法務委員会で長崎県大村入管収容所での「飢餓死」事件について質問
- 会議録 -
○ 松島委員長 次に、藤野保史さん。
○ 藤野委員 日本共産党の藤野保史です。
私からも、まず冒頭、香港の弾圧、デモに対する言語道断の野蛮な暴挙につきまして強く抗議をするとともに、即刻中止を求めたいと思います。
私ども、先ほど山尾委員も御紹介いただきましたけれども、党として対応しておりまして、十月十六日には、孔鉉佑中国大使に正式に委員長から抗議と中止を求めましたし、実弾発砲事件が起きました直後には、十四日に、今度は中国政府に対して弾圧の即時中止を求める声明も送付をしております。
といいますのも、やはりこの一連の弾圧というのが中国政府の承認と指導のもとに行われているというのは、これはもうさまざまな経過から明らかでありますので、やはり、おのおのの立場になるんですが、政府として、あるいは法務大臣として、あるいは各政党としても、これはもう絶対許されないんだということを、しっかりと言うべきことは言うという立場でお願いしたいというふうに思っております。
その上でありますけれども、きょうは、ことしの六月二十四日に起きました長崎県の大村市入国者収容所、いわゆる大村入管センターで四十代のナイジェリア人の男性がハンストの後、飢餓死に至ったという事件についてお伺いしたい、質問したいと思います。
謹んで哀悼の意を表させていただきたいと思います。
法務省にお聞きしますが、今回のハンスト飢餓死、どのような概要だったんでしょうか。
○ 高嶋政府参考人 御質問の大村入国管理センターでの死亡の事案でございますが、御指摘のとおり、六月二十四日、ナイジェリア国籍の男性、死亡当時四十歳でありましたが、死亡しました。死因は、司法解剖を実施しておりますが、その結果、飢餓死という結論でございます。
事実経過等について申し上げますと、本年五月三十日の段階で、看守職員が本人との面接によりまして、拒食をしているんだということを把握いたしました。翌日、五月三十一日に本人を所内の診察室及び外部病院で受診させるとともに、動静確認のため単独室に移室いたしました。同日から六月四日までの間、外部の病院において点滴を実施しております。しかしながら、六月五日以降は、食事をとることも、薬を飲むことも、また点滴を受けることも、いずれも拒否しまして、また、医師や看守職員からその後も連日そういう点滴治療等を勧められていたにもかかわらず、本人は水を摂取するのみで、それ以外、食事をとること等、全て拒否しておりましたことから、医師による点滴を実施することもできない状況でございました。
六月二十四日、午前中は意識があり、呼びかけにも応じていたものでありますが、午後一時十二分、本人に反応がなかったことから救急搬送をしたのでありますが、午後二時十一分、搬送先の病院で死亡が確認された、こういう事案でございます。
○ 藤野委員 自殺の場合は、確かに、いつどこでそういう事態に至るのかというのは、入管はこれはなかなか判断できない、把握できないこともあると思うんです。
しかし、ハンストの場合、その先に、ハンストの末に飢餓死に至るような場合というのは、今回の報告書も出ていますけれども、入管の管理下に事実上あるわけですね。入管が結果を左右できた可能性が極めて大きい。これはやはり自殺と決定的な違いだと思います。ですから、この際の職務上の義務等を入管が果たしたのかということも、格段に違うレベルで問われてくると思います。
私、十月十日に長崎県に行きまして、入管センターを見させていただいて、地元で長年にわたってこの被収容者の方の支援に取り組んでこられた方々からもお話を聞いてまいりました。
その際、今回亡くなった四十代のナイジェリア人男性の知人という方の声も聞いたわけですけれども、この方自身がもう四年にわたって長期収容で、声も震えて時々途切れるというような大変深刻な事態であります。
法務省に確認したいんですが、今回のこの事件の後もハンストは続いていると思うんですが、全国でどれぐらいいらっしゃって、大村入管では何人でしょう。
○ 高嶋政府参考人 お答えいたします。
ことし九月二十五日時点の数字でありますが、全国の入管収容施設におけるハンスト実施中の者は三十六人でありました。そのうち、大村入国管理センターにおけるハンスト実施者の人数は十四人でありました。
○ 藤野委員 三十六人全国でいらっしゃるうち、十四人が大村に集中している。
昨日、院内集会が行われまして、先ほど松田委員も触れられましたけれども、私も参加をさせていただきました。その中で、その大村で支援されている方の報告では、今十四人というお話がありましたけれども、十人以上がハンストをされていて、うち五人はもう死を覚悟しているという意思表示をされているという報告もあったんですね。
ですから、今回の事件だけではなく、第二、第三のハンスト飢餓死が起こりかねないというのが今の切迫した状況だと思います。これは絶対に避けなきゃいけないと思うんです。そのためには、やはり、なぜ今回こうした事件が起きてしまったのか、これは本当に徹底した検証が必要だと思います。
ハンストをした場合の対応については、法務省の通達が定められていると思います。配付資料の一でも配付をさせていただいておりますが、これは、二〇〇一年、平成十三年の十一月二日付で、「拒食中の被収容者への対応について」という通達であります。
法務省に確認したいんですが、この通達で、強制的治療を受けさせることになっている場合というのが幾つか挙げられていると思うんですが、どういう場合でしょうか。
○ 高嶋政府参考人 お答えします。
お尋ねの平成十三年の通達では、拒食のケースを念頭に置いて強制的治療を行う場合を規定しておりますが、そのガイドライン、要件としては、拒食開始から二十一日を経過した場合又は体重減少が一〇%を超えた場合のいずれかであること、また、医師が強制的治療を必要と判断していること、最終的には入国者収容所長又は地方入国在留管理局長の指示があること、この要件のもとで強制的治療を実施するということになっております。
もっとも……(藤野委員「とりあえずそこまででいいです、とりあえず」と呼ぶ)
以上です。
○ 藤野委員 あとについてはまた聞きますので。
確認したいのは、拒食を開始してから二十一日が経過していること、あるいは体重減少が一〇%を超えた場合というのが一つのメルクマールで、そして、医師が必要と認めた場合に速やかに強制的治療を行うというのが通達で定められております。配付資料の一に黄色く塗らせていただいた部分がそれに当たるということでありまして、加えまして、治療を行うかどうかの最終的な決定は所長等の指示によるものというのが今も御答弁がありました。
法務省にお聞きしますが、今回の事案では、この拒食開始から何日たっていた、拒食開始から体重が何%減っていた、それぞれどのようになっていたんでしょうか。
○ 高嶋政府参考人 お答えします。
死亡したナイジェリア人男性は、当庁が拒食を把握した五月三十日から起算しまして、亡くなった六月二十四日までにもう既に二十五日が経過しておりました。
また、体重でありますが、五月三十日段階から、最後に体重を測定したのが六月十七日ですが、その六月十七日の段階で約一六%減少しておりました。
○ 藤野委員 つまり、今回の場合はいずれも要件に当てはまっていた、二十五日たっていたということや一六%減少していたということでですね。これは、つまり、強制的治療を必要とするほどに命の危険が差し迫っていたということであります。
配付資料の二は、法務省が十月一日に発表したこの件に関する調査報告書でありまして、ここにも、例えば、三ページには、このままでは生命に危険が及ぶ旨を再三にわたり警告したとか、六ページには、司法解剖を実施した医師の見解というのもありまして、亡くなる数日前に入院させることができれば死亡という結果にはならなかったであろうと。つまり、逆に言うと、それぐらい差し迫っていたということであります。
法務省にお聞きしますが、六月十七日、この時点で既に体重減少一六%というお話がありましたが、この六月十七日から男性が亡くなる六月二十四日までの一週間、医師による診察や外部医療機関による診察というのは行われたんでしょうか。
○ 高嶋政府参考人 お答えいたします。
六月十七日が医師による最終診断でありました。それは御指摘のとおりです。その後も説得はずっと続けておりましたが、結局、それに応じず、診療はしておりません。
○ 藤野委員 結局、危機的状況にあるという、ある意味、要件を満たしていたにもかかわらず、医師等による診察や外部医療機関の診察も行われなかった。
調査報告書を読みますと大変驚く記述がありまして、非常勤医師がこの方の診療に当たったんですが、この非常勤医師にはこの二〇〇一年の通達のことが伝えられていなかったというんですね。通達はあるけれども、この医師には伝えていなかった。これ自身、私は許しがたいとは思うんですが、しかし、きょう問題にしたいのは、医師がこの通達の存在を知らなかったとすれば、逆に、この通達の存在を知っている大村入管の所長を始め入管の幹部の責任といいますか、極めて厳しく問われなければならないのではないか。
といいますのは、配付資料の二の四ページを見ていただきますと、こういう記述があるんです。
この日、この日というのは六月十七日なんですけれども、六月十七日の診療状況については、立ち会った看守職員が報告書を作成し、翌日ごろには所長以下の大村センター幹部にも供覧された、こうあるんです。それで、その後は、書いているように、体重が十キロ減ったとか、一七%減ったとか、いろいろ書いた後、今後、強制的治療の要否を検討することも必要となるため、今後の本人の動静等を特に注視することとしたい旨の記載があったとあるんです。
この報告書というのは、この今お配りした報告書とは別に看守職員の方が作成した報告書で、それが所長を始め幹部に上がっている。その中で、この二〇〇一年通達にある強制的治療の要否についても記載をしていたとあるわけですね。そして、それを所長は読んでいた。
法務省に聞くんですが、大村の入管所長などの幹部は、少なくとも、六月十七日の翌日ごろとありますから、十八日以降は、このナイジェリア人男性に強制的治療を必要とするほど差し迫った命の危険があるということを認識していた、これは間違いありませんね。
○ 高嶋政府参考人 この亡くなったナイジェリア人の容体がどういう状況であるかということについては、常に幹部職員も把握しておりました。体重減少、それから日数も相当たっているということは十分承知していたものでございます。
したがって、この強制治療の検討というのが課題になっていたことも十分承知していたものでございます。
○ 藤野委員 いや、十分承知をしていたにもかかわらず、先ほど言ったように、六月十七日以降は一週間にわたって医師の診察も受けさせないという状況だったわけですね。
先ほど言いましたように、二〇〇一年の通達というのは、治療をするかどうか、最終的にするかどうかは、これは入管所長の判断なんです。
といいますのは、医師が必要だと言っても、それを拒否する場合もある、この通達はそのまま書いているんですが、要するに、治療を医師が必要と判断した場合でも、拒食者が、ハンストをしている人が治療行為を拒否するときもある、だから、その場合は所長が判断するんだというふうに通達自身にも書いてある。
今回、なぜ所長の判断で医師への診察を行わせなかったか。法務省、なぜですか。
○ 高嶋政府参考人 実は、報告書にも記載させていただいておりますが、六月十七日に診察を行った段階で、医師も点滴をする必要性については認識していたものでありますが、本人がそれを拒否している以上、本人の意識が、要するに拒否できないような状況にならない限りはやらないということを明言していたため、医師の判断がそういうことでありましたから、所長としてもそれ以上やれない。これは治療行為でありますので、医師の行為がなくてはやれないものであります。所長が判断しても、先ほど申し上げましたとおり、医師が強制的治療を必要と判断する、しかも、やりますということでなければできない、こういう仕組みになっておりました。
もともと、この十三年の通達でございますが、これは、強制治療を念頭に置いたものであるのは御指摘のとおりですけれども、入国者収容所を対象としたものであります。当時、入国者収容所には……(藤野委員「細かい。これはもう関係ありません」と呼ぶ)
○ 松島委員長 簡潔にお願いします。当該質問に関する部分だけ。
○ 高嶋政府参考人 はい。
入国者収容所に常勤医師が配置されておりまして、その強制的治療の実施体制が備わっていた時代の通達でありますが、ここには常勤医師がいなかった、こういう体制の中で、その医師の、しかも非常勤の医師しかいない中で、これができなかったということでございます。
○ 藤野委員 今、医師が、医師がとおっしゃるんですが、私が聞いたのは、これは最終判断は入管所長なんです。今回は、そもそも、報告書の四ページにありますけれども、入管所長の方が医師にこの通達のことを言っていない事案なんですよ。医師が判断できるはずがないじゃないですか。だから、この事案こそ、まさに入管所長の責任が問われるんですよ。
だから、所長はなぜ医師に見せなかったのか、ここだけ答えてください。
○ 松島委員長 高嶋さん、この点について答えてください。
○ 高嶋政府参考人 大村入国管理センターでは、この死亡事案より前に発生した別の拒食事案に関しても、この診療室の非常勤医師に対しまして、治療を拒否する当該拒食者についての治療の実施の可否を相談しておりましたが、断られていたという事情があります。
医師としては、もう本人の意思が、意識がという意味の、意識の方の意思ですが、本人の意思が拒否できなくなる段階……(藤野委員「医師の認識は聞いていません、医師の認識は。所長の認識を聞いているんです」と呼ぶ)ええ。しかしながら、これは治療行為でありますので、医師がやりますと言ってくれない以上は、入国者収容所長が……(藤野委員「通達を知らされていない医師がそんな判断をできるはずないでしょう」と呼ぶ)実施する医師がやりますと言ってくれない以上はできない、指示はできないものでございます。
はっきりとそれを拒否する意思表示があったものですから、非常勤医師に通達を伝えて、治療を求める対応もとらなかったというふうに承知しております。
○ 藤野委員 いや、私が聞いているのは違うんですよ。非常勤医師がこの通達を知らされていない事案なんです、これは。
一方、看守職員から、皆さんは、四ページにあるように、看守職員が作成した報告書によって、もう一回読みますよ、この看守職員が作成した報告書は、今後、強制的治療の要否を検討することも必要となる、だから、動静を特に注視することとしたいと記載があったと書いてある。皆様方の報告にも書いてあるんです。
ですから、医師はそれは判断できないでしょう、そもそも、この強制的治療に至るルートそのものを知らないんだから。けれども、先ほど、該当している要件も皆さん方は認識しているし、その場合、所長が、最終的には、医師が必要だと認めていて、ハンストしている人が拒否していても、入管所長の判断でできる、やらないといけない場合がある、そういう仕組みなんですよ。
それなのに、入管所長は、そうした看守職員からの報告書を読んで認識していたにもかかわらず、一週間以上にわたって医師の診察さえ受けさせなかった。これはなぜなんですかということを聞いているんです。
○ 高嶋政府参考人 まず、前提となる事実としまして、この当該センターの医師は、強制的な治療をしないという方針を決めておりました。
説得すべきではなかったか、こういう趣旨の御質問かと思いますけれども、過去に一度、やはり同じように、依頼をしたけれども拒否されていたということでございます。
通達を医師に示した上で治療を実施できたかということを、この事案発生後にもお聞きしましたが、自分は治療は実施できなかったというふうに回答をされているところでございます。
○ 藤野委員 これも全くお答えにならないわけですね。
大臣にお聞きしたいんですが、いわゆる入管所長らは、強制的治療が必要な危険な段階にあることを知りながら、六月十七日以後、一週間にわたって医師にも見せない。その結果として飢餓死に至ったわけであります。この責任をどのようにお考えになりますか、大臣。
○ 森国務大臣 収容所内で被収容者が亡くなったことは大変重く受けとめております。
今回の事案について、報告書の記載のとおりの事情があったことでございますけれども、法務省として、このような死亡事案の再犯防止に最善を尽くす必要があることは言うまでもありませんので、そのためにもしっかりとした調査をすることが必要だと思います。
この件に関して、外部の有識者により構成される入国者収容所等視察委員会が設置されており、その視察委員会が調査に行ったということを伺っておりまして、まだその調査の報告は私の方には上がっておりませんけれども、しっかりとそのような報告も伺った上で、今後の体制の整備について検討してまいりたいと思います。
○ 藤野委員 調査が必要ということなんですけれども、私どもが、先ほど言いました看守職員が作成した報告書、この報告書のもとになっているもの、これを出してくれと言っても、出そうとしないわけです。あるいは、二ページには、監視カメラで動静を監視したというんですけれども、これも提出しないわけですね。
これはやはり再三にわたって我々が求めてもそういうものを出さないで、これだけ読んでくれと。これは、結論は何と書いてあるかといいますと、我々がやったことは不相当ではなかったという結論なんですね。
これはちょっと確認したいんですけれども、この報告書の作成に当たって調査を行ったのは法務省のどこの部署なのか。責任者は誰で、何部の何課を中心に行われたのか、お答えください。
○ 高嶋政府参考人 出入国在留管理庁内におきましては、六月二十四日、この死亡事案が発生した六月二十四日当日、本庁内に出入国管理部長を責任者とする調査チームを立ち上げました。担当部署の課長、警備課長でありますが、このほか、検察官出身の本庁職員等、総勢十数名の体制で調査に当たったものでございます。
○ 藤野委員 つまり、法務省出入国管理部長が責任者で、警備課という、まさに今回、当事者に当たるようなところの課長も参加して行われたのが今回の調査と。まさにハンスト飢餓死を引き起こした当事者が当事者を調べて、今回の報告書がつくられ、問題なかったという結論に出ているわけですね。
法務省にお聞きしますが、二〇〇七年以降、収容施設での死亡事件というのは何件あったんでしょうか。
○ 高嶋政府参考人 二〇〇七年、すなわち平成十九年以降の数字でございますが、入管収容施設における被収容者の死亡事案の発生件数は、全部で十五件でございます。
○ 藤野委員 重ねて伺いますが、この十五件の死亡事件で、法務省以外の第三者による調査が行われたことというのはあるんでしょうか。
○ 高嶋政府参考人 それぞれの死亡事案の内容を確認できる平成十九年以降の死亡事案につきまして申し上げますと、第三者による検証が行われた例は承知しておりません。
もっとも、入管収容施設の運営に関しましては、第三者から御意見をいただく枠組みとしまして、先ほど大臣からも説明のありました、外部の有識者により構成される入国者収容所等視察委員会というのが設置されておりまして、これら被収容者の死亡事案については同委員会に報告することとしております。これに対して、御意見、御指摘をいただいた場合も実際にございました。
○ 藤野委員 今まで、いわゆる自殺や病死がありまして、それについては本格的な第三者による調査というのは行われていないんですね。先ほど大臣などがおっしゃられた視察委員会というのは、あくまで事務方を法務省が担っていますし、予算も法務省からのものということで、独立性については極めて厳しい指摘がされているところなんですね。
少年院とか刑務所とかには、そういう視察委員会というのは施設ごとにあるんです、施設ごとに。それで、何か起きたらすぐ対応していくんですが、入管収容の場合は、東日本に一つ、西日本に一つ、それで全国十七の施設を、まあ、たまたま何か見ているというレベルの、物すごく頑張っていらっしゃるんですけれども、そういう体制ですから、どうしたって、刑務施設レベルあるいは少年院レベルの、施設ごとのというようなきめ細かい調査はできません。
先ほども言いましたけれども、やはり自殺事案が続いてきて、それに第三者の本格的な調査が入らなかった、死亡事件もそうですが。その結果、今回、まさにハンストの末に亡くなる、飢餓死するという、ちょっとこれは想像を絶する事態だと思うんです。
自殺の場合は、やはりいつどこで起きるかも入管がつかめない可能性だってありますし、そういう場合もあると思うんです。しかし、ハンストでもう息も絶え絶えになって亡くなるといった場合には、入管の責任というのは極めて重いわけですから。今回の事案というのは、私は全く次元が違うと思うんですね。
これまで十五件、残念ながら起きてしまった事故の際、本格的な第三者の調査がなかったことが、根本的な原因とか、あるいは今後の改善策について実効あるものが出なかった理由じゃないかと弁護士会等も指摘をしております。
ですから、大臣、今回の事案は本当に異質だと思います。異質、かつ、入管の責任は本当に重いと思います。ですから、今回こそ、本格的な第三者による調査が必要だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○ 森国務大臣 先ほども私は申し上げましたけれども、本当に今回の死亡事案を重く受けとめておりまして、先ほどの視察委員会が視察に行ったということでありますから、その結果を詳しく聞きたいと思っているところなんです。
しっかりと調査をし、客観的資料に基づいて事実を解明した上で、今後の検討に生かしていきたいと思います。
○ 藤野委員 ですから、入管、その視察委員会は、折に触れて視察をされているのも私も認識しております。個々の委員の方は頑張っていらっしゃることも認識しております。
ただ、事務方が法務省に担われ、予算も握られ、そのもとで毎年毎年出されるんです、報告書。けれども、A4数枚ですよ、A4数枚の報告なんです。ですから、調査能力という点でも、実際に調査をしようと思ったら、法務省の事務方が出てきて、やるわけですよ。ですから、これでは調査にならない。
今回起きた事案というのは、極めて、私は、今までも深刻ですけれども、本当にこれはもう第二、第三のものも起きかねない事案ですので、改めて、今度こそ第三者委員会を本当に立ち上げていただいて、徹底した調査を行っていただきたいことを強く求めて、質問を終わります。
作成者 : fujinoyasufumi