衆院予算委で質問
今日は予算委で質問しました。
シフト制労働者、医療機関への減収補てん、オリンピック、森組織委員長の女性蔑視発言、保育問題、河井選挙買収事件、そして大雪被害。
1時間の質問時間があっという間。
テレビの前で応援いただき、ありがとうございました!
この質問の準備段階で、北陸信越のブロック事務所、地方議員の皆さん、各県の医療機関や介護施設の方々から、大きなご協力をいただきました。
この場をお借りして、心からお礼申し上げます!
まだまだ予算委員会は続きます。
引き続き頑張ります!!
- 会議録 -
○ 金田委員長 次に、藤野保史君。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
私からも、改めて、新型コロナで亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。また、現在治療中の方々にお見舞いを申し上げます。
医療、介護、保育など、厳しいコロナの対応、そしてケア労働に携わっていただいている皆さんに、心からの敬意と感謝を申し上げます。
先ほどの審議でもありましたが、この冬の記録的な大雪は各地に被害を与えています。私の地元北陸信越でも深刻な被害が生まれています。一月九日に、私は、富山県の小矢部市、南砺市、砺波市の現場を見てまいりました。ここは、雪害としては初めて災害救助法が適用されました。
今回の雪害の特徴は、短時間に集中的に雪が降り積もり、それが何日も続いた、このため、連日大量の除雪が必要になったことにあります。その結果、多くの自治体で既に今年の除雪予算を使い切ってしまっている。
政府に求めたいのは、各地の自治体が、財政負担を心配することなく、幹線道路だけでなく生活道路を含めて除雪できるように、社会資本整備総合交付金の追加配分やあるいは市町村の除雪費補助の臨時特例措置、これを速やかに実施をしていただきたいと思います。
農業用ハウスの被害も甚大です。富山県のある農業法人は、昨年も一昨年も赤字だった。その上に今回の被害。ハウスの撤去費用を除いて、再建するだけでも一棟二百五十万円かかる。それが何個も倒れているんです。非常にショックが大きい。悲痛な訴えでした。
元々、国民や農家の皆さんは、消費税の一〇%増税、そしてコロナ禍による米価や野菜価格の暴落によって大きな打撃を受けていました。その上に今回雪害の被害が重なっているという状況です。
農家の強い声によって、先日農水省は、ハウスの撤去、再建を支援する強い農業・担い手づくり総合支援交付金の、被災者農業支援型の発動をお決めになりました。今後、雪が解けて被害の全貌が明らかになると思います。それに従って様々な支援が必要になると思うんです。先ほど総理から答弁もありましたけれども、私たちは、やはり、制度の枠にとらわれずに現場が必要とする支援をスピーディーに届けること、これを強く求めたいと思います。
そして、今、政治への信頼が問われております。コロナ対策で最も大事なのは、政治への信頼です。
二〇一九年七月の参院選、当選した河井案里参議院議員が、先日、懲役一年四か月、執行猶予五年の有罪判決を受け、議員を辞職しました。
総理にお聞きしたいんですが、この問題が選挙の票を金で買ったという民主主義を揺るがす重大問題だという御認識はお持ちでしょうか。
○ 菅内閣総理大臣 国民の政治不信を招いたという、そうした批判があることは重く受け止めております。
○ 藤野委員 私が聞いたのは、批判はなぜ起きるのか、それは、選挙の票を金で買ったというまさに民主主義を揺るがす大問題だから、そういう認識はあるのかという質問なんですね。
問題は、この大買収事件がなぜ起きたのかということであります。河井氏だけでは到底起こり得ません。自民党本部の尋常でない肩入れがあったからこそ起きたんじゃないでしょうか。
パネルを御覧いただきたいと思います。安倍総理、菅総理、パネルにないですけれども、二階幹事長も応援に入っておられます。
菅官房長官、ここのテロップにも少し出ているんですが、紹介したいと思うんです。本当に涙が出るような思いで、私、見ているんですけれども、この暑いときに一日三十回も街頭演説しているんですよ、ようやく河井案里の名が皆さんに知れ渡ってきたのではないでしょうか、広島一円に河井案里、河井案里と広めていただきますことを心からお願いしますと。そして、下の安倍総理の方は、河井案里さんは確固たる信念と政策立案能力を持った政治家です、私はまなじりを決してこの戦いの先頭に立つ決意であります、こう言っているんですね。
これだけでなく、河井陣営には党本部から、もう一人の自民党候補の十倍に当たる一億五千万円が渡っております。そのうち一億二千万円は、国民の税金である政党助成金です。
総理にお聞きします。この事件に自民党本部や当時の政権中枢がどう関わったのか。そして、国民の税金が選挙の買収資金になった可能性はないのか。国民は納得いく説明を一切受けておりません。この場ではっきり御説明ください。
○ 菅内閣総理大臣 この委員会には、私、内閣総理大臣として出席しておるわけでありますけれども、せっかくのお尋ねでありますので、自民党総裁としてあえて申し上げさせていただきます。
御指摘の資金は、支部の立ち上げに伴い、党勢拡大のための広報紙を全県に複数回配布した費用に充てられたとの説明があったという報告を受けております。
そして、使途の詳細については、検察当局に押収されている関係書類が返信され次第、党の公認会計士が内規に照らして監査を行い、しっかりチェックすることになっています。
○ 藤野委員 これまでの答弁なんです。何も明らかになりません。これでは国民の疑念は晴れない。
委員長にお諮りします。
河井案里元議員の選挙買収事件での集中審議を求めたい。そして、それに加えて、先ほど来問題になっております総務省の接待問題についての調査、この調査結果をこの委員会に提出するよう求めたいと思います。
○ 金田委員長 ただいまの御指摘につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
○ 藤野委員 次に、シフト制労働についてお聞きします。
総理は一月二十九日、シフト制で働く非正規労働者にお会いになりました。その後、厚労大臣に指示を出して、休業支援金を大企業労働者に広げるということを決められました。
厚労大臣にお聞きします。対象となる休業期間はいつからでしょうか。
○ 田村国務大臣 以前から、与野党からこのシフト制の問題はいろいろと御要望いただいておりました。
総理からの指示もございまして、実は、まだ本当を言うと制度設計をする時間がかかるんですが、昨日、いろいろと国会でも早く早くというお声がありましたので、今日、一月八日、これは、言うならば緊急事態宣言が出ましたので、全国に、それで、全国の大企業のシフトで休業を強いられている方々に対してこれを対応させていただくというようなことを今日発表しました。
ただ、いろいろとそれ以前も、時短のお願い等々を各都道府県等々でやっておられます。そういうものの制度設計、そこまで含めるかどうかという制度設計も今ちょっと検討中でございますので、急遽、これは、言われた中で、全国が緊急事態宣言が出たところは、これは緊急事態宣言でありますから共通点であろうということで発表させていただきましたが、更にそこからの詳細はちょっと検討最中であるということを御理解いただければありがたいと思います。
○ 藤野委員 要するに、一月八日ということなんです、対象は。皆さん。
多くのシフト制労働の皆さんは、第一回目の緊急事態宣言、去年の四月から生活が一気に苦しくなったんです。ずっと収入が去年の四月からほぼゼロになるような、こういう状況に追い込まれた。それがなぜ、今日出されたんです、今日、プレスリリース、厚労省が出されました、対象となる休業期間、今年の一月八日以降、今も答弁がありました。救われないじゃないですか。
この厚労省の発表を受けて、私の元にもシフト制労働の方から声が寄せられました。紹介します。
今年の一月八日以前からずっと苦しんできたのに、会社も国も動いてくれなかった。何度も何度も働きかけても動いてもらえなかった。やっとやっと休業支援金の対象に大企業も入れてもらえることになったと安堵したのに、今年の一月八日からでは意味がない。昨年春から困窮は始まっているのに、この制度では救われない。昨年から遡って申請できなければ全く意味がないです。
総理にお聞きします。総理にお聞きしたい。昨日の大企業非正規も休業支援金の対象とするという総理の言葉で、発言で多くの大企業非正規の方が安堵したのに、また突き落とされた気持ちになります。なぜ昨年から遡って申請させてもらえないのでしょうか。総理、この声をどう受け止めますか。
○ 菅内閣総理大臣 始める時期については、厚労大臣からもう一度答弁させます。
○ 田村国務大臣 要は、今般の感染拡大の中において、本来大企業は十分の十じゃなかったものに対して、十分の十というような決定を特例でさせていただきました。
しかし、それでも対象にならない、つまり、大企業がそれに対して対象にして……(藤野委員「時期はいつなんですか。時期だけお願いします」と呼ぶ)いや、大企業は一月八日からですから、十分の十は。それでやりました。ただ、そうはいえども、大企業はそれぞれの対応を今までしておられましたが、出ていない方々が今回の感染拡大の中ではあります。それは、感染拡大は、対応に対して、それぞれの地域がいろいろな時短要請をされました。そこに対して、それはばらばらですから、そういうものが対応ができるのか、できないのか。
ただ、言われるとおり、四月からとなると、これは以前の感染拡大期の話でございまして、今回の対応という意味では、我々としてはそこは念頭には置いていないということであります。
○ 藤野委員 いや、それじゃ駄目なんですよ。第一回目の緊急事態宣言は営業自粛なんです。全部止まっちゃう。今、時短、時短とおっしゃった、時短のあれが各地で違うとおっしゃいました。確かに、二回目の緊急事態宣言は時短であります。けれども、一番初めの昨年の緊急事態宣言、自粛、営業そのものができない、これで一番痛んでいるわけですよ。なぜそこに遡らないのか。政府自身が、あの六月の法改正で、中小企業の労働者に休業支援金制度をつくりました、昨年ですけれども。その際は、六月にできたんだけれども、四月まで遡ったわけですよ。遡れないことは全然ない。なぜこれをやらないのか。
総理、もう一回聞いてと言いましたけれども、聞くんじゃないんです。総理、もう一回指示を出していただきたいと思うんです。これでは救われません。去年の四月に遡って適用しろと。
しかも、総理、この委員会でも度々問題になっておりますが、野村総研。シフトが五割以上減った、そして休業手当が出ない、こうした方が女性だけで九十万人いらっしゃるというんです、女性だけで。男性を入れたら百万人を超えますよ。この制度、今発表された制度では、百万人以上の方が救われないことになる。こんな血も涙もないことを本当にやるんですか、総理。
もう一回指示を出してください。昨年の四月からやれと指示を出してください。
○ 田村国務大臣 その数字は大企業のみでしょうか。中小零細も入っておられて、その中には当然のごとく今対象の方々もおられると思いますが。
いずれにいたしましても、去年の四月からいろいろな制度をやっておりまして、例えば緊急小口資金、それから総合支援資金、こういうものに対しては、もう御承知だと思いますが、上限百四十万までお貸しをさせていただいて、返済時に、所得が下がって、課税所得が、課税所得といいますか……(発言する者あり)いや、低所得の方々に関してはそういうものをやってきている。
様々な支援があって、その対応の下で、今般さらに、大企業に対して十分の十の補助率にしても、それでもシフト等の関係の方々は対象にならない、大企業がその対象にしないというようなお声をいっぱいいただいて、何とかそこをしていただけませんかというような、そういう悲痛なお声をお聞きをいたしましたので、我々もそれに対して対象にさせていただいたということで、どうか様々な政策を御理解をいただければありがたいというふうに思います。
○ 藤野委員 今るるおっしゃいましたが、だからこそ、総理がお会いになった方がこれじゃ救われないんですよ。そして、百万人を超えるような、シフト制の、カットされて休業手当ももらえない、こういう人たちが救われないから私は質問しているんです。
もう一回指示してください。というのは、このリリースにはこう書いてあります。「施行に当たっては厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点の予定となります。」これは単に予定なんですね。ですから、総理、まだここをもう一つ指示を出して、予定なんだから、省令改正までに、一月八日じゃなく去年の四月まで、こういう指示を出してください。(発言する者あり)
○ 田村国務大臣 やる気がないとかではなくて、いろいろなお声をお聞きをして、今般、シフトを切られて、実際問題もらえない、そういう方々は、例えばいろいろな、テレビなんかでも出ておりますが、今回大企業が、要は十分の十、今般の緊急事態の中で、飲食店で、それでも頼みに行っても出してもらえなかった、実際今収入がない、そういうお声があられて、それに対応するようにということでございますから、本来大企業が今般十分の十でやる部分に関して、これは一月八日からでありますから、それに関してはしっかりと対応すると。御要望いただいた中においての対応をさせていただきました。
ただ、それ以外の影響も第三波でありますから、それ以前に各地域で時短をそれぞれ自主的にやられています、それに関しても対応すべく、今、どういうやり方があるかというのを検討させていただいているということであります。
ですから、一月八日だけではなくて、今般の感染拡大において、時短営業等々でそれぞれの地域で影響を受けられた方々の対象をどのような形で事務的に対応できるかということを含めて今検討させていただいているということであります。
○ 藤野委員 検討しているということであります。
今回の時短とおっしゃるのは、やはりあれなんですよ、前回の緊急事態宣言は、営業自粛でもう丸ごと止まったわけですから。ですから、やはり、緊急事態宣言を理由にするのであれば、一回目に戻って、四月から、そこから苦しんだ方々を救うべきだ。総理自身が国民の命と暮らしを守ることは政治の責任だとおっしゃっている、この責任を果たすことを強く求めたいと思います。
次に、医療問題をお聞きします。
コロナの感染者数は減ってきましたけれども、医療逼迫は続いております。入院もできない、ホテルにも入れない、自宅で命を失う事態も起こっています。自分や家族もそうなるんじゃないか、多くの国民が不安に思っております。
国内の多くの病院は民間病院であります。これらの病院はなぜコロナ患者を受けられないのか。実は、大阪府の保険医協会が今年一月、大変貴重なアンケート調査を行っていただきました。大阪府内の病院を対象に、今年一月、行っております。現場のリアルな声を御紹介したいと思うんです。
なぜ受けられないのか、なぜ登録していないのか。一位は、動線が分けられないなど病院の構造上の問題、二位は、医師、看護師がいないなどスタッフがいない、こういう理由だということです。
例えば、生の声を御紹介します。
同じ建物の上の階が老健施設になっているため、院内感染の場合に病院と老健職員の動線の確保が困難。うちのような療養病床だと、人員、環境整備、備品などの点から、コロナ患者の受入れは困難、だから、コロナ軽快後の後方病床として近隣病院と連携している。人工呼吸器で使用可能なものが二台のみで、コロナ患者に回す余裕がない。通常の入院患者を受け入れるのもぎりぎりの看護師数である。毎年一月から三月は看護師不足になり、入院制限を行っているが、今年は特にコロナの影響で派遣看護師も見つからず、より運営が厳しい状況。こういう状況が、るるこのアンケート調査で浮かび上がっております。
そして、私、本当にすごいと思うのは、こういう厳しい状況でも、大阪府内の七割の病院がコロナ患者にも対応しているということなんです。
声を御紹介します。
クラスターが発生した施設に出向き、診療、検査を行った。急な依頼が多く、医師や看護師の確保に苦労する。入院が必要な患者が来院した場合は、外来の受入れがストップしてしまった。別の病院。限られたスペースで検体採取を実施、患者対応後の換気に何時間も必要となり、通常の患者受入れに影響が出た。そして、年末にコロナ患者が発生した。一月に入り、あっという間に感染が広がり、クラスターに。看護師数がすぐに不足。救急は全面ストップになった。
総理にお聞きしたいんです。ここまでやってくれている。実態は、民間病院はコロナを受け入れていないなどというイメージとは全く違うんです。私、本当にありがたいと思うんですが、総理もそう思われませんか。
○ 菅内閣総理大臣 当然、大変ありがたいというふうに思います。
○ 藤野委員 このアンケートでは、こういう声があるんです。病床数という数値だけで民間病院がコロナ患者の病床確保が進んでいないという指摘は全く見当違いだ。他の国の医療提供体制とは異なり、日本では地域でそれぞれの病院の役割があることを踏まえていただきたい。私は、この声を重く受け止めるべきだというふうに思います。
そして、今お話のあった、日本の、やはり地域でそれぞれの病院が独自の役割を果たしている。この点との関係で今大きな課題になっているのは、病状が少しよくなった場合あるいは陰性になった場合、その場合の転院先、転床先、これをどうやって確保していくか、大きな課題になっております。
全国の医学部長病院長会議が先日、大変重要な調査を発表していただきました。全国の大学病院が今どれだけ活動しているかということなんですが、その中で、中等症や軽症向けのコロナ対応ベッド、大学病院です、その中症向け、軽症向けのベッドのうち、四割を超えるベッドに無症状だとか酸素投与が不要な患者が入っているという調査結果だったというんですね。これは、回復後のそうした方の転院先が見つかりにくいからだと指摘をされています。これらの患者を大学病院以外の病院とかあるいはホテルで診ることができれば、大学病院で本来必要な患者を受け入れることが可能となるともこの調査は指摘しております。
同会議の、部長会議の湯沢由紀夫会長はこうおっしゃっています。行政は、地域の役割分担を明確にして、転院先の確保を調整してほしい。本当にこれは今求められていると思うんです、行政に。
そして、私、全国あちこちでお話を聞いてきたんですが、見てみますと、実際もう既に地域で役割を分担して転院や転床を進めている、そういう例があります。
この委員会でも紹介された長野県の松本方式。これは、今指摘しました信州大学、こういう大学が例えば重症と中等症を受け持つ、国立病院まつもと医療センターあるいは松本市立病院、こういうところが中等症や軽症を受け入れる、そして、県立こども病院は子供や妊婦を受け入れる。そして、今申し上げたのは公的、公立ですが、民間病院も、相沢病院が人工透析が必要な患者と中等症の患者、松本協立病院は主に軽症の患者、丸の内病院や藤森病院はコロナ以外の患者を担当されていただいております。
私、各地を回る中で、新潟県魚沼のある病院の院長さんが、この地域も長年の積み重ねで今の連携の形になりました、政府は選択と集中と言うけれども、私たちは役割分担と連携だと思っているとおっしゃっていたのが忘れられません。
問題は、連携が望ましいのは分かるけれども、やはりちゅうちょする、もしコロナが発生したらどうするんだろう、こういうちゅうちょする医療機関はあるということなんですね。
愛知県のある民間病院の院長さんはこうおっしゃっています。一度院内感染が発生すると、多数の従業員に自宅待機という名の休業を強いることになり、通常業務の一部が停止に追い込まれ、病院の売上げが持ち直すのに数か月を要する。そして、こうおっしゃっています。これらのデメリットと補助金をてんびんにかけると、てんびんはデメリット側に傾いたまま動かない、幾ら政府が十分に助成金を出すと言っても、現在の額では経営的メリットが全く足りないために、赤字に転落すれば倒産してしまう民間病院は協力したくてもできないのである、こういう声なんです。
そして、先日、二月二日、参議院の内閣委員会で参考人でおいでになった米村滋人東京大学教授は、ある雑誌でこうおっしゃっています。
記者が、なぜ病院は感染患者を受け入れないのか、こう聞いたのに対して、一番の問題はクラスターが起こったときだ、二、三週間は完全に閉院しなければいけなくなり、消毒などをして膨大な費用がかかる上、収入はゼロになる、病院からすれば、そんな危険なことはできないというのが本音だろう。そして、記者が、今の財政支援では駄目なんですか、こう聞いたら、患者を受け入れていない病院が支援によって患者を受け入れるようになるかというと、余り魅力的に映っていない、結局、今の財政支援は、患者を診ることでかかった直接経費を補填する形になっている、クラスターが発生して閉院した場合の損失分や、評判が落ちて患者が減った分の損失分は対象外だ。そして、米村教授は、減収補填の仕組みをつくれば患者を受け入れる病院は増えるのかと聞かれて、増えると思うとおっしゃっております。
総理にお聞きします。今、転院、転床を進めるために医療連携が不可欠であることは、誰も否定しないと思うんです。しかし、現場にはやはりどうしてもちゅうちょがある。このちゅうちょを乗り越えていただいて、医療連携に参加していただく、そのためには、クラスターが発生して閉院した場合の損失や受診抑制の場合の損失、これをきちんと支援します、このことを政府がはっきりと打ち出すことが必要だと思うんですが、総理、いかがでしょうか。
○ 菅内閣総理大臣 新型コロナ患者を受け入れる医療機関がそのことによって損失を被ることのないよう、しっかり支援していくことは極めて重要であります。
先ほど来申し上げていますように、医療機関に様々な支援を行ってきております。また、診療報酬についても、新型コロナ患者の診療については大幅な引上げを行ってきています。
こうした支援によって基本的には減収になることはないと考えていますが、仮にそうしたことがあり得るのであれば、更なる対応を検討します。そして、医療現場の方々が財政面でちゅうちょすることなく専念できるように、政府はしっかり対応します。
○ 藤野委員 総理、今、更なる検討も行う、仮にそういうことになればと。具体的にはどういうことを想定されているんでしょうか。
○ 田村国務大臣 今おっしゃられたのは、コロナ患者ではなくて、コロナは、疾病はお治りになられたけれども、まだ、高齢で、体が虚弱で、どこかでリハビリも含めて受け入れていただかなきゃいけない話ですよね。その病院の話ですよね。(藤野委員「違います。更なる措置を聞いているんです」と呼ぶ)いやいや、だから、今ずっと言われていたのはその病院だったじゃないですか。要するに、受皿になられた医療機関をどうするんだという話をずっとされておられて、これは重要な話なんです。これが役割分担で、ここがないと……(藤野委員「結構です。決まっていないんだから。あなたの話を聞く場じゃないんです。私の質問に答える場なんです」と呼ぶ)
○ 金田委員長 静かにしてください。
○ 田村国務大臣 ずっとそうやっておっしゃっておられたので。
もう一度お願いします。
○ 金田委員長 藤野保史君、じゃ、もう一度質問してください。
○ 藤野委員 自分のことを言う場じゃないんです。私の質問に答える場なんです。
更なる検討を是非求めたいですし、それはもう総理、減収補填しかないんですよ、減収補填しかない。それはもう圧倒的な声です。今頑張っていただいている、先ほど紹介したような保険医協会、今頑張っている人を支える上でも、そして転院、転床、地域連携を進めるためにも、本当に今これが鍵になっている。これからワクチンもやろうというんですよね。総理も、かつてない大事業だとおっしゃった。これも更に医療機関にのしかかっていく。本当に、減収補填をしっかりやるということが全ての鍵になっているというふうに私は思っております。
その上で一点お聞きしたいんですが、厚生労働省がある通達を出しております。これは、昨年の十一月二十六日に、令和二年地域医療構想を推進するための病床削減給付金の実施について、こういうものなんですね。この日付に注目していただきたいというふうに思います、十一月二十六日。
この十一月二十六日というのはどういう日かということなんですが、この前日、十一月二十五日、新型コロナ分科会が開かれまして、医療が逼迫しているという提言を政府に出しました。そして、これを受けて政府は、国民に、勝負の三週間、この勝負の三週間を呼びかけたのが十一月二十五日なんです。十一月二十五日、医療が逼迫しているという理由です。にもかかわらず、その翌日に厚労省が、医療削減支援の……(発言する者あり)病床削減支援、ありがとうございます。病床削減支援の給付金を出している。
厚労大臣にお聞きしますが、これは政府が勝負の三週間を呼びかけているんですね。厚労省というのは、医療提供体制にまさに責任を持たなきゃいけない。なぜそんなときに病床削減せよというような通知を出すんですか。逆行もいいところじゃないでしょうか。
○ 田村国務大臣 ちょっと私の方に通告が入っていなかったので申し訳なかったんですけれども。
これは、地域医療構想、ずっと地域医療構想会議をやっていただいて、各地域地域、二次医療圏でいろいろな話をしていただいております、県もそこに加わっていただいていると思いますが。その中で、二〇二五年に向かってですけれども、やはり人口構成が変わってきますので、ベッドがいっぱいあると、逆に言うと採算が合わなくなってくるという状況もあります。そこで、地域で話していただいて、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、それぞれの病床の割当てをする中で、合理的にベッドが要らなくなる部分に関しては削減をする。ただ、削減するときにそれなりに費用がかかりますので、それに対してのこれはお金であります。
ただ、そこはそれぞれの二次医療圏でお決めを、それぞれ医療関係者が入ってやっていただく話でございますので、国が無理やりこれをしなさいという話ではございませんから、地域がそれぞれ考えてやっていただくという話であります。ですから、この感染症の状況も踏まえた上で、いろいろな御議論をまたいただけるものだというふうに思っております。
○ 藤野委員 いろいろおっしゃいますけれども、要するに、政府が勝負の三週間と呼びかけた翌日に、病床削減支援の給付金を厚労省が出している。全く逆行するわけですよ。本気でやろうとするのか、病床確保しようとしているのかということが問われる。
今いろいろおっしゃいましたけれども、政府はこの期に及んで、地域地域とおっしゃいますが、その地域医療計画の中で、今コロナ対応の最前線にある高度急性期そして急性期病床を二十万病床削減する、これはまだ撤回していないんです、この計画を。変えようとしない。今でも大変なこの医療体制を更に削ってコロナ対応なんかできるはずがありません。医療に効率至上主義を持ち込んで医師や看護師、病床を減らしてきた、この根本がこの計画に象徴されている。これは撤回すべきだと強く求めたいと思います。
次に、オリンピックについてお聞きします。
まず、総理、昨日、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の発言について、総理はあってはならない発言だとおっしゃいました。総理、どういう意味で、あってはならないんでしょうか。
○ 菅内閣総理大臣 オリンピック・パラリンピックの重要な理念である男女共同参画、そうしたことを否定するものでありますから、あってはならない発言ということを申し上げました。
○ 藤野委員 今、五輪の重要な理念である男女共同参画に反するからとおっしゃられました。昨日も、枝野委員の質問のときに三回も、総理は男女共同参画という言葉を出されました。しかし、総理、五輪の理念というのは男女共同参画なんでしょうか。
五輪憲章というのが、オリンピック憲章というのがあります。このオリンピック憲章の根本原則第六条に何とあるか。こうあるんですね。このオリンピック憲章の定める権利及び自由は、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的又はその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由によるいかなる理由の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。つまり、あらゆる差別が許されない、あらゆる差別を認めないということがオリンピックの理念なんですね。
総理、男女共同参画じゃないんじゃないですか。男女共同参画に反するから森氏の発言はあってはならないのか。総理の認識はおかしいんじゃないですか。
○ 菅内閣総理大臣 今申し上げましたけれども、オリンピックの重要な理念である中に、今委員からありましたけれども、人種、肌の色、性別というのがありますよ。そういう中で男女参画というのがある、とは反するということで私は申し上げたんです。
○ 藤野委員 いや、総理、それだと総理の御認識が問われますよ。あらゆる差別が駄目なんです。性別はもちろんですよ。性別はもちろんです。しかし、いかなる差別も許さないというのが五輪の精神なんです。それに反するから森氏はあの座に立つべきではないという国民的批判が起こっているわけですよ。総理自身の認識はおかしいと思います。
○ 菅内閣総理大臣 全くおかしくないと思いますよ。
森会長が女性のことについて発言をしましたので、そのオリンピック憲章の権利の中に性別というのがありますから、男女共同参画というのは、そういう意味で私は自然なことだと思います。
○藤野委員 これはもう総理自身の御認識が問われる事態になってきたというふうに思います。こういうオリンピックの基本理念に反するからこそ、私は、森氏は組織委員長という座にとどまるべきじゃないと思います。
総理、辞任させるべきじゃないですか。辞職を求めるべきじゃないですか。
○ 菅内閣総理大臣 内閣総理大臣にその権限はないというふうに思っています。
ただ、私自身は、昨日、森会長の発言を受けて、まさにあってはならない発言だということを発信をしました。そして、私から、昨日の予算委員会が終わってすぐに、森会長に政府の考え方を強く、橋本大臣に指示をいたしました。橋本大臣から、私の、共同参画について、それはIOCの使命と役割であり、女性の立場にもしっかり立ちながら世界に向けてメッセージを発する大会としていく必要がある、このように大臣が伝えて、そして森会長から、大変申し訳ない、そういう話があったということの報告も受けています。
もしあれでしたら、大臣から直接どうでしょう。
○ 藤野委員 いや、結構です。
だから、総理が伝えよと言った、そこがポイントがずれているんです。男女共同参画じゃないんですよ、問題は。五輪憲章そのものに反するんだ、だからあなたは組織委員長は駄目なんだと、ずばっと言わないと駄目なんです。
そもそも、なぜ森氏が組織委員会の委員長になったのか。これは、二〇一四年一月十四日に、下村当時の文科大臣、これは五輪担当大臣でもあります、この下村五輪担当大臣とJOCの当時の竹田会長、そして東京都の秋山副知事、この三名が三者会談を行って決めたということなんです。これは、政治が全く無関係だとか、そういうことでは全然ないんですね。それまでは、ずっと財界の方がオリンピックの組織委員長をやられていました。それが、この森氏だけがこうした特別なやり方で、三者会談によって選ばれたわけであります。
総理、そういう意味でも、今、関係ないというようなお話をしましたけれども、関係ないことない。森氏があの座に就いたこと自身にやはり政権の責任があるわけですよ、当時の。ですから、それも含めて、辞職すべきではないか、こういうふうに言うべきじゃないですか。
○ 菅内閣総理大臣 今、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会というのは一つの公益財団法人でありますから、そこについて内閣総理大臣としてそうした主張をすることは、これはできないと思っています。
○ 藤野委員 いや、それも違っていまして、組織委員会はJOCと東京都が五〇%ずつ出資をして、それに対して国が政府保証をしているんですよ。だから、何か関係ない、関係ないといろいろな形でおっしゃるんだけれども、それは違うと思うんです。
いずれにしろ、この問題、引き続き大問題になっていくと思います、国際問題ですから。
オリンピックに戻りますが、オリンピックを楽しみにされていた方も多いと思うんですね。私も、ずっとサッカーをやっています。オリンピックに向けて頑張ってきたアスリートの気持ちを考えると、本当に言葉にならない思いがします。
しかし、コロナ感染が前提を変えてしまった。世論調査でも、中止、再延期を求める声が八割を超えております。コロナ対策に集中してほしい、これが国民の切実な願いです。
一月二十一日の衆議院本会議で、我が党の志位委員長の質問に対して総理は、ワクチンを前提としなくても安全、安心な大会を開催できるようにしたいと答弁されました。ワクチンを前提としないということは、結局、防疫措置など膨大なマンパワーを投入してこれを抑え込むしかない。
先日、橋本大臣が、オリパラ期間中に必要な医師、看護師が約一万人だと答弁されました。
総理にお聞きします。コロナ対応、そして先ほど言ったワクチン対応、これが行われている現場から一万人もの医療従事者を引き離して五輪に振り向ける、これは現実的とは言えないんじゃないでしょうか。
○ 橋本国務大臣 お答え申し上げます。
東京大会におきましては、安全、安心な大会を実現するための医療体制として、まず、選手村総合診療所や競技会場の医務室において選手や観客に対し必要な医療サービスを提供するほか、新型コロナウイルス対策として選手村において定期的な検査を実施するとともに、選手村総合診療所発熱外来や競技会場隔離室、感染症対策センター等が緊密に連携しつつ、迅速に対応する体制を整備することとしていると承知をしております。
こうした体制の構築に必要な医療スタッフについては、現在、組織委員会において精査を行っているところですが、お一人五日程度の参画を前提とすると、東京大会の開催期間約二か月を通じて、トータルで一万人程度の方々に依頼をしていることと承知をしております。
医療スタッフの内訳をお話しさせていただきたいと思いますが、医師、歯科医師が約三割、看護師が約四割、理学療法士が約一割程度、さらに検査技師等の検体採取者が約一割程度というふうになっておりまして、一日当たりの医師、看護師の人員については、最も多くの会場で競技が行われる七月の二十五日を見てみますと、これにおきましては、医師は三百人程度、看護師は四百人程度、このうち、主に新型コロナ感染症対策を行うための人員については、医師が百人弱、看護師百人強の確保を目指しているというふうに承知をしております。
いずれにいたしましても、現在、組織委員会において、医療機関、競技団体等の御意見を伺いながら、医療スタッフの確保について調整を行っている状況にあると伺っております。
引き続き、国としても、東京都と組織委員会としっかりと連携を図ってまいります。
○ 藤野委員 今、答弁がありました。でも、目指しているということなんですね。
私、地元の一つである石川県でお聞きしたんですが、ある病院はこうおっしゃっていました。オリンピックに一万人、どこにそんな人員がいるのかと言いたい、慢性的に人員不足の中で、ぎりぎりの体制でコロナ対応を行っている、発熱外来についても通常より手間が相当かかっている、その上にオリンピック対応のために医療従事者を振り向けることは、当病院としては不可能である、こうきっぱりおっしゃいました。
そして、これは自治体にとっても大変な負担だと思います。
このパネルは、政府のオリパラ感染症対策調整会議第二回、九月の会議に出された、ホストタウン、事前キャンプ地についての案なんですね、こういうことをやろうという。対応についてと。この黄色い部分、ちょっと見えないと思うんですが、「ホストタウン、事前キャンプ地については、以下の枠組みで対応を検討してはどうか。」という、国としての提案なんです、対応してはどうかと。
しかし、これは実際見ていきますと、もう本当に大変です。肝腎の交流とか以前に、移動、空港からホストタウン、ホストタウンから選手村、そして、専用車両運転手、通訳、ガイド、事前の健康管理、事前の検査。練習も、練習場である体育館や競技場、更衣室、シャワーだけでなく、そのトイレ、ここも別にやれと。そして、動線の設定などなど。ホテルも、それぞれゾーニング等必要になります。食事も、朝昼夕、そしておやつというか補食ごとの提供方法に応じた感染防止策。メディア対応も必要になる。つまり、本当にこれは大変な状況です。
しかも、コロナ禍で、想定外の事態も次々と起きております。滋賀県の大津市では、ニュージーランドの選手団が宿舎として確保していたホテルが四月に倒産してしまった、コロナ禍で。急遽別のホテルを仮押さえしたんですが、もう一回、一からこれが始まるわけです。本当に大変な状況。兵庫県の神戸市では、コロナの変異ウイルス、変異種が確認されたため、受入れ再調整。また再調整です。五百十七を超えるんですね、ホストタウンというのは。百七十を超える国々がそこに行く予定になっている。本当にできるのかという話なんです。
そして、この第二回の調整会議では、専門家からこういう指摘もされております。要するに、この検査というのは各国違う、日本でやっているものと海外でやっているものは違う。だから、ちゃんとその結果を説明できる、そういう体制にする必要がある。そして、その結果は、そのアスリートが大会に参加できるかどうかに直結する極めて重い判断になります。これをそれぞれの小さなホストタウンでどうやって確保していくのかということが、政府の調整会議でも川崎市の健康安全研究所や国立保健医療科学院の健康危機管理研究部長などからるる指摘されているんですね。
総理にお聞きしますけれども、今多くの自治体は、コロナ対応、そしてワクチン対応をこれから、今もそうですが、ただでさえ過重な負担なんです。それに加えて、五輪でこれだけの負担を本当に負わせるのか。これは到底無理じゃないでしょうか、総理。
○ 橋本国務大臣 まず、ホストタウンのお話をさせていただきたいというふうに思います。
ホストタウンでの感染症対策は、選手等を保護し、安全、安心な大会運営の実現を図る観点と、ホストタウン等への、住民への感染防止の双方の観点から講じていただくことが必要であります。このため、選手等の入国からホストタウン、大会への参加等を経て出国まで、移動、宿泊、食事、練習、交流といった場面ごとの感染症対策を行い、トータルでの環境整備を行うこととしております。
政府としては、これから感染症対策に対し必要な財政支援を行うとともに、受入れを実施するホストタウンにおいて感染症防止対策をまとめた受入れマニュアルを作成していただくための手引をお示しいたしました。
それぞれのホストタウンとしっかりと、オンラインで今、そういった状況を情報共有しながら、適切な対応をしていただけるように努めていきたいというふうに考えております。
○ 藤野委員 本当に無理だと思います。
そして、英国で拡大し、各国に広がって、強い感染力を持つといういわゆる変異種、変異ウイルスは、二月三日時点で少なくとも七十五の国と地域に広がっております。
私、大事なのは、やはりアスリートの思いだと思うんです。朝日新聞が一月二十四日に行った五輪の代表選手へのアンケート。五輪出場に当たり心配なことはということに対して、半数以上が、大会により感染症が広がることだとお答えになっております。女子代表の新谷仁美選手は、アスリートとしては賛成だけれども、一国民としては反対という気持ちですとおっしゃっている。私、この言葉に選手としての逡巡と苦悩が表れていると思います。
総理にお聞きします。今度は総理、お願いします。幾ら防疫措置を取っても、やはりもう今や限界がある。大会によって、選手たちが懸念しているように感染が広がってしまう可能性がある。総理、そうならない保証はないんじゃないでしょうか。
○ 橋本国務大臣 アスリートファーストという観点からいたしましても、選手が安心、安全の大会でなければ歓迎されるというふうには思いませんので、防疫措置を始め、出入国、ホストタウン、選手村、大会、全てをトータルでしっかりと管理をした上で、万全の体制で大会を準備していきたいというふうに考えております。
○ 藤野委員 まだ決まっていないんですね。アスリートの方々に十四日間の待機措置を緩和する措置を、政府は昨年、一旦は取りました。しかし、変異株の拡大に伴って、これをやはり強化したんですね。やはり締めている。これ、どうするんですかとお聞きしたら、分からないとおっしゃる。
総理、昨年一回目の延期を行ったときも、判断が三月下旬にずれ込みました。このことによってコロナ対応も遅れてしまった。これは痛切な教訓だと思います。これを繰り返すわけにはいかない。
先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、世界でやっている大会、いろいろなスポーツ大会を見てみますと、例えばテニスの全豪オープン、これは主催者が用意したチャーター機でメルボルン入りした選手から感染者が出た。入国後に陽性が発覚した人と同じ便に乗っていた錦織選手を始めとする七十人以上、ホテルに缶詰になったんですね。完全に外出禁止です。
五輪というのは、二百を超す国と地域から約一万人以上、選手や選手団だけでも集まるわけです。四十を超える会場で競技が行われる。テニスのような単体の大会とは、感染リスクもレベルも全く違います。
そういう意味でも、私たち日本共産党は、こうした問題を考慮するなら、今年夏の五輪開催は中止をして、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中すべきだ、こういうふうに考えております。
総理にお聞きします。最終的に決定権があるのはIOCです。それはそうです。しかし、開催国の政府がどう考えるか、これは大変重いと思います。開催国の政府として、五輪開催ありきではなくて、ここで立ち止まって、ゼロベースで開催の是非を再検討して、東京都や組織委員会やIOCなどと協議を開始されるべきじゃないでしょうか、総理。
○ 菅内閣総理大臣 まずは、新型コロナウイルスの克服に全力を尽くします。
また、IOCバッハ会長とは、昨年から東京五輪を必ず実現することで一致しており、先日、バッハ会長は、各国の団体に確認した上で、東京五輪の七月の開催に完全に集中し、コミットする旨を表明をしております。
安心、安全な大会を実現するためには感染対策が極めて重要であり、具体的な内容を検討していきたいと思いますし、引き続き、東京都、大会組織委員会、IOCと緊密に連携をしながら準備をしっかり進めていきたい、こう思います。
○ 藤野委員 私は、もう今や決断すべきだというふうに思います。やはり、ここで立ち止まって、再協議に進んでいく。これはやはり、文字どおり、人類がコロナに打ちかてるかどうかという戦いの帰趨にも関わる大問題だというふうに思います。コロナが五輪発で世界に広がるという最悪の展開になった場合、それが及ぼす健康被害、経済被害、これは計り知れません。人類の健康、平和の増進のために行われるはずのオリンピックの意義や信頼を大きく根底から傷つけることになります。このことを強く主張したいと思います。
最後に、保育の問題についてお聞きします。
この間、私、保育関係者から様々な声を伺ってまいりました。
保育というのは、学校が休校になったときも開いていて、お子さんたちを預かっていた。本当に、保育というと、何か子供と遊んでいる、そういうイメージがあるんですが、そんなことないんですね。医師や弁護士などと並んで国家資格であります。子供たちが一番感受性の強いときに、一人一人の発達に合わせて適切な保育を行う。時には家庭の事情も相談に乗り、発達の障害がある、抱えている子供にも適切な保育を提供していく。つまり、専門家なんです、子育ての。
ところが、元々待遇も厳しかったですけれども、このコロナ禍で更に負担が増えております。
このパネルを御覧いただきたいんですが、子供たちが使っているおもちゃ、触ったりなめたりするんですね、これを子供たちが寝ている間に保育士の皆さんが消毒している。神奈川の保問協というところの調査によりますと、この消毒作業だけで一時間、二時間かかっているところというのは半数を超えるというんですね。二時間以上というところは三割に達している。
おもちゃだけじゃないんです。もちろん床や机も拭かなきゃいけない。消毒だけじゃなくて、今までなら、保護者の方が園の中まで入ってきて、その日の必要なものを渡したりいろいろしていたんですけれども、それも全部保育園の負担になってしまっている。つまり、このコロナ禍で一層負担が増えているというのが保育の現状であります。
総理、この現状をどのようにお感じになるでしょうか。
○ 田村国務大臣 本当に、保育士の皆様方、日々、現場で大変な思いをしていただきながら子供を守っていただいておるというふうに感謝申し上げたいと思います。
養護と教育ということをしっかり、子供たちに対して対応していただきながら、保育指針にのっとって、それぞれ、子供たちのいろいろな発達段階で対応いただいておる。
そこにコロナという形であります。我々も数度にわたって、平成二十五年からですけれども、一四%ほど、いろいろな形で処遇改善、さらに、二十九年には最大四万円というような対応もさせていただきながら処遇改善をやってまいりました。しかし、コロナでございますと、今言われたような問題があります。
そこで、それぞれ数度にわたってでありますけれども、感染の拡大防止のための補助というようなものをそれぞれの保育園の方に対応させていただきながら、そういうものに対してのかかり増し経費、こういうことで対応をさせていただいております。
○ 藤野委員 確かに、五十万円、二回交付いただいているんですね。しかし、これは本当にもう一気になくなってしまう、消毒とか。負担増は並大抵じゃないんですね。
実際の声を御紹介したいと思うんです。
福井県のある保育士は、保育園と児童クラブと両方勤務しているので、接触している子供たちの数が百人を超えている、不安を抱えたまま仕事をしていることが精神的につらい、こういう声でした。長野県の保育園長はこうおっしゃっています。国、長野市から度重なる感染予防の通知、自粛要請の通知がひっきりなしに来ています。目に見えないウイルス対策、慣れない感染予防に手探りで毎日過ごしてきました。皆、疲れ果てています。埼玉の二十代の保育士は、コロナのため、行事一つするのにも相談に相談を重ねる、その結果残業が多くなり、しかも未払いも多い、心身共に疲れていると。大阪の保育士は、どれだけ仕事量が増え体力的に疲労を感じていても、それに見合った休暇や自分のために使えるお金はほとんどありません、心が満たされないまま、気づけば翌日を迎えている、こういう声でありました。
総理にお聞きします。保育というのは、まさに医療機関の方も看護師の方のお子さんも引き取って預かっていらっしゃるんですね。つまり、まさに今の日本を支えていると言っても過言ではない。こういう方々が今このコロナ禍で大変な状況に置かれております。総理、抜本的な待遇改善、これを行うべきだと思うんです。
今、野党は、看護師や介護士、福祉、保育の職場で働くケアワーカーたちに給付金を出す法案を共同で提案しております。これは与野党を超えて、総理、実現すべきじゃないでしょうか。
○ 菅内閣総理大臣 保育現場の皆さんには、このコロナ禍の中にあって、保育を必要とする子供たちのために献身的に御努力いただいています。深く感謝申し上げたいと思います。
政府としては、これまで、保育所を含めて、児童福祉施設等に対し、コロナ対応に必要な経費として約一千億円の必要な支援を行っており、この中で、職員に対する感染症対策についての手当の支給、職員の感染防止に必要な物品の購入などについて補助をいたしております。
引き続き、御苦労されている保育の現場というものをしっかり支援をしていきたい、このように思います。
○ 藤野委員 もう終わりますが、コロナ禍でケア労働という言葉が広がりました。その価値が十分に認識されてきませんでしたけれども、このコロナの経験を通じて、私たちはそのケアなしに生きていけないことが明らかになった。そのケア労働者の抜本的な待遇改善を強く求めて、質問を終わります。
会議録PDF
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質疑資料PDF
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作成者 : fujinoyasufumi