衆院本会議で会社法改正案の質問
衆院本会議で会社法改正案の質問。
株主提案権の制限、取締役の報酬拡大など会社法そのものの問題点に加え、「桜を見る会」、関電原発マネー還流問題も追及しました。
明日は、法務委で桜を見る会についても質問します!
- 会議録 -
○ 議長(大島理森君) 藤野保史君。
○ 藤野保史君 私は、日本共産党を代表して、会社法の一部を改正する法律案について質問します。(拍手)
まず冒頭、安倍総理のもとで、総理主催の桜を見る会の支出は予算の三倍に膨れ上がりました。この会には総理の地元から後援会員約八百五十人が参加しており、後援会旅行の目玉行事と位置づけられています。税金を使った公的行事をみずからの後援会のために私物化したという重大な疑惑であり、総理の責任が問われています。野党結束して、徹底的に真相を究明するものです。
次に、経産大臣に質問します。
関電原発マネー還流問題は、決して一企業の金銭不祥事ではありません。原発に反対する声を抑え込むために巨額の資金が必要とされ、原発の立地、増設、原発事故、プルサーマル、再稼働など節目ごとに癒着の構造がつくられてきたのです。大臣には、この問題が国策として進められてきた原発政策の根幹にかかわるものだという認識がありますか。
私は、予算委員会で、高浜原発が立地する高浜町に経産省から二〇〇八年以降今日まで四人の出向者が送られ、プルサーマル発電を主導する副町長や政策推進室長などについてきたことを明らかにしました。経産省が人も知恵も出し、高浜町と一体でプルサーマルを推進してきたことは重大です。
しかし、これら出向者と元助役がどのような関係だったのか、全く明らかになっていません。関電の第三者委員会任せでなく、政府として真相を明らかにする責任があるのではありませんか。明確な答弁を求めます。
次に、法務大臣に質問します。
本法案は、経営者を優遇するさまざまな制度を導入しようとしています。
例えば、ストックオプションなど業績連動型報酬の要件緩和です。しかし、業績連動型報酬は経営者のモラルハザードを引き起こしてきました。見た目の業績を上げるために、大規模なリストラが強行され、働く人が犠牲になっています。
二〇一九年、一億円以上の報酬を得た役員五百六十七人が手にした報酬は千百七十七億円に達し、過去最高となりました。経営者と労働者の賃金格差は年々拡大しています。今必要なことは、これ以上経営者の報酬を引き上げることではなく、従業員の給与を引き上げることではありませんか。
本法案は、経営者が経営に失敗して会社に多額の損害を与えた場合、本来経営者が負担すべき訴訟費用や賠償金を会社に負担させる、会社補償制度を新設しようとしています。一体どういう事案を想定しているのですか。関西電力の役員が訴訟を提起された場合、その訴訟費用や賠償金まで会社に負担させるというのでしょうか。
他方、本法案は、株主が提出できる提案の数を制限しようとしています。
本法案を審議した法制審議会の目的の一つは、企業と株主の対話の促進です。株主提案を制限することが、なぜ対話の促進になるのですか。
法務省は、提案権が濫用される事案があるなどと言いますが、ごくごくまれな例であり、立法事実と言えるような実態はありません。強引な論理で株主提案権を制限する真の狙いは、経営者にとって不都合な役員報酬の個別開示や原発ゼロなどの提案を株主総会から排除しよう、そういう点にあるのではありませんか。
最後に、安倍政権は、この間、企業が世界で一番活動しやすい国を目指してきました。今国会の所信表明演説でも、安倍総理は、「政権発足後、強力にコーポレートガバナンス改革を進めた」と述べています。しかし、この改革と軌を一にして、関電、東芝、日産など、日本を代表する企業で重大な不祥事が相次いでいます。
政府が進めてきたコーポレートガバナンス改革の結果、目先の利益が優先され、働く人を含めた企業全体の健全な発展が脅かされる事態が広がっているのではないか、改革全体について真剣な検証が必要ではありませんか。
以上、明確な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
○ 国務大臣(森まさこ君) 藤野保史議員にお答え申し上げます。
まず、従業員の給与の引上げの必要性についてお尋ねがありました。
本改正法案は、コーポレートガバナンスの向上を図るための基盤を整備するものとして意義があると考えております。
従業員の待遇の向上に資する施策に関しては、各方面における議論の状況を注視しつつ、関係団体や関係省庁と連携しながら、今後も必要な検討をしてまいりたいと考えております。
次に、会社補償が利用されることが想定される事案についてお尋ねがありました。
まず、個別の事案に関する事柄についてはお答えを差し控えさせていただきます。
その上で、一般論として申し上げますと、役員等がその職務の執行に関して損害賠償請求を受け、これに対処するために弁護士費用を支出したような事案や、重大な過失や会社から求償される事情がないのに第三者に生じた損害を賠償する責任を負ったような事案において、会社補償の制度が利用されることを想定しております。
次に、株主提案権の制限についてお尋ねがありました。
株主提案権が濫用的に行使された場合でも、これを制限することができないことになりますと、株主総会における審議の時間等が濫用的な提案に割かれ、他の議案についての検討の時間や他の株主が質問する時間が奪われるなど、株主総会の意思決定機関としての機能が害されるおそれがあります。
このため、本改正法案では、株主提案権の濫用的な行使を制限することができることとしております。
これにより、濫用的でない他の議案についての検討の時間や他の株主が質問する時間を確保することができることとなるため、企業と株主の対話の促進に役立つものと考えております。
次に、株主提案権の濫用的な行使を制限する真の狙いについてお尋ねがありました。
近年、一人の株主により膨大な数の議案が提案されたり、株式会社を困惑させる目的で議案が提案されるなど、株主提案権が濫用的に行使される事例が現に生じております。
このように株主提案権が濫用的に行使された場合でも、これを制限することができないことになりますと、先ほども申し上げたとおり、株主総会の意思決定機関としての機能が害されるおそれがあります。
そこで、本改正法案では、株主提案権の濫用的な行使を制限することとしたものであり、御指摘のような経営者にとって不都合な提案を株主総会から排除しようとする不当な狙いはございません。
最後に、コーポレートガバナンス改革についてお尋ねがありました。
本改正法案は、株主総会の運営や取締役の職務の執行の一層の適正化等につながり、企業全体の健全な発展に資するものであると考えております。
もっとも、本改正法案の内容によってコーポレートガバナンスの向上に向けた取組が終わるわけではございません。本改正法案の施行後においても、新たな制度が実質的に機能しているかどうかを検証することはもとより、コーポレートガバナンスの向上に向けてさらなる検討を続けていくことが必要であると考えております。(拍手)
○ 国務大臣(梶山弘志君) 藤野議員からの御質問にお答えします。
関西電力の事案と原子力政策との関係についてお尋ねがありました。
今回の事案は、電気の供給という公益事業を担う会社の役職員が不透明な形で多額の金品を受領していたという関西電力の問題と認識をしております。
これにより国民からの不信を招いたことは、大変大きな問題と考えます。
今後、第三者委員会による徹底的な事実関係の調査と原因究明を行うことが重要であり、現時点で、御指摘のような認識は有しておりません。
高浜町への経産省出向者と元助役との関係についてお尋ねがありました。
高浜町への出向経験者四名に確認したところ、元助役とのやりとりをするような接点はなかったことを確認しております。
また、平成二十年、二〇〇八年でありますが、十月に経産省から出向者を派遣した時点で、既に福井県と高浜町はプルサーマルの実施についての判断をしており、出向者の派遣が県、町のこうした判断に影響を与えたことはありません。(拍手)
作成者 : fujinoyasufumi