衆院本会議 少年法改正案について代表質問
衆院本会議。
少年法改正案について代表質問に立ちました。
少年犯罪は大幅に減少しており、現行法が有効に機能していることは法制審も認めています。
つまり、少年法を変える立法事実はないのです!
いま必要なことは少年法に携わる人や現場への支援を強化すること。
厳罰化ではありません!
- 会議録 -
私は、日本共産党を代表して、少年法等一部改正案について質問します。(拍手)
本案は、十八歳及び十九歳の少年を特定少年と新たに規定し、虞犯の対象としないなど、保護と更生の機会を失わせるものです。さらに、検察官送致の対象事件を大幅に拡大し、起訴後は推知報道を解禁するなど、少年法を厳罰化しようとしています。
少年法第一条は、少年の健全な育成を根本理念としています。これは、戦後、日本国憲法の精神に基づいて、教育基本法や児童福祉法と並んで、少年を、保護の客体であると同時に、人権、権利の主体として、その保護と更生を図るためにほかなりません。大臣は、特定少年にもこの理念が及ぶと考えていますか。
現行法は、成人では不起訴になる事案でも全て家庭裁判所に送致する、全件送致主義を取っています。家裁調査官が、少年の資質や犯罪の背景にある家庭環境などをきめ細かく調査し、教育的観点から処遇を決定しています。
女子少年院に入っていたある女性はこう言っています。刑務所は、満期になれば出られるけど、自分の行動や自分と向き合わないといけない少年院は、内省しないと無理です、適用年齢の引下げは、十八歳、十九歳が更生する機会を奪います。
法制審議会でも、十八歳、十九歳の少年の保護と更生を図る上で、現行法が大きな役割を果たしていることは共通認識となっています。
なぜ、特定少年について、その大事な役割を奪うのですか。
元々、少年法改正論議は、民法の成人年齢引下げとの国法上の統一から始まりました。しかし、それぞれの法律の年齢区分はそれぞれの法律の立法目的によって決められるべきであり、実際、飲酒や喫煙等は二十歳のままです。
上川法務大臣自身、二〇一八年五月三十日の参院本会議で、年齢要件は、それぞれの法律の趣旨や立法目的に基づいて定められていることから、その変更の可否を検討するに当たっても、それぞれの法律目的等を考慮する必要があると答弁しています。そうであれば、なぜ、十八歳、十九歳の少年について、少年法の保護を外して厳罰化するのですか。
現行法は、被害者の死亡という重大かつ明白な結果が発生している場合に限って、検察官に原則逆送するとしています。
ところが、本案は、法定刑の下限が短期一年以上の罪にまで大幅に拡大しようとしています。なぜ検察官逆送の対象を拡大する必要があるのか。また、なぜその対象が短期一年以上の罪なのか。逆送事件の拡大は、多くの少年から立ち直りの機会を奪い、逆に再犯の可能性を高めるのではありませんか。
本案は、検察官送致の対象に拡大された事件について、起訴後、推知報道を解禁しようとしています。ネット時代において、一たび実名等がさらされれば、半永久的に残り、本人や家族に深刻な影響を与えます。
政府は、少年の立ち直りにとって、現行法の推知報道禁止規定が果たしてきた役割をどう認識しているのですか。また、推知報道の解禁が少年の立ち直りを阻害する危険性についてどう考えているのですか。
本案は、特定少年について、虞犯の規定を適用しないとしています。女子少年の虞犯比率は、男子少年を上回っています。私は、新宿歌舞伎町などで若年女性を支援する一般社団法人Colaboが行っている声かけ活動など現場を見てきました。性風俗産業やJKビジネスへの従事は、典型的な虞犯の一つと言われています。
特定少年が児童福祉法の対象とならない現状では、虞犯をきっかけとする保護処分が少年たちのセーフティーネットとして重要な役割を果たしているのではありませんか。
少年犯罪は年々減少し、少年法を厳罰化する立法事実はありません。今政府がやるべきことは、少年法の厳罰化ではなく、少年法に携わる人や現場への支援を抜本的に強化することです。
このことを指摘して、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣上川陽子君登壇〕
作成者 : fujinoyasufumi