衆院原子力特別委員会で質問
衆院原子力特別委員会で質問。
再処理工場が稼働すればプルトニウムが年6.6トン増える。
これは「(日本が保有する47トンの)プルトニウムは減らす」とした『エネルギー基本計画』に反するではないか?
この問いに規制委員長も経産省もまともに答えず。矛盾だらけ。
核燃料サイクルから撤退の決断をするしかありません!
- 会議録 -
○ 江渡委員長 次に、藤野保史君。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
昨日、河野防衛大臣が、イージス・アショアの配備計画の停止を発表されまして、私も大変、これは住民の反対の声、そして参議院選挙での審判、こうしたことを受けて、この計画自体が行き詰まった結果だというふうに思っております。本当に、国民世論の力だというふうに思うわけであります。同時に、政治の決断も、やはりこうした大きな事業をとめるわけですね。ですから、大変そういう意味でも大きな動きだと思っております。
同時に、今回の決断の検証もやはり国民の代表機関である国会で行わないといけないわけで、国会の閉会ではなくて、国会の延長も強く求めたいと思っております。
その上で、今ほど本多委員、宮川委員、そして伊佐委員からも質問がありましたが、私からも、六ケ所そしてプルトニウム問題についてお聞きをしたいと思っております。
原子力規制委員会は、五月十三日に、青森県の六ケ所村の再処理工場事業変更許可申請について、規制基準に適合しているという審査書案をまとめられているわけです。
配付資料の一を見ていただきたいんですが、この審査書案の中で、十四ページに、規制委員会は、先ほど来出ているんですが、今回の再処理事業変更許可とエネルギー基本計画との整合性を含め、経済産業大臣に意見を求めております。これは異例のことであります。今まで私も、審査書案、毎回毎回見てきましたけれども、こういう、エネルギー基本計画との整合性を求めるという意見聴取は初めてだというふうに認識をしております。これに対して、六月九日に経産大臣から、同計画と整合しているという、非常に木で鼻をくくったような回答が来ているわけですけれども。
委員長にお聞きしたいのは、今ほど来指摘があるんですが、私は、そもそも、率直に単純に、なぜ今回、今までの原発ではやってこなかったエネルギー基本計画との整合性について意見聴取を求められたんでしょうか。
○ 更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
従来、これまでにも原子力発電所に対しては幾つかの判断をしてまいりましたけれども、今回の日本原燃再処理施設の事業変更許可申請の処分に係る判断というのは、原子力規制委員会発足後初めてと言っていい大きな核燃料サイクルにかかわる施設に係る判断であります。そのため、経済産業大臣への意見聴取では、初めての許可判断となることから、この申請とエネルギー基本計画との整合性を含めて、改めて意見を求めたところでございます。
○ 藤野委員 初めてということなんですけれども、もうちょっとそこを聞いていきたいんですが、先ほど、本多委員に対しての答弁で、要するに、六ケ所村の場合、事故時のリスクではなくて通常時のリスクがあるんだという答弁をされておりました。
ここで言う通常時のリスクというのは、具体的にどのようなリスクなんでしょうか。
○ 更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
先生御承知だと思いますけれども、リスクは、与える被害に確率を掛けたという形でリスクを表記いたしますけれども、事故の際には、予期せぬ非常に多くの放射性物質を環境へ放出してしまうおそれがある。その放出量は大きなものであるかわりに、発生確率は小さなものです。一方、再処理施設の場合は、通常時も燃料の切断を行いますので、通常時も一定量の放射性廃棄物の放出を続けています。そして確率は一であります。
したがいまして、再処理施設のそれぞれの状態におけるリスクを考えると、事故のときのリスクよりも相対的に通常時のリスクというのが再処理施設は大きくなるという特徴を持っている。この特徴こそが正当化の判断の上で重要な要素であろうというふうに考えた。
したがって、こういった施設の判断に当たっては、その前提として正当化がなされているということを確認しておく必要があるというふうに考えたものであります。
○ 藤野委員 そうすると、わざわざエネルギー基本計画まで行く必要は私はないと思うんです。今回のエネルギー基本計画の大きな特徴は、プルトニウムを削減するということが初めて書き込まれたということなんですね。
今回審査の対象になっている再処理工場というのは、まさにプルトニウム製造工場ともいうべき、先ほど切断のお話がありました、それも確かにリスクだと思います。しかし、今回、切断して、さまざまな再処理過程を通じてプルトニウムが出てくるというのがほかの原発とは根本的に違うところなんですね。
今回改定されてからエネルギー基本計画で新たに書き込まれた部分というのは、プルトニウムは要するに削減していくんだという大きな方向性が、政府としてもエネルギー基本計画に書き込んだ大きな一番の違いなんですね。
ですから、なぜ今回あえて、審査書案の中で、エネルギー基本計画との関係で整合性を意見聴取されたのかというと、そういう何か、放射能が漏れるとかそういうオペレーションの話ではなくて、それが通常に動いたとしても必ず出てくるプルトニウム、このプルトニウムが発生するということが、エネルギー基本計画で新たに書き込まれたプルトニウムを減らしていくというこのベクトルが、矛盾するのではないか、整合するのか、こういう問いじゃなかったんですか。
○ 更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
先ほど御答弁差し上げた際にも申し上げましたけれども、一つの意図は、正当化が原子力規制委員会のもとで行われているのではないかというような誤解は非常に多く受けます、私たち。
そういった意味で、正当化は政府の高いレベルにおいてあらかじめなされているものに対して私たちは規制を行っているんだ。この正当化をきちんと私たちの外でなされているということを確認をするべきだというのは、今回特に大きな再処理施設の審査があったので行われた。その正当化を求める際に、政策にかかわるディテールについて私たちが認識をしていたわけではありません。
また、ちなみに、プルトニウムの保有量に関しては原子力委員会が責任を持って監視をするということを承知しております。
○ 藤野委員 私は、委員長がリスクという言葉をあえて使われて、先ほど来指摘があるように、リスクという言葉を使われているんですね。これはやはり突き詰めるべき問題であって、六ケ所におけるリスクとは何なのか。いみじくも通常時とおっしゃいましたけれども、通常動いていたらプルトニウムが出るわけです。
そして、紹介したいのは、二〇一八年十二月七日の当委員会で、アドバイザリー・ボードの鈴木達治郎氏がこう言っているんです、まさに六ケ所が動いたときのリスクとして、いわゆる使用済み燃料の毒性は仮に減ったとしても、再処理を通じて、毒性のある高いもの、プルトニウムという、その取り出したプルトニウムのリスクまで考えないとリスクの評価にならないというふうに。こうおっしゃっているんですね、「毒性のある高いものを、プルトニウムという。その取り出したプルトニウムのリスクまで考えないとリスクの評価にはならない。」と。
ですから、まさに六ケ所をめぐってこういうアドバイザリーの指摘があるわけで、私は、六ケ所をめぐるリスクというのは、まさに取り出したプルトニウムのリスクというところまで考えないと評価にならないと思うんです。当然、委員長はそこも考えていらっしゃるんじゃないですか。
○ 更田政府特別補佐人 リスクという言葉の定義によりますけれども、私が先ほど使ったリスクというのは、いわゆる人の健康であるとか環境に対する影響という意味でのリスクを使っております。
それ以外にもリスクは、例えば、政策上のリスクであるとか経済上のリスクであるとか、さまざまなリスクという使われ方をするだろうと思いますが、プルトニウムの量がふえることが安全に対するインパクトを持つといった意味でそのリスクを認識していたわけではございません。
○ 藤野委員 そうだとすると、原子力にかかわる、ましてやその審査を担当する、そして審査を担当する長としてリスクを口にする際に、ほかの原発と違ってこの再処理工場の大きなリスクとして、プルトニウムをどうするんだというのがあるわけですね。これをリスクと捉えない、このこと自身が私は、いや、私は違うと思うんです、リスクと捉えていらっしゃると当然思って、だからこそ意見聴取という今までの原発でやってこなかったことをやられる。委員長として当然のことをやられたと私は思って、だからこそリスクの中身を今聞いているわけであります。
もう一つ御紹介したいのは、わざわざ委員長は、委員長というか規制委員会は、配付資料の二ですけれども、原子力委員会決定まで添付されているんですね、この審査書に。「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方」、これも審査書についているんです、九ページに。
ですから、まさにここでも我が国はプルトニウム保有量を減少させるということが明記をされている。これも原子力委員会として初めて二〇一八年七月に方針を打ち出されたものなんですね。
ですから、委員長、率直にお考えをお聞きしたいんです、本当に。こういう文書まで添付をされ、そして、その五ページ後に意見聴取をされているわけです。
ですから、やはり、率直に言って、その再処理工場が稼働すればプルトニウムがふえる、このふえるという事態が、原子力委員会の基本的考えで言っているようなプルトニウムを減少させるということと矛盾するんじゃないですか、整合しているんですか、そこの整合性をお尋ねになったんじゃないですか。
○ 更田政府特別補佐人 お答えをいたします。
プルトニウムの蓄積量が大きくなることと、それからエネルギー基本計画との間の関係において、この点を問題にして経済産業大臣に対する諮問の中にその確認を求めたものではありません。
○ 藤野委員 だったら、何でこんな文書を添付するのかという話なんですよ。
私は、率直に言って、こういう論の立て方といいますか、審査の際に、これはリスクだと捉えて、ちゃんと整合性があるのかと問うのは、これは、結果は確かに経産省の答えはもう既に出ていますけれども、非常に木で鼻をくくっているんですが、しかし、その問いかけをされたということ自身は決して無駄ではないし、審査に当たって大事なポイントだというふうに私も思うんです。まさにそれをリスクと捉える多くの国民がいるわけですから、そういうことをしっかりと規制委員会がやっているということなのかなと思って今回お聞きをしたわけですけれども、なかなかそうおっしゃらないんですが。
しかし、御自分で、委員会として出されている文書にこういう減少するという文書がついているわけですから、そこは率直に経産大臣とも、こんな木で鼻をくくった答えは何だと、六月九日に出ていますけれども、そこをやり合うぐらいの、はっきり言って重みのある意見聴取だったと思いますし、これは回答が来たわけですから、また局面は変わっているので、こういう回答では納得できないということで改めてやっていただきたいと思います。
経産省にもお聞きしたいんですが、まずちょっと確認したいんですけれども、何が聞かれたと思っているんでしょうか。
○ 村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
原子炉等規制法第七十一条第二項に基づきまして、原子力委員会から意見聴取において、六ケ所再処理工場における事業変更許可に関する申請とエネルギー基本計画との整合性などを含めて意見を求められたというように考えてございます。
○ 藤野委員 だから、その整合性というのはどの部分の整合性だと。私は、今ずっと言っていますけれども、プルトニウムがふえるじゃないかと。ほかの原発ではあり得ないことなんです。再処理工場だからあり得るんです。そのことが、エネルギー基本計画で初めて盛り込んだプルトニウムを減らしていく、この部分と整合するのか、こういう問いだとして、この六月九日の回答があったんでしょうか。
○ 村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
エネルギー基本計画との整合性について問われたというように考えてございます。
○ 藤野委員 全然答えになっていないんですよ。
ですから、委員長、問いを発した方も、何だか、せっかくこういう問いを発されているのにこういう場ではなかなかおっしゃらない、問いを返した方も、全く何について聞かれたのかもはっきり言わない。整合性はわかっています、整合性を問うと書いているんだから。
問題は、やはりこの六ケ所というのはそういう異例の問いを発せざるを得ない、そういう施設だということなんです。これは本当にほかの原子力関連施設とは違う、極めて、まさに核燃サイクルのかなめをなす施設なわけですね。
要するに、国会の意思も確認したいんですけれども、配付資料の三にも関係するんです、経産省にお聞きしますけれども、経産大臣は二〇一六年の四月二十日に、再処理拠出金法案の審議の際に附帯決議の趣旨を尊重すると答弁されていますが、その附帯決議の三号は何と書いていますか。
○ 村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
三号でございますが、「プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、政府は原子力事業者に対して、この原則を認識したうえで再処理事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する再処理等事業の実施中期計画を認可法人が策定した場合には、経済産業大臣はこれを認可しないものとすること。」ということになってございます。
○ 藤野委員 まさにそうなんですね。
ですから、実は、この再処理拠出金の法案そのものには、プルトニウムバランスという言葉は一言も出てこなかった、含まれていないんですね。それを、審議を通じて、さまざまな指摘がある中でこうやって附帯決議に盛り込まれたという経緯があります。
今回の計画というのは、この附帯決議の趣旨からすると、まさにプルトニウムバランスを崩すものになるんじゃないですか。
○ 村瀬政府参考人 そのようなことはないと考えてございます。
政府の方針といたしましては、これはエネルギー計画においても明確に書いてございますけれども、「利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、プルトニウム保有量の削減に取り組む。」ということにしてございます。
一方、エネルギー基本計画においては、同時に、「資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としている。」と明示的に書いてございます。
これに基づきまして、さらにエネルギー基本計画でも書いてございますけれども、「プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、プルサーマルの一層の推進や、二〇一六年に新たに導入した再処理等拠出金法の枠組みに基づく国の関与等によりプルトニウムの適切な管理と利用を行う。」と明記されてございまして、これに基づいて整合的に対応してまいりたいと考えてございます。
○ 藤野委員 六ケ所がフル稼働すると、年間で六・六トンのプルトニウムが生まれるわけです。
今おっしゃったように、何か消費をプルサーマルでするとおっしゃいますけれども、今四基が再稼働していますけれども、玄海三号、高浜三号、四号、伊方三号のうち、伊方三号は訴訟でとまっていますね。六基が審査中だとおっしゃるんですけれども、先ほども指摘がありましたけれども、泊三号は活断層の問題でとまっておりますし、敦賀二号も活断層の問題で合格の見通しがない、東海第二は住民合意の問題で見通しが立たない。女川三号は未申請ですし、志賀原発の一号は未申請ということで、計画とおっしゃるんですが、見通しがないとか申請していないとか、そういうものばかりなんですね。
ですから、私はちょっと経産省に最後お聞きしたいんですけれども、検討ぐらいすべきじゃないですか、この機会に。六ケ所のこの審査はまだ続くわけですけれども、核燃サイクル政策について再考する。エネルギー基本計画の改定も始まっていくわけで、政策転換の検討もするつもりはないのか。この点について。
○ 江渡委員長 村瀬電力・ガス事業部長。
なお、申合せの時間が経過しておりますので、端的にお答えいただきたいと思います。
○ 村瀬政府参考人 お答え申し上げます。
このエネルギー基本計画に明記されてございますが、「核燃料サイクルに関する諸課題は、短期的に解決するものではなく、中長期的な対応を必要とする。また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等の様々な不確実性に対応する必要があることから、対応の柔軟性を持たせることが重要である。」という上で、「高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減、資源の有効利用の観点やコスト、関係自治体の意向等も考慮しつつ、」以上のこうした要素を総合的に勘案し、「状況の進展に応じて戦略的柔軟性を持たせながら対応を進める。」と書いてございまして、エネルギー基本計画に基づいて、戦略的柔軟性を持たせながら対応を進めてまいりたいと考えてございます。
○ 藤野委員 もう終わりますけれども、きょうの問いは、実はアドバイザリー・ボードの皆さんの問題意識を軸に質問させていただきました。
そういう意味で、今回、大きな契機として、核燃料サイクル、たくさんの委員から質問もありました、やはり今こそ、こうした問題を先送りするのではなく、しっかりと転換を検討していくことを強く求めて、質問を終わります。
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質疑資料 PDF
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しんぶん赤旗 2020年6月17日15面記事 PDF
タグ : 原発・自然エネルギー 作成者 : fujinoyasufumi