けられているわけですね。そのもとで活動すべき警察が、四カ月たっても評価すらしない。評価しないこと自体が私は政治警察の弊害と言ってもいいんじゃないかと思うんですね。正義の実現のために力を尽くすとおっしゃった大臣も、これについては物を言わない。これは極めて深刻な事態なんですね。
これは、事実確認中ということですから、絶対に看過できません。直ちに確認した上で国会に報告を求めたいし、その点について引き続き追及することを述べて、質問を終わります。
作成者 : fujinoyasufumi