法務委員会 黒川検事長賭け麻雀問題を追及
法務委で質疑。
森大臣が安倍総理に対して「進退伺い」を出したと答弁。驚きました。
しかし安倍総理に「強く慰留」されたので続けるという答弁。
思い返せば、安倍総理が強行した黒川氏の定年延長の閣議決定が全ての始まり。
ある意味でそれに振り回されてきた森大臣は「もう辞めたい」と。ところが原因をつくった総理が「辞めるな」と。
何という構図か。ブラックジョークです。
法務大臣が辞めなければならない理由は、法改正を経ることなく内閣の解釈で、現行法ではできない定年延長をやったこと(立法権の侵害)、準司法官の退官人事に関与する仕組みをつくり独立性を脅かしたこと(司法権の侵害)。
これが「進退伺い」の理由なら分かりますが「検察の信頼回復」?それは別の大臣でこそ可能です。
今日は、黒川氏の賭け麻雀問題で「常習性」があるかどうかなどについて、まともな調査をしていないことが判明しました。
野党は、調査結果や処分の根拠をさらに明らかにした上で、来週火曜日に再度この問題で質疑を行うことを要求。
2時間近い交渉の末、やることにやりました!引き続き追及します!!
- 会議録 -
○ 松島委員長 次に、藤野保史さん。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
まず、黒川氏のかけマージャンについて、本日の審議を通じて、常習性の有無というまさに中心問題について、当然やるべき調査をやっていないということが明らかになりました。そういう意味では、これは委員長にお諮りしたいんですが、当然やるべき調査、例えば、記者の方への聴取とか、あるいは黒川氏とどういう調査をしたのかも含めてですが、必要な当たり前の調査をやった上で、来週にでも法務委員会をもう一度開いて審議すべきだというふうに思います。
委員長、お願いします。
○ 松島委員長 後刻、理事会の中で、質問項目を出した上できちっと理事会で協議いたしますので。後刻、理事会で協議して、今後の日程も含めてまた協議いたします。
○ 藤野委員 その上で、大臣にお聞きしますが、大臣は進退伺を総理に出された、そして、総理は強く慰留されたと答弁されました。二点お聞きしたいんですが、なぜ自分は大臣にあたわずと考えられたのか、この一点と、もう一つ、総理は何と言って慰留したのか。つまり、なぜ森大臣でなければならないと総理はおっしゃったのか。二点お答えください。
○ 森国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、黒川検事長の今般のかけマージャン等の行為につきましては、まことに不適切でございまして、甚だ遺憾でございます。検察行政の信頼を損ねたということについて、法務大臣としての責任を感じております。
総理からの言葉について今お尋ねがございましたが、これも先ほどお答えしたとおりでございますが、速やかに後任を選任すること、そして、検察の信頼を回復することについて業務に当たってほしいというふうに言われました。
○ 藤野委員 だから、検察の信頼回復ということがなぜ森大臣でなければならないのか。
総理はなぜ、そこを森大臣にやらせようと言ったんですか。
○ 森国務大臣 総理の心の中のことでございますので、私からはお答えしかねます。
○ 藤野委員 これほどこの国会を揺るがしている問題で、恐らく、進退伺を出されたのも、大臣自身、重大な御決意だったと思うんですね。その重みと、そしてそれに対する総理の慰留、極めて重いし、どういう理由で森大臣が大臣を続けるのか、総理がそういう判断をしたのか、これは国民に示さないといけないんですよ、これほどの問題になっているわけですから。
そして、黒川氏というお話がありましたが、私は、そこで進退伺という話はちょっとピントがずれていると思うんですね。最大の問題は、今ここで憲法が踏みにじられているということだと思うんです。事実上、立法権が侵害され、そして、司法権もその独立が脅かされているというのが最大の問題なんです。
まず、立法権について言いますと、現行の検察庁法は、検事総長は六十五歳、その他の検察官は六十三歳になれば退官すると定めているんですね。キャリアの最後の出口のところで年齢以外の要素は一切考慮しない、これが現行法です。年齢以外の要素を考慮すると、そこに恣意的介入の余地が生まれるからであります。
検察官は、唯一の公訴提起機関で、準司法官と言われている。時には、総理大臣経験者をも逮捕してきた。巨悪を眠らさないという重い使命を持っているからこそ、どんな巨悪にも屈しない厳格な政治的中立性が求められる。だから、検察官の人事は、他の一般職公務員とは違って、入り口の任命だけに限定して、そして、活動中や出口の退任、退官のところでは一切介入の余地を設けていないわけです。つまり、現行法は検察官の定年延長を認めていないし、戦後一貫してそういう運用が行われてきました。したがって、黒川氏の定年をもし延長するのであれば、検察庁法を改正するしかなかったんですね。しかし、安倍政権はそれをやらなかった。
先日、検事総長OBなど検察幹部経験者の皆さんが意見書を出されました。この中でも冒頭で、冒頭でこう指摘されております。
検察官の定年を延長するのであれば検察庁法を改正するしかない。しかるに内閣は、同法改正の手続を経ずに閣議決定のみで黒川氏の定年延長を決定した。この閣議決定による黒川氏の定年延長は検察庁法に基づかないものであり、黒川氏の留任に法的根拠はない。
そして、検察OBだけでなく、日弁連会長以下、全国五十二全ての弁護士会の会長声明も、多くはこの点を指摘しております。
大臣、お聞きしますが、現行憲法上、国会は唯一の立法機関とされております。法律の改正というのは、全国民の代表である国会だけの権限なんです。その国会での法改正の手続を経ずに、内閣の勝手な解釈で法律の解釈、運用をねじ曲げた、これは立法権の侵害であり、これをそのままにしていたら、日本は法治国家でなくなります。法の支配ではなく、人の支配になる。今回の法案、その大もとに閣議決定、これがあるわけです。大臣がもし責任を感じていると言うのであれば、立法権の侵害を行っているこの閣議決定、これの撤回を総理に働きかけるべきじゃないですか。
○ 森国務大臣 解釈変更については適正に行われたものと考えております。有権解釈として、第一義的に、所管省庁である法務省において解釈の変更を行ったものでございます。
法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮するなどして論理的に確定されるべきものであり、検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えております。
○ 藤野委員 現行憲法では、内閣は国会で定められた法律に従って行政権を行使する、六十五条でこう書かれているわけですね。六十五条で定められております。法律に基づいた行政というのが内閣の仕事なんです。解釈もその範囲内です。ところが、安倍政権は、国会による法改正も行わず、単なる閣議で、正反対の法解釈、つまり現行法でも検察官の定年延長は可能だ、こういうことを行った。これは、まさに立法権の侵害であり、三権分立に反する違憲行為なんですよ。
大臣の認識を聞きたいんですが、これをこのままにしていたら、日本は法治国家ではなくなってしまいます。法の支配でなく、人の支配になる、こういう認識は大臣にはないんでしょうか。
○ 森国務大臣 法治国家のもと、有権解釈として、第一義的に、所管省庁である法務省が検察法上の解釈を検討したところ、まず、検察庁法の上に勤務延長の規定はございません。また、その勤務延長制度が導入された当時の、検察官に適用されないと直接的に答弁した例は見当たりません。その上で、勤務延長制度の趣旨、また、検察庁法で定められる検察官の定年による退職の特例が定年年齢と退職時期の二点であり、定年により退職するという規範そのものは、検察官であっても一般法たる国家公務員法によっているというべきであること等を検討した結果、勤務延長について解釈変更をし、国家公務員法の規定が適用されると解釈したものでございます。
○ 藤野委員 全く、法律に書いていないから何とでも解釈できるんだと言わんばかりの今の答弁です。
先ほどの検察官OBの意見書は、こうも言っているんですね。
本来国会の権限である法律改正の手続を経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈、運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王政を確立し君臨したルイ十四世の言葉として伝えられる、朕は国家であるとの中世の亡霊のような言葉をほうふつとさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である権力分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。
私、そのとおりだと思うんですね。
もう一点お聞きします。司法権の侵害です。
戦前、司法権は天皇に属していました。戦後の日本国憲法は、司法権は裁判所にあるというふうに定めました。これは、国民主権、三権分立の観点であります。そして同時に、いかに重大な犯罪であっても、検察官が起訴しなければその司法権は発動されない、こういう制度にしているんです。だから、検察官の準司法官としての職責は、刑事司法において極めて重要な根幹をなす、そういう位置づけなんです。
その検察官が、定年時の、出口の人事を政府に握られたらどうなるか。そのことによって検察官の独立が害され、ひいては、司法権の独立、三権分立を侵害する。ここでも憲法を踏みにじっているわけです。
一月三十一日の閣議決定というのは、その危険性を残しております。法案を廃案にするというような報道もありますけれども、今の状態は、法案でも、閣議決定でも、この立法権の侵害と司法権の侵害、両方残っているんです。
巨悪を眠らせないという立場で頑張ってきた検察官、キャリアの最後で、この人はもう定年延長させないとか、この人はもう平検事に降格させるとか、そういうことが可能になるんですね。それを見た若い検察官、どうなるか。検察全体が萎縮していく。逆に、巨悪は安心して眠るようになるわけです。
大臣、お聞きしますが、この閣議決定、そして法案、定年の特例部分、これを撤回しなければ、そういう政権の意のままに動く組織に検察がなってしまう、こういう懸念は残り続けるんですね。ですから、この閣議決定、そして法案の特例部分、これは撤回すべきではありませんか。
○ 森国務大臣 そもそも、検察官については、その人事権者は内閣又は法務大臣でございます。これは、検察官は行政組織の一部であり、検察官の準司法官的性格、検察官の独立性を保持しつつも、国民主権の見地から、公務員である検察官に民主的な統制を及ぼすためのものでございます。
改正検察庁法の勤務延長及び役おり特例の制度についてお尋ねがございましたが、そもそも、任命権者である内閣等の判断により、改正法及び内閣で定める事由等の準則に基づき、公務の運営に著しい支障が生じると認められる場合に、引き続きその職務を遂行することを認めることであって、検察官は意に反してやめさせることはできないという強い身分保障を守りながら、身分上の不利益処分を行うことではございませんので、本来的に検察権行使に圧力を加えるものではなく、検察官の独立性を害さず、三権分立にも反しないというふうに考えます。
その上で、若い検察官というお話がございましたが、検察官は、権限の行使に際し、いかなる誘引や圧力にも左右されないよう、どのようなときにも厳正公平、不偏不党を旨とし、法と証拠に基づいて適切な事件処理に努めるものと承知しております。
○ 藤野委員 本当に、人事権者とおっしゃいましたが、現行法は、それを任命という入り口だけに限っているんです。ほかの一般職公務員は、入り口でも出口でも内閣が関与しますけれども、検察は、大臣おっしゃった準司法官という特別の重い責任を負っているから、政治的中立性を確保するために入り口だけに限って、出口では年齢以外の一切の要素を考慮していないんです。今回、それに特例を設けようというんです。ですから、政治的中立性が害される余地が生まれるということなんです。
先ほど、民主的統制とおっしゃいました。まさに巨悪と向き合い続けてきた検察OBの意見書は、こう書いております。
検事総長を例にとると、一年以内のサイクルで定年延長の要否を判断し、最長三年までの延長を可能とするもので、現在、通例二年程度の任期が五年程度になり得る大幅な制度変更と言えます。これは、民主的統制と検察の独立性、政治的中立性の確保のバランスを大きく変動させかねないものであり、検察権行使に政治的影響が及ぶことが強く懸念されます。
こう言っているんですね。
結局、今回の閣議決定、そして法案の特例部分というのは、立法権を侵害し、司法権を侵害する、まさに違憲、違法状態をつくり出しております。
この最大の責任は安倍総理にありますけれども、法の支配をつかさどるべき法務大臣がこのことを全く理解していない。全く法務大臣の役割を果たしているとは思いません。
○ 松島委員長 質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。
○ 藤野委員 私も辞任を強く求めて、質問を終わります。
会議録PDF
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作成者 : fujinoyasufumi