決算行政監視委 北海道警によるヤジ排除問題について質問
決算行政監視委で北海道警によるヤジ排除問題について質問しました。
質問の際に排除の様子を映した動画を写すことは認められなかったので、配布資料でヤジ排除の酷さを紹介。
国家公安委員長は、警察を擁護する答弁ばかり。
警察の暴走を阻止すべき国家公安委員会が責任放棄していることが浮き彫りに。
これほどの違法行為を「違法」だと言えないのであれば、国家公安委員会の存在意義はありません!
- 会議録 -
○ あかま主査 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、これを許します。藤野保史君。
○ 藤野分科員 日本共産党の藤野保史です。
私は、北海道警による選挙中のやじ排除問題について質問いたします。
まず、前提として国家公安委員長に確認したいんですが、国家公安委員会というのは、戦後、国民主権を定めた新憲法のもとで新たに導入されたものであって、同委員会のホームページによりますと、「国民の良識を代表する者が警察を管理することにより、警察行政の民主的管理と政治的中立性の確保を図ろうとするものです。」というふうに説明されております。同ホームページによりますと、国家公安委員会の役割として、警察の政治的中立性の確保と警察運営の独善化の防止というのが掲げられております。
公安委員長にお聞きしたいんですが、この二つが国家公安委員会の役割であるということでよろしいでしょうか。
○ 武田国務大臣 御指摘のとおり、国家公安委員会制度は、国民の良識を代表する者が警察を管理することにより、警察行政の政治的中立性の確保を図り、警察運営の独善化を防ぐことを目的としております。
○ 藤野分科員 きょうは、その国家公安委員会の存在意義が問われる問題として、北海道警によるやじ排除問題をお聞きしたいと思います。
これは、昨年の七月十五日、参議院選挙の真っ最中に、JR札幌駅などにおける街頭宣伝で、安倍総理の演説中に、やじやプラカードで意見表明をしようとした市民が、多数の警察官によって演説の場から排除され、その後長時間にわたってつきまとわれた、こういう事件であります。
私は、昨年十一月八日の法務委員会でこの問題を質問したんですが、そのときはまだ、警察庁からは事実確認中だという答弁が繰り返されまして全くお答えがなかったわけですが、この排除から七カ月たちまして、先日、ようやく北海道警が法的根拠を発表いたしました。
配付資料の一を見ていただきますと、これは「警護現場における警察措置について」という二月二十六日の北海道警本部の文書であります。一から九までの行為が、例えば警職法の四条、五条などで適法な職務行為であると説明されているわけです。
私は、適法だという根拠を示してほしいと警察庁に求めたんですが、そうしたら、警察庁が提出してきたのが配付資料の二になります、一部なんですけれども。これは本体もほとんど真っ黒けなんです。真っ黒、真っ黒というのが続いておりまして、ですから、本当にノリ弁という状況であります。
ただ、配付資料の二を見ていただきますと、辛うじて黒くなっていないところには、例えば、警察官の職務執行状況とか、法的根拠の考察とか、補足資料とか、重要な内容だと推察されるものがあるんですが、これは真っ黒になっているということです。
しかし、本件の特徴というのは、周囲の方とかあるいは当事者とかがスマホで撮影した動画、あるいは北海道テレビ、HBC北海道放送などが撮影した映像が多数存在していることであります。これらの動画の中には、投稿後二、三日のうちに二百万回も再生されて、その後もふえて、現時点では三百四十四万回も再生されているものもあります。
つまり、多数の動画という動かぬ証拠があるために、道警はどうやってこれを正当化しようかと悩みに悩んだ結果、七カ月もかかってしまったということだと思います。そして、動画とのそごが、そういう映像とのそごが大き過ぎるために、全て黒塗りにせざるを得なかったんだろうと思っております。
私は、三月十四日に北海道へ行きまして、このやじ排除が起きた現場にも行ってまいりました。当事者や弁護団からもお話を聞いてきたわけですけれども、現場を歩くと、改めて今回の警察の排除行為というのがいかに異常だったかというか、そういうものも肌で感じてまいりました。
前提として警察庁にお聞きしたいんですが、警職法四条が挙がっているんですけれども、一般的な解釈として、警職法四条は現実に危険な事態がある場合に適用される条文である、こういう理解でよろしいでしょうか。
○ 太刀川政府参考人 お答えいたします。
警察官職務執行法第四条第一項に基づき、警察官は、危険な事態があり、特に急を要する場合においては、危害を受けるおそれのある者を避難させることができますが、こうした措置は、現実に危険な事態がある場合に、これに応急的に対処するために認められるものと解しております。
○ 藤野分科員 今お話あったように、答弁があったように、現実に危険な事態がある場合に応急的に適用されるということなんです。
北海道警は、今、国賠訴訟に提起されておりまして、それに向けて三月二十七日に準備書面というものも発表しております。この中で、いやいや、犯罪が発生する危険性が切迫していたんだということをいろいろ主張されているわけです。
しかし、先ほど言ったように、動画などがありますが、これは事実と全く異なるんですね。
配付資料の三を見ていただきますと、動画そのものが難しいということで、ちょっとキャプチャーをさせていただいたんですが、赤い車のところが演説車両ということで、安倍総理が街宣をされていたところです。
済みません、前提として、これは二〇二〇年の二月二十四日に放送されたHBCのドキュメンタリー「ヤジと民主主義 警察が排除するもの」というものからお借りをしたといいますか、持ってきたものであります。
演説車両が赤いところで、そこから六車線の道路を隔てて、大体二十メートルぐらい離れているんですが、丸の地点から男性が、仮にA氏としますと、このA氏が声を上げた。黄色い矢印で示している方であります。まさに肉声で上げているわけですね。その直後、制服警官あるいは私服警官六、七名に肩や腕をつかまれて、約二十六メートル、赤い矢印の方にわあっと連れていかれたわけであります。写真には安倍総理の演説している様子も後ろに捉えられておりますが、まさに数名が、本当につかんで連行していくという、力ずくでやっていったということなんですね。
その間、ずっと六、七名の警察官に取り囲まれておりますから、ほかの聴衆が入り込むスペースすらない。ましてや、トラブルなどが発生する可能性もなかったわけです。これはもう本当に、動画を見れば物すごい速さで連れていくわけで、ほかの聴衆との関係などは起こりようもない、ほんの数秒の出来事でありました。
警察庁にお聞きしますけれども、犯罪が発生する危険性が切迫していたというのは、これは虚構じゃないですか。
○ 河野政府参考人 お答え申し上げます。
札幌駅前の男性に係る事案につきましては、札幌駅前の聴衆の中で突如男性が大声を上げ、周囲からは反発の声が上がり、聴衆の一人がその男性を手で押すなどの行為も発生したことから、トラブル防止の観点から当該男性を移動させたものであるとの報告を北海道警察から受けております。
その法的根拠につきましては、この男性は、周囲の聴衆とのトラブルによって危害を加えられるおそれがあるとともに、興奮して暴行等に及ぶおそれもあったことから、警察官職務執行法第四条第一項及び第五条に基づき、避難及び制止の措置をとったとの報告を受けております。
○ 藤野分科員 全く、例えば周囲から声が上がったとか、そういうものは動画から見てとれないんですね。むしろ、周囲との接触以前に、声を上げたらすぐに数人の警察官が囲んで連れていくというものが確認できるわけです。ですから、もしそういう証拠があるのなら出していただきたいんですが、我々が求めたら、こういう黒塗りの資料しか出てこないわけであります。
別の女性も声を上げて連れていかれているんですが、これは、今紹介した男性よりも更に安倍総理から遠い場所で声を上げられたんですが、増税反対という声なんですね。
そういう声を上げたら、配付資料の四になりますけれども、まさに両脇を女性警官二人が抱え込んで、その周りを男性の警官四、五名が取り囲むと。この女性を仮にBさんとしますと、このBさんはこう言っているんですが、おじさんの壁ができて後ろに押し下げられたというふうにおっしゃっておりますが、一番下の写真を見ていただくとわかるように、まさに顔に息がかかるぐらいの、極めて怖い状況で押さえつけられた、排除された。
しかも、このBさんという女性は、その後、九十分にわたって、一時間半にわたってずっとつきまとわれるんです。警官が前に一人、両脇にぴったり一人ずつ、そして周囲に二人ぐらい。まさに異常なつきまといであります。
私も実際、現地に行ってそこを歩いてみました。本当に長い距離なんですね。実際、歩いてみますと、本当にこれがいかに異常かということがよくわかる状況です。
しかも、Bさんは、駅から相当離れた場所にあるレンタルショップの、DVDレンタルなどのTSUTAYAというところに入って目当てのDVDを探していたんですが、そのときにまで、TSUTAYAの中にまで入ってきてレジまでついてくるとか、あんまりじゃないかと抗議したら、一旦は離れたんですけれども、BさんがTSUTAYAを出て、町に出ようとしたら、出口にまたその警官が二人いたということで、ぞっとするようなつきまといが実際に行われた。
ところが、実は、先ほど九つの行為ということを配付資料一で言いましたが、道警の評価にはBさんへの九十分にわたるつきまといというのは入っていないんです。これは、何で入っていないんでしょうか、警察庁。
○ 河野政府参考人 北海道警察では、報道、意見書等で指摘を受けた九事案につき、事実関係の確認を行ったものと承知しております。
○ 藤野分科員 いや、これは最もひどい行為のうちの一つですよ。これ以外にもありますけれども。しかし、これが評価されていないというのは納得いかないんです。
Bさんは、警官から、お姉さん酔っているのとか、何か差別的な発言を投げつけられて、その後、つきまといの最中も、これはもう動画ですから音声も拾っておりまして、警官はこう言うんですね。ウイン・ウインの関係になりたいとか、そっちへ行ってほしくないなとか、札駅行こう、札駅というのは札幌駅です、札駅行こう、どっか座ろう、何か飲もう、ジュース買ってあげるよ、ジンジャーエールですか、ウーロン茶ですかとか。明らかに妨害するために、Bさんが望まない声をかけたり、いろいろするんですね。
声だけじゃありません。配付資料の五を見ていただきますと、これはBさん自身がスマホで撮られた動画なんですけれども、まさに両腕を警官がつかんでいるわけです、行かせないように。しかも、ひきょうなのは、Bさんがスマホで、とられている様子を撮ろうとすると、ぱっと離すんですね、手を。だから、悪いことだとわかっているわけです。しかし、そういうことを繰り返した、によって妨害したわけであります。極めて悪質な事案だと思うんですね。
私も、Bさんのルート、先ほど言ったように歩いてみたんですが、すたすた歩けば二十分ぐらいで例えば三越なら三越に着いちゃうところなんですが、こういう嫌がらせとか身体拘束を繰り返されたため、九十分もかかってしまったんですね。これもBさんの表現があるんですけれども、Bさんによると、緩くかつ強固に人間の壁をつくられて全く前に進めなくなった、こうおっしゃっております。
しかも、Bさんが行こうとしていた三越前での安倍総理の街宣が終わってから到着しちゃったので、しようがない、九十分もかかっちゃったので、もう終わっていたんです、街宣。
ところが、終わっていたにもかかわらず、警察官はずっとまたつきまとうんですね。初めのTSUTAYAでDVDが見つからなかったので、Bさんは三越前のTSUTAYAにも入ってそれを探すんですけれども、そこでも見つからないと出てきたら、また警官が出口にいたと。その警官がBさんに、まだいたのと声をかけたそうなんですが、こっちのせりふだという話なんですね。
街宣が終わってもまだつきまとっているという、まさにこれは、移動や行動の自由、プライバシー権、そして名誉権、制服警官がついていくわけですから、あの人何かやったんじゃないかと、そういう名誉権も侵害する、表現の自由を侵害する重大な違法行為だと思います。
余りにも異常過ぎるから、道警は七カ月かけてもこのBさんに対するつきまとい行為を正当化できなかった。ほかのも正当化できていると私は思いませんが、このBさんのは評価すらできないということだと思います。
国家公安委員長にお聞きしたいんですが、この悪質な行為が評価さえされていない、九つの行為に入っていないんですね。これは本当に、余りにも不自然じゃないかと思うんですが。
○ 河野政府参考人 お尋ねの件につきましては、北海道警察において、今回の調査の中で評価をしているところでございます。
○ 藤野分科員 いや、何も答えになっていないんですよ。
国家公安委員長に。余りにも不自然だと思うんです。これだけの行為が、ほかのもひどいですけれども、これが評価されていないのは不自然だと思うんですが。
○ 武田国務大臣 これらの事案については、いずれも現場の警察官がそれぞれの状況を踏まえ、法律に基づき必要と判断した措置を講じたものであるとの報告を私も受けております。
今後とも、法令に基づいて適切に職務を遂行していくよう指導してまいりたいと思います。
○ 藤野分科員 個々の警察官が現場でというんですが、これはBさん自身も見たそうですけれども、女性警官がずっとついてくるんですが、一時間以上続いたときに、家まで来られるのは無理とBさんが言ったらば、その女性警官の一人が確認してみると答えて、上司らしき人と電話で連絡をとり始めたというんですね。ですから、ああ、これは個々の現場でというより、組織的に、指揮命令のもとでやられているんだなということを思ったそうですけれども、そのとおりだと思います。
これはやはり、個々のというよりも、まさに警察というのは、当然のことですけれども、こういう警備行動というのは集団的、組織的にやるものだ、それ自体は否定しませんが、余りにも過剰なものが行われている。
国家公安委員長に知っていただきたいのは、警察官がつきまとったのは安倍総理に批判的な人たちだけなんです。
というのも、実は、この一から九までの適用事例のうち、例えば四とか、これも警職法五条が適用されているんですが、この四というのは、女性の所持していた携帯電話を払いのけた男性を移動させたことなんです。
これはどういう男性かというと、安倍総理が乗っている街宣車の方からやってきて、やじを飛ばした人の近くでスマホで撮っている女性に対して、何撮っているんだ、撮っているんじゃねえぞと言って、その女性が撮影しているスマホをとろうと、その女性の手ごととろうと乱暴につかみ、引っ張った事案であります。
これに対して、警察は、警職法五条に当たるといってここに挙げているわけですね、四に。同じ警職法五条が適用されたにもかかわらず、この方は、全然、その後つきまといなんかされておりません。全くフリーなんですね。わずか数十秒注意されただけで、後はもう放免されている。
片や、同じ警職法五条、この三の男性は一と同じ男性ですけれども、この男性の方は、先ほどのBさんと同じように、長時間つきまとわれるわけですね。
ですから、まさに、同じ警職法五条を適用しておきながら、安倍総理の側なのか、あるいは批判的な側なのかで、その後のつきまといなどの警察の対応が全く違う。
国家公安委員長にお聞きしますが、これは警察法二条二項が定めている不偏不党というのに全く当たらないんじゃないですか。
○ 武田国務大臣 トラブルを未然に防ぐためにとった手段でありまして、演説等々に対する意見の内容に着目した措置ではないということを御理解いただきたいと思います。
また、安倍総理の意見に賛成したタイプか反対したタイプかという言い方を今おっしゃいましたけれども、やはりこれは、選挙の演説会で、自民党のこれを見たら演説会だろうというふうに推測される映像が残っておるんですけれども、そうした場合というのは、圧倒的に、御党の場合もそうでしょうけれども、それに対する支持政党、支持する方々がほとんどを占めると思っておるんです。
警察はやはり、要人の警護も重要ですけれども、聴衆の警護、これは、守る、安全を確保することが重要であって、それが反対か賛成かの意見は問わずして、全ての聴衆の安全を確保するという手段に出るというのは適切な判断だったと私は考えております。
○ 藤野分科員 国家公安委員長はそうおっしゃるんですが、じゃ、次の事例を見ていただきたいんですけれども、別の女性、例えばCさんとしますけれども、三人ぐらいの方が、三人が札幌の三越前でプラカードを掲げようとした。配付資料の七になるんですけれども、このCさんたちが掲げようとしたのは、老後の生活費二千万円貯金できません、こういう中身なんですね。それに対して、警察官が前に立ち塞がって、この上にありますように、上げさせないわけです。まさに表現そのものを抑圧するわけですね。
Cさんたちのすぐ横には、安倍総理を支持しますというプラカード、これを掲げた人はいるわけですね。たくさんいるんです。配っているぐらいですから、それこそ自民党の皆さんが。だから、ほとんど同じような大きさで、一方、何か批判めいたというか、疑問ですけれども、そういうものを掲げた者は上げることすら禁止され、片や、安倍総理を支持しますというのは何にも抑止もされずにそのまま掲げていた。
これはやはり表現内容そのものに関する介入であって、冒頭言った政治的中立性、どっちもだめだというならまあわかりますけれども、わかりますというか、だめですけれども、片一方だけ抑止したわけですから、これは、国家公安委員長、まさに内容に着目した行動じゃないですか。
○ 河野政府参考人 北海道警察からは、プラカードの掲示を妨害したという事案は承知しておりませんが、車道にはみ出していた聴衆に対し注意を喚起したことはあったとの報告を受けております。
○ 武田国務大臣 今答弁のあったとおりだと考えております。
○ 藤野分科員 これはもう明確なんです。同じ場所で、すぐ隣に安倍総理を支持しますというプラカードは掲げられていて、そして、こういう年金の問題とか老後の生活費の問題のやつだけが、まさにこうやって、これも本当に近いですよね、阻止される。これは、本当に警察の政治的中立性に全く反する、表現内容そのものに対する介入であります。
これは警察庁にお聞きしたいんですが、九つの行為について検討する七カ月の間に、今申し上げたAさん、Bさん、Cさん、あるいは関係者、あるいは周りにいた人、そういう方々から実態を聴取されたんでしょうか。
○ 河野政府参考人 お答えいたします。
北海道警察からは、現場にいた警察官からの聴取、現地の確認、報道内容やインターネット上の動画の確認などにより事実確認を行ったとの報告を受けております。
○ 藤野分科員 結局、全く聞いていないわけです。警察内部だけで、この準備書面とかいろいろなことを固めているわけですね。しかし、これは本当に、非常に無理がある。
例えば、準備書面というのが三月二十七日に出されているんですけれども、これに引用されているもののうち、警察がやったこともよかったということを立証するために、声というのも七つほど挙げられているんです。この準備書面の中で、三十六ページで。しかし、これは調べてみますと、実は、ヤフーの掲示板にコメントとして載っていた声だということが追跡してわかりました。
ヤフーのコメントですよ。だから、誰がつぶやいたのかもわからないし、下手をすると構造上は警察自身が書き込むことだって可能なわけですね、ヤフーのコメント欄というのは。まさかそういうものを自分たちの訴訟の準備書面で正当化するために出してくるなんということは、本当に信じがたいんですね。
片や、当事者には全く話を聞いていないんです。一体これが警察のやることかというふうに思うんですね。
国家公安委員長にお聞きしたいんですが、やはり、今回の警察の行為というのは、国民全体の政治的な意見表明の自由、憲法で保障された表現の自由を萎縮させる、そういうおそれがあるというふうに思われますか。
○ 武田国務大臣 冒頭、国家公安委員会の役割について御説明申し上げましたけれども、まさに、政治的中立性というものを確保するということを旨としておりますので、その役割というものを徹底して担ってまいりたい、このように思っています。
○ 藤野分科員 いや、私が伺ったのは、萎縮効果なんです。
つまり、同じ場所で、安倍総理を応援する、安倍総理を支持しますというプラカードは何の抑止も排除も受けなかった。片や、安倍総理というか安倍政権に対して批判的なというか、老後の生活費二千万円足りませんとか、年金百年安心は本当ですかみたいな、そういう問いかけレベルのプラカードでさえ排除されているわけです。帰れとか、やめろとか、そういうことではなくて、これで大丈夫ですか、あるいは、暮らせません、そういう中身まで排除されたということが正当化されますと、今後の表現行為の萎縮につながるんじゃないかというのが私の質問なんです。
お願いします。
○ 河野政府参考人 北海道警察からは、法律に基づき、必要と判断した措置を講じたものと報告を受けております。
警察におきましては、不偏不党かつ公正中正を旨として職務を遂行しているところであり、特定の意見の表明を規制することはないと考えております。
○ 藤野分科員 全く答弁できないわけですね。
今回、警職法の四条と五条を同時適用、一人に対してしております。
警察庁にお聞きしますけれども、こういう例は今まであるんでしょうか。
○ 河野政府参考人 警察庁におきましては、各都道府県警察が警察官職務執行法第四条第一項に基づき講じた措置及び同法第五条に基づき講じた措置について統計をとっておらず、警察官職務執行法第四条第一項及び第五条を同時に適用した事例についてお答えすることは困難であります。
○ 藤野分科員 これは、四条というのは、ある人が何か危険な状況にあるから避難させるという条文なんです。片や、五条というのは、ある人が危険なことをしそうだから予防するという条文なんですね。片や避難させる、片や予防するということで、全くベクトルが違うわけです。それを同一人に適用するという極めて矛盾に満ちたことが行われております。
これはかつて、判例でいえば、例えば百五十人ぐらいの学生たちがばあっと抗議行動をやって検察に押しかけてとか、そういう事案で適用されたことはあるというふうに、大分前ですけれどもね。これは、私、学生たちの行動もけしからぬと思います。ただ、事例としては、百五十人ぐらいがわあっとなっているところですから、片や避難させよう、片や予防しようというのは、あり得なくはないかもしれない。
けれども、同じ人物に対して、今回、四条と五条を同時適用している。こんなことは今までないわけであります。それほど矛盾に満ちた法解釈をせざるを得ない、そういう異常なことが起きている。
ですから、最後に国家公安委員長にお聞きしますけれども、やはり、国家公安委員会というのは、警察の政治的中立性、そして独善的運営を規制するためにあるわけでありますから、こうしたことはもう許すべきではない。これを違法と言えないなら、私は国家公安委員会の看板をおろした方がいいと思うんですけれども、いかがですか。
○ 武田国務大臣 冒頭に申しましたように、国家公安委員会の重要な任務は、政治的中立性を保つことと警察の民主的なあり方を確保することでありますので、それを徹底してまいりたい、このように思っております。
○ 藤野分科員 終わりますが、この問題では国賠訴訟も行われております。国会でも引き続き厳しく追及していくことを述べて、質問を終わります。
会議録PDF
20200406_kessangyoseikanshiiinkai_Fujino_kaigiroku
質疑資料 PDF
20200406_kessangyoseikanshiiinkai_Fujino_shiryo
作成者 : fujinoyasufumi